ページ数:286P
発売日:2015年06月
京都、下鴨―。
高校三年の鹿乃は、ぐうたらな兄と、近くの大学で
准教授をしている下宿人の慧と三人暮らし。
亡き祖母からアンティーク着物を譲り受け、同時に、
蔵にある“いわくつき”の着物の管理も引き継いだ。
鹿乃は、まわりの人びとに協力してもらいながら、
着物の秘密と謎をひもといていく。
長い時を重ねた物に宿る、持ち主たちの想いや願いとは―。
四編収録。
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シリーズ第2弾
亡き祖母から着物の管理をまかされた鹿乃
時々曰くつきの着物たちを蔵から出して
着物に込められた秘密をひもといて、ちゃんと元に戻してこそ
祖母の望み通りの管理なのである。
鹿乃と、兄の良鷹と、同居人の慧は、曰く付きの着物に込められた
想いを辿ります。
「ペルセフォネと秘密の花園」
イギリスからやって来た留学生のプリシラが兄の良鷹を訪ねて来た。
曾祖父の娘シャーロットの形見を、鹿乃の祖母に預けたという。
預けたものは「秘密の花園」ということで、良鷹は蔵にある
着物だと言うが、目録の中に曾祖父の名前はなくて・・・
祖母の部屋から出てきた小説「秘密の花園」と、昆虫学者として
教鞭をとっていたという曾祖父の関係者を探し、春野の力をかりて
接触に成功。出た!アンソニー!
秘密の花園という名とは相反する空色一色の着物。
花はどこへ行った?
本に挟まれていた栞に書かれた詩の一部から、佐保姫、春の女神
ペルセフォネと推理を進めていく。
着物に秘められていた想いとは・・・
「杜若少年の逃亡」
蔵にある着物を一つ出してみようと思いついた鹿乃
目についたのは男の子の着物である。
そこに、加茂という青年が訪ねて来た。
秘密の花園事件で手伝ってくれた慧や兄の後輩だと言う。
話をしているうちに、出してあった着物が消えた。
気付くと杜若柄の着物を着た7・8歳くらいの子供が
パタパタと駆け回り、追い詰めると消える。
預かった知り合いの骨董屋に話を聞きに行くと・・・
祖母から5つのヒントを預かっているという骨董屋さん。
その子の正体を見抜かないと着物は元に戻らない。
ヒントは屋敷の中に隠してあるというので、探すことから
始めたのだが、その秘密とは・・・
「亡き乙女のためのパヴァーヌ」
鹿乃の屋敷のテラスで、友人の奈緒と、秘密の花園事件で
知り合ったプリシラの3人がお茶を楽しんでいた。
その話の流れで鹿乃は、音符柄の帯があったことを思い出し
その帯を蔵から出してきてからピアノの音が聞こえる。
子供が一生懸命練習しているようなたどたどしい音。
頭の中で鳴り響くピアノの音を消すには・・・
聞こえる曲を鼻歌でなぞると、亡き王女の為のパヴァーヌだと
良鷹が教えてくれた。
その名前から目録を探すと、亡き乙女のためのパヴァーヌという
名前が見つかった。
その名前から元伯爵家の人で祖父と付き合いのあった人だという。
そこに秘められた想いとは・・・
「回転木馬とレモンパイ」
古美術商である良鷹が訪れた旧家で、当主の母親:百合子から
オルゴールを渡され「回転木馬をみつけて」と頼まれた。
母親が結婚した年、オルゴールを鳴らそうとしたら
音は鳴らずにオルゴールから飛び出す様に着飾った白馬が
窓から外へと駆けて行ったという。
詳しい話を聞く前に百合子は亡くなってしまった。
回転木馬を見つけてとは、どういうことなのか・・・
旧家を紹介してくれた骨董店の店主に話を聞きに行く良鷹。
良鷹を嫌っている店主の娘をバイトに雇い、捜索開始。
毎月第三水曜日にレモンパイを焼くのが習慣だったという
百合子だが、それは何かの記念日だったのか・・・
そこから調べ始めた良鷹達がたどり着いた秘密とは・・・
いやぁ~知らぬ間に続編が出ていて驚きましたよぉ~
っていうか、続々と出ていましたぁ~
後で大人買いしよっとо(ж>▽<)y ☆
今回も色んな秘密がたくさん埋もれていて楽しいやら
切ないやらで大満足です。
黒は拒絶の色だとか、幕末頃に蟲の行列模様が流行ったことが
あったとか、言葉遊びのようなことから、知らなかった小ネタが
ちょこちょこ出て来て別の意味でも楽しかったです(p^_^q)