
ページ数:253p
発売日:2008年09月
親戚の家からゆずりうけてきた、古い紅い箪笥。
年ふりたそのひきだしからは、時に不思議なものたちがあらわれる。
そして箪笥によばれるように、この界ならぬ人びとが
わたしを訪ねてやってくる―。
現実と非現実のあわいの世界をたゆたうものものを
細やかな筆致で描き出し、著者の新境地を示す連作小説集。
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久しぶりの長野作品は、少年が主人公のファンタジーのように、
甘くて長野ワールド全開のステキな言葉たちと違い
不思議で懐かしくて優しい物語。
そして主人公は「わたし」・・・女である。
不思議なものを見たり聞いたりするのは弟である。
既に結婚して子供もいるのに、その不思議っぷりは変わらない。
幼い頃から、不思議な言動を繰り返す弟を
変だと思わずに、それをすんなり受け入れる家族がステキだ。
梨木さんの家守奇譚のような雰囲気というのかなぁ~
どれくらいの不思議まで人は「まぁいいだろう」といって
許せるものなのか・・・
正にそんな感じ。
しかも、近所の人たちも、付き合いのある人達も
冗談のような、本気のような、普通は言わない事を
サラっと口にして、それをすんなり受け入れる「わたし」
そしてすぐに弟に連絡入れたりする。
箪笥の引き出しが開かなくなったら、酒を飲ませればいい。
ワインを与えたら、機嫌を損ねたらしいので
清酒を一升与えたら、引き出しが開いた・・・
前の持ち主が失くしたと思っていた洋服やアクセサリーが
何故か突然引き出しの中にあったり・・・
不思議な事が起こるたび、弟はちゃんと説明してくれる。
人から人へ渡り歩いてきた箪笥
弟に言わせると、箪笥が持ち主を選ぶらしい。
いやぁ~いいなぁ~
久しぶりにホッコリしましたぁ~