砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない/桜庭 一樹 | mokkoの現実逃避ブログ

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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)/桜庭 一樹
¥514 Amazon.co.jp
発行年月:2009年02月
サ イ ズ:201P 15cm

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。
見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。
あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、
一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、
自衛官を志望していた。
そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。
嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっていく。
だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日―。
直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。
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初読みです。
GOSICKはアニメで楽しませていただいたのだが
活字は初めて。
やたらと巷を騒がせてくれた著者の作品。
初読み作品の選択には迷うんだけど
これはmirokuさんのアドバイスで購入。
mokkoの入門編としては妥当だと思う。

しかし、これは・・・困ったなぁ~
率直に言って、合わない。
まぁ~テーマというか、背景にあるのが虐待だから
そういうのが好きじゃないというのもある。
ただ、困ったというのは、言葉の遣い方が面白い。
話のテンポがいいのか、何なのか読みやすい。
眉間に皺を寄せながらも、スイスイ読めてしまう。
これって困った本だよね・・・

印象としては蛇にピアスが近いかな?
そこまでは悪くないけど・・・
何となく良さそうな終わり方をしてるようにみえて
嫌な感じが澱のように胸の下の方に残るのよ。

なんせ初っ端から、新聞記事として結末が書かれている。
その結末に向かって話が進んでいくから、その過程で
あぁ~とかウワッとか思うわけ。
しかも誰もが経験している痛過ぎる思春期。
抱えているのはジレンマではなく理不尽さ。

なんだか色んなものが重なり過ぎていて、疲れる。
それぞれを個々に見てみるとそうでもないんだけど
重なり過ぎると疲れる。
ちょっと青春的に残酷だったり、切ない部分あり。

目線は山田なぎさ(わたし)。母と兄の3人暮らし。
母の給料だけでは生活が苦しいから、早く社会に出て
実弾(現金)を手に入れたいと願いながら、家事の一切を
引き受けている妙に冷めた感じの中学生。

兄は3年前に突然ひきこもりになった美形の高校生。
ひきこもりのくせに、妙に達観していて、家計が苦しいのに
通販で変なものを買いまくる貴族様だ。
しかし、妹(わたし)のちょっとした変化を見逃さない。
妹の為に3年ぶりに家の外に出て、ゲロを吐いたシーンは
感動すらした。

そして、自分は人魚だという色白で美しい転校生の海野藻屑。
父親は一時期一世風靡した美形のロックシンガー。
子供に(うみのもくず)なんて名前をつけた時点で、愛情なんてない。
だから虐待している。表面上では見えない場所に
痣をつけるという常套手段を使って・・・

山田なぎさに、やたらと絡んでくる藻屑。
なぎさも、好きじゃないけど嫌いじゃなくて、やっぱり好き?
色んなことがわかってきて、悲しくて痛くて
それでも結末に向かっていく。

帯に書かれた「好きって絶望だよね」
セリフだけ見ると、カッコよく見えるけど
虐待されても相手に好意を持っている子は、
きっとそう思っちゃうんだろう。

ストックホルム症候群と、多重人格の分かれ目って
どこにあるんだろう・・・なんて思ってしまった。
親に頼るしかない、ある意味逃げ場のない中学生の痛過ぎる話。
眉間に皺寄せながらも、あっという間に読んでしまって
不快感がまだ残っている(-。-;)