ページ数:238P
発売日:2007年05月
時は1899年。トルコの首都スタンブールに留学中の村田君は、
毎日下宿の仲間と議論したり、拾った鸚鵡に翻弄されたり、
神様同士の喧嘩に巻き込まれたり…
それは、かけがえのない時間だった。
だがある日、村田君に突然の帰還命令が。
そして緊迫する政情と続いて起きた第一次世界大戦に
友たちの運命は引き裂かれてゆく…
爽やかな笑いと真摯な祈りに満ちた、永遠の名作青春文学。
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現実離れした本を続けて読んでいたので
その流れを崩さないように、不思議系の積読本の中から
チョイスしてみました。
梨木作品の初体験は「春になったら苺を摘みに」でした。
何でもないような日常の流れの中で
ドキっとする考え方に触れる時の心のざわめきが好き。
春になったら・・・では「理解はできないが受け容れる」
自分もこうありたいと、思ったことを思い出します。
そして本作。
明治時代、考古学研究のため、トルコに留学した主人公:村田。
イギリス人の経営する下宿先で知り合ったギリシャ人やドイツ人。
異国で異宗教な友人達との日常。
文化も常識も考え方も違う人達との交流。
そんな中で、発掘品のずさんな扱いや管理にゲンナリしたり
拾ってきた鸚鵡が住人に加わり、その発する言葉に翻弄されたり
下宿の建築資材に遺跡の一部が使われていたために
そこに憑いていた?神様と外から持ち込まれた神様が
喧嘩になって、その騒動に巻き込まれたり
トルコを訪れた日本人との交流が温かかったり
さりげなく幽霊?やら神様が紛れ込んでくるんだけど
それが日常の風景の一部のようで違和感がない
こういうところが好き♪
神様に説教してしまう村田君が好き♪
けれど突然、戦争の為に日本に引き戻される
戻ってからも、忙しく、時に不思議で、どうしようもない日常を
バタバタと過ごす村田君。
そして最後に・・・
鸚鵡の発した言葉に涙がぁ~・゜゜・(lll>_<、lllll)・゜゜・。
トルコでの日常が頭の中を物凄い勢いで駆け抜けました
やっぱり梨木作品は好きです。
普通に変わった日常を描いているようでいて
ドキっとする思いが綴られている
触れるたびに心がザワザワする。
懐かしいような切ないような、そんな感じがたまらない
人は過ちを繰り返す
でもその度に新しい何かが生まれる・・・
・・・人が繰り返さなくなった時、それは全ての終焉です
「私は人間である。
およそ人間に関わることで私に無縁な事は一つもない」