虚栄の肖像/北森 鴻 | mokkoの現実逃避ブログ

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ページ数:274P
発売日:2010年09月


花師にして絵画修復師の佐月恭壱。
二つの顔を持つ佐月の元に、肖像画修復の報酬が古備前の甕という
奇妙な依頼が舞い込む表題作他、藤田嗣治の修復をめぐり
昔の恋人に再会する「葡萄と乳房」、
女体の緊縛画を描いた謎の絵師を追う「秘画師遺聞」の全三篇を収録。
絵画修復に纏わる謎を解く極上の美術ミステリー。
著者急逝によるシリーズ最終作
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深淵のガランスに続くシリーズ第2弾にして最終巻・・・(T□T)

北森氏の描く主要キャラは本当に魅力的だと思う。
中でも萌えまくりだったのが、佐月恭壱。
冬の狐さんとの関係にヤキモチを焼いてしまうくらい好き(〃▽〃)ポッ
花師と絵画修復師とは、なんて美しい技の持ち主なのでしょう。
これだけで萌えます。

絵画修復には危険が付きまとう。
その絵が偽物だった場合、修復したことで、偽物を本物に
仕立て上げてしまう危険が伴う。
だから、第三者の目利きとして、冬の狐こと、旗師:宇佐見陶子に
相談する事も多い。
朱大人と朱明花の親と娘、善ジイこと前畑善次朗、若槻伸吾に
宇佐見陶子など、脇役たちが佐月を導く?

いや・・・これも駆け引きなのかもしれない。
目利きだけでなく、そういうことにも長けていないと
この世界で生きていくことは難しい。
古美術の世界の狐や大狸だけでなく、欲の皮の突っ張った
金持ちや政治家達が闇の中で目を光らせている・・・


「虚栄の肖像」
絵画修復の報酬は、古備前の銘品中の銘品の甕だった。
報酬にしては額が大きすぎると、恭壱は違和感を覚える。
ところが、修復をする予定だった絵が火災で焼けた。
更に、焼けた部分に人の手が加わった跡が・・・
絵画に世の裏表の大物の影がちらつき危険な匂いがするわけは・・

「葡萄と乳房」
持ち込まれたのは藤田嗣治の絵。真作か贋作か。
かつて恭壱を陥れようとした教授の絵が関わってきたとき
恭壱の恋人でもあった女がとった行動は・・・
そして元恋人のために恭壱が作るものとは・・・

「秘画師遺聞」
凄まじいほどに淫靡で苦痛と共に快楽を感じさせた者を
恨みがましく見つめる緊縛画。
画面の下にある雅号から、ある珍しい人物に思い至るが・・・
誰が描いたのか?モデルは?染料の謎は・・・?


やっぱり面白かったですぅ~
「葡萄と乳房」と「秘画師遺聞」で、恭壱の元カノが登場。
これがなんとも切なくて、絵画にまつわる謎と相まって
ドキドキが半端なかったです。

浮世絵師の河鍋 暁斎に建築家ジョサイア・コンドルが入門して
暁英の号を与えられていたとわ知らなかったぁ~
続きが読みたかったです(T□T)