ページ数:286P
発売日:2015年12月
酔っ払いに絡まれる美貌の外国人・リチャード氏を助けた正義。
彼が国内外に顧客をもつ敏腕宝石商と知り、誰にも言えない
曰くつきのピンク・サファイアの鑑定を依頼する。
祖母が死ぬまで守っていたその宝石が秘めた切ない“謎”が
リチャード氏により解かれるとき、正義の心に甦るのは…?
美しく輝く宝石に宿る人の心の謎を鮮やかに解き明かす
ジュエル・ミステリー!!
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初めましての作家さん
5つの宝石にまつわる日常の謎が楽しめます。
「ピンク・サファイヤの正義」
「ルビーの真実」
「アメシストの加護」
「追憶のダイヤモンド」
「ローズクオーツに願いを」
メインキャラは、大学生の中田正義(せいぎ)
その名の通り、絡まれている外国人を助けるのだが
これがまた日本人以上に流麗な日本語を扱うスリランカ系の
イギリス人で、金髪碧眼の唖然とするほどに美しい宝石商だった。
これも何かの縁と、祖母の形見であるピンクサファイヤの
鑑定を依頼する事になったのだが、それは曰く付きの
宝石でもあった。
その宝石がどういう経緯で正義の祖母の手に渡ったのか
正式に鑑定を依頼するにあたって、正直に打ち明けたのだが
その結果は、思いもよらない事になり・・・
そんな縁もあって、リチャードは日本での活動拠点を
銀座に構えることにし、正義をアルバイトとして雇うことになる。
店舗を持つといっても、ショーケースを並べるものではなく
お客様と話をする場所ということらしい。
仕事は、掃除とお遣いとロイヤルミルクティーを入れる事。
作り方を教わったものの、最初は睨まれていた正義も
最近では一口飲んでもらえるくらいに成長した・・・らしい。
そしてウッカリ系で正義の味方の正義は、思ったことを
そのまま口に出して、いらぬ誤解を方々にまき散らすことになる。
更に、その口のおかげでトラブルを引き起こしたり
持ち込んだりして、それが宝石絡みだったりするのだ。
リチャードに睨まれても、口を出さずにはいられない(○ ̄m ̄)
まぁ~リチャードに「きれい」を連呼しているあたりからして
いらぬ誤解をまき散らしていると思うのだが、好きな人はいる。
リチャードが湖の底で眠る透き通った宝石なら、谷本さんは
お菓子屋さんの天井に住んでいる粉砂糖の妖精さんなんだそうだ。
その谷本さんは石の事になると表情が変わる。
谷本さん曰く、岩石が好きな人は岩石屋、宝石のルースや
鉱物が好きな人は鉱物屋で、まとめて石屋さんなんだそうです。
リチャードや谷本さんから色んな話を聞いて、少しずつ
宝石の事を覚えていく正義。
短編で宝石の蘊蓄もたくさん詰まっていてとっても楽しい。
そしてリチャードの宝石への愛情が伝わってくる言葉がたくさん。
石は主を映す鏡です。あなたが望んでいない答えを
導き出すものではありません。
身の丈を越えた美への陶酔は容易に破滅をもたらします。
まじめな話をしているのに、正義は心の中で
「声に出して言いたい日本語番付」上位にランクインしそうだと
思っていたりする。
正義目線の宝石にまつわる日常の謎が思いっきりツボでした。
メインキャラが超絶美系というのもいいんだけど
どうやら度を越えた美しさというのは、色んなところで
嫌な思いをするらしい。
美し過ぎるがゆえに前髪で顔を隠していた建築探偵桜井京介
そういうことだったのねぇ~と思い出してしまいました(^◇^;)
いやぁ~楽しかったです。
何より、リチャードの日本語の美しさが素晴らしい。
優しい敬語の使い方のお勉強にもなりそうです
これはシリーズなんだけど、とりあえず1冊購入。
予想以上に面白くって、続編を4冊慌てて購入しました。
しばらく続きます(^◇^;)