ページ数:399P
発売日:2016年03月
風早の街でひと夏を過ごすことになった少女・瑠璃は、
夢に導かれて訪れた洋館でクラウディアという
謎めいた女性と出会う。
彼女は本の修復や造本をするルリユール職人、
どんなに傷んだ本でも元通りにできるという。
ぼろぼろになった依頼人の本を、魔法のような手わざで
綴じなおすクラウディア。
あるいはそれは本当に魔法なのか。
その手伝いをするうちに、瑠璃のなかに秘められていた
悲しみも修復されていく。
本を愛するひとたちの美しく不思議な物語。
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初めましての作家さん。
ルリユールはフランス語で「製本」を意味する言葉。
特に、職人が手作業でつくる、工芸品としての装丁やその技術のこと。
ってことで、凄い技を使って魔法のように本を仕上げる
ルリユールの仕事の話かと思っていたんだけど
確かに本を修復したりするんだけど、仕事の詳しい内容は
ほとんど出てこない。
っていうか、「魔法のように」じゃなくて魔法でした。
これはファンタジーって感じで、メインは家族愛ですね。
風早の街には、傷ついた本や古くなった本を魔法のように
元通りに直してくれるルリユールがいるという。
けれど、ルリユールがいる洋館にたどり着けた者は
ほとんどいないという。
主人公の瑠璃は、お盆の期間中に祖母の家に
家族で遊びに行くのが恒例となっていたのだが、
今年に限っては、先に瑠璃だけが行くことになった。
けれど祖母は階段から転落して、近所の病院に入院。
小学生だけど、一人で留守番をすることに。
瑠璃は夢で不思議な洋館の夢を見る。
言葉を話す7匹の猫と燃えるような赤毛の女性。
瑠璃は犬の次郎さんの散歩の途中で夢に出てきた
洋館を見つけるのだが・・・
エピソードの1つ1つは、とってもいいんですよ。
本への愛情も思い出もいいんですよ。
おもわずウルっとするエピソードもありました。
「奇跡はふとした瞬間に訪れるものなのかも」とか
「世界中の本は、すべからく誰かのために
生まれてくるものなのです」とか
ステキなセリフもあったりします。
けれど肝心のルリユールの仕事内容の説明がほとんどない。
更に、瑠璃の家庭環境がちょっと複雑だったりして
その説明や思いがルリユールの仕事以上に多い。
ファンタジーだと思ってなかったので、アレ?って思いが
最後までズーっと続いてしまって、ちょっと残念でした。
よくある骨董屋とかでの心温まるエピソードのように
タイトルになるモノへの思いを中心に描いてほしかった。
いや・・・悪くはないと思いますよ。
絶賛してるレビュアーさんも結構いましたから。
だから、あまり期待しすぎて読みだすと
アレ?ってことになるかと(^◇^;)
お盆期間中の本にまつわる不思議なお話しと思って
読むといいかも。