川の深さは/福井 晴敏 | mokkoの現実逃避ブログ

mokkoの現実逃避ブログ

現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

川の深さは (講談社文庫)/福井 晴敏
¥700 Amazon.co.jp
発行年月:2003年08月
サ イ ズ:398P 15cm

「彼女を守る。それがおれの任務だ」
傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。
彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、
少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。
やがて浮かび上がる敵の正体。
風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、
この国の暗部とは。
出版界の話題を独占した必涙の処女作。
----------------------------
te-ma01←参加してます。

テーマ読み:第8弾で、最終話は川。
初めましての作家さんにして、処女作。

これが処女作ですか??
このレベルの高さは何ですか??
第43回江戸川乱歩賞は逃したものの、選考委員会で
大きな話題になったらしい。そりゃなるっしょ!

調べてみたら、『亡国のイージス』と『終戦のローレライ』を
書いてる人でした。
映画は観てないけど、結構話題になったので
タイトルだけは知っている。

序章では、社会派サスペンス的ニオイがプンプン。
難しいのかなぁ~と思っていたんだが
主人公の桃山剛の登場で、もしかしてハードボイルドか?
と一瞬不安になる。

お前の図体と面相で、天下を取れる仕事は
ヤクザか警官しかないと言われ、警官になったら
配属されたのが暴力団対策課。なんという運命の皮肉!
それなりの関係を築きながら仕事してきたのだが、
ある事件がきっかけで警察を辞めて警備会社に就職。
グータラ警備員をきめこんで、それでいいと納得していた。
そこに飛び込んできたのが葵と保。
その出会いによって桃山の世界は一変する。

そして物凄い勢いで物語はばく進します。
いつでもどこでも緊張が居座っていて、次の展開が読めなくて
戸惑ってる暇も与えられずに物語に引きずられ、話は大きくなる。
少しずつ見えてくる保の過去。
冷静で冷徹で、鍛え抜かれた肉体と精神。
そのように作られた保は何故、葵を守ることを任務と課したのか。

権力、陰謀、裏切り、策略、報復、理不尽で無情で熱い。
他人事でしかない社会への問題提起と、密度の濃い人間ドラマ。
下手な事を書くと陳腐になってしまいそうで書けないよぉ。

何度も泣きそうになる。
戦闘シーンですら、ウルウルしてしまう。
それは、やっぱり保のハイスペックな力と
やり遂げるという意志の強さ。
先の先を読み、何度も「そういうことかぁ~」と
感嘆の雄叫びを上げたくなる。

後半の「任務完了」では、涙を堪えるのが大変でした。
最後にどんでん返しが待ってないかと期待したくなる。
そうすると安っぽくなるのはわかっているけど
期待せずにはいられない。
最後の余韻の残し方も最高で、やっぱりウルっとしました。
きっと誰もが自分の中で作り上げた双眸を思い浮かべたでしょう。
最高に感動しました!

タイトルは作中に出てくる心理テストからとってます。
川の深さは・・・
なんて似たような奴らばかりが集まったことか・・・
現時点で、今年読んだ本の中で1番です!
2冊残したけど、それは後でゆっくり読みます。
ってことで、大満足で夏限定のテーマ読みを終了します。


まとめのページに飛びます。
mizu02
バナーはハンドメイドです。