りかさん/梨木 香歩 | mokkoの現実逃避ブログ

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ページ: 262P
発売日:2003/6/28

「彼女」と一緒なら、きっと大丈夫。

リカちゃんが欲しいと頼んだようこに、おばあちゃんから
贈られたのは黒髪の市松人形で、名前がりか。
こんなはずじゃ。確かに。
だってこの人形、人と心を通わせる術を持っていたのだ。
りかさんに導かれたようこが、古い人形たちの心を見つめ、
かつての持ち主たちの思いに触れた時??。
成長したようことその仲間たちの、愛と憎しみと
「母性」をめぐる書下ろし「ミケルの庭」併録。
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本作と「からくりからくさ」はリンクしてます。
読むならば、「りかさん」→「からくりからくさ」→
「りかさん」に収録されている「ミケルの庭」の順で
読むことをお勧めします。
ミケルの庭は、「からくりからくさ」の続編です。
先にミケル・・・を読んでも、意味不明だと思いますよ。
特に女たちの感情の面でね。

おばあちゃんに、今度のひな祭りに何がほしい?と聞かれ
リカちゃん人形が欲しいとねだる容子。
お人形のりかちゃんなら気だてのいい子だと変な事を言い
実際に送られてきたのは、りかという名前の市松人形。
ガッカリする容子だったが、おばあちゃんが一緒に
送ってくれた説明書を読んで、人形を幸せにする為に
お世話をすることにした。

それから1週間。りかちゃんの変化を感じ取った容子。
リカちゃんの声を聞くことができるようになり、
「りかさんと呼んで欲しい」と言われ、同時に
家に飾られている雛人形たちの声が聞こえるようになる。
容子はりかさんとたくさん話をした。
おばあちゃんの麻子さんのことや、その前の持ち主の事。

友達の登美子ちゃん家の雛祭りにもお呼ばれして
りかさんを連れて行ったら、やはり雛人形達が騒いでいた。
そして、何故かお持ち帰りまでしてしまった。

容子はおばあちゃんの家に行って、色んな事を教わった。
死んだ人の念が人形に籠ると友達に言われた事にも、
確かにそういうこともがあるけれど、人間の強すぎる
気持ちを整理する役割もあると教えてくれる。
人形遊びをしないで大きくなった女の子は疳が強すぎて
女の人自身を蝕んでいくと・・・

人形達の訴えをおばあちゃんとりかさんと一緒に
解決していく。
哀しすぎる思いが詰まった人形達。
秘密を隠している人形もいた。
おばあちゃんは人形達に敬意を持って接していた。
桜の老木にも捕まった事もあったけれど、
無残に切られた老木は、供養だからと言って
おばあちゃんに染色を教わり、反物を染めて、
りかさんの着物を作って、その思いをりかさんが着る。
思いは形を変えて受け継がれていく。

不思議で優しくて悲しくて温かいお話しでした。

からくりからくさとリンクする登場人物達が出てきますよ。

「ミケルの庭」は、からくりからくさの続編です。
下手に触るとネタバレになるので、ここでは
あえて語らない事にします。