名探偵に薔薇を/城平 京 | mokkoの現実逃避ブログ

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名探偵に薔薇を (創元推理文庫)/城平 京
¥798 Amazon.co.jp
発行年月:1998年07月
サ イ ズ:312P 15cm

怪文書『メルヘン小人地獄』がマスコミ各社に届いた。
その創作童話ではハンナ、ニコラス、フローラが順々に殺される。
やがて、メルヘンをなぞったように血祭りにあげられた死体が発見され、
現場には「ハンナはつるそう」の文字が……。
不敵な犯人に立ち向かう、名探偵の推理は如何に? 
第八回鮎川哲也賞最終候補作、文庫オリジナル刊行。
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テーマ読み第9弾は、そのまんま名探偵!
初めましての作家さん。
しかも、mirokuさんと翠香さんとのトリプルブッキング!
最初に読んだmirokuさんの感想をみて、これは期待度大!
しかし、テーマ読み開始から、最初の1作を除いて
軽くて読みやすいものばかりが続いていて、大丈夫か?と
心配になってみたり・・・

で、読んでみて、これほどテーマ読みに相応しい本はないでしょ!
これはミステリに登場する名探偵を描いた作品。
そして名探偵が背負っている業や苦悩が描かれています。
本作は2部構成になっているのですが、こういうのは初めて。
一部だけでも完成されてる作品で通ると思う。
あ・・・mokkoはミステリ初心者ですから!

マスコミ各社に奇怪な創作童話「メルヘン小人地獄」が送りつけられた。
内容的には、とある博士が毒薬を作る為の材料として小人を犠牲にした。
小人は復讐しようとするが、博士はポックリ死んでしまう。
収まりのつかない小人はハンナ、ニコラス、子供のフローラを選び
歌いながら順々に殺すというもの。
しかし、童話さながらの殺人事件が起こってしまった。

舞台になるのは藤田家。
藤田克人、恵子夫妻と、娘の鈴花、そして家庭教師の三橋。
三橋が駅のホームで不審な男に声を掛けられる。
「小人地獄をご存知か」
ここから物語りは始まるのだが、第一の犠牲者になったのは恵子だった。
そして童話を模したような殺人がまたしても起きてしまう。
その描写たるや、リアルにグロイの一言に尽きます。
更には犯人と名乗る男が藤田家を訪れ脅迫する。

藤田家の娘の家庭教師兼、相談役でもある三橋は
万策尽きて言います。

「名探偵を呼びます」

あっ( ̄O ̄!人物紹介を見ていたのに、すっかり忘れていた。
三橋が探偵かと思っていたけど、もう1人いたのよね・・・
しかも、名探偵を呼びますって・・・そういうストレートな言い方も
初めて聞いたような・・・

高校生の時から名探偵と言われ、けれど無表情で人を寄せ付けない
名探偵:瀬川みゆき。
尊敬はされても、親しみをもたれることのない探偵。
けれど三橋だけは、一定の距離を保ちながらも、
ある意味、友人として機能していた。
藤田家を訪れた瀬川。無表情な瀬川が鈴花と対面した時
わずかに見せた動揺。
名探偵瀬川はものの見事に事件を解決します。

そして二部は、事件から2年後。
三橋の後輩である山中冬美が鈴花の家庭教師を引き継いていたのだが
紅茶のポットに入れられた毒によって冬美が死んだ。
使われた毒は「小人地獄」だった。
再び藤田家を訪れた瀬川だったが・・・


いやぁ~もうビックリですよ。
こんな二部構成初めてですってば!
一部だけでも、かなりドキドキして読んだのに
二部を読んだら、一部は序章だったのかって思うしかない。
これは苦しい。切ない。辛すぎる。
二部の衝撃は半端ない。
どんだけ感情を振り回されるんだ?って感じよ。
瀬川に頼らないようにしていながら、呼ぶしかない。
そこには苦しい事情が隠されているわけなのだが
それを知った瀬川は更に苦悩する。

「お前は間違っていなければならない」

あぁ~何ということだ・・・

そして読みながら思った。
桜井京介みたいな感じじゃないのか?って・・・
全てとは言わないまでも、似たような事を
京介も言っていたはず。
探偵役を拒み続けていながら巻き込まれてしまう京介と
名探偵でい続ける瀬川。
同じニオイを感じてしまったのはmokkoだけか?
これは翠香さんには是非とも早く読んでもらって
感想を聞きたいところです。
( ̄O ̄!アッ・・・脱線しました。

何と言うか、面白かったと言っていいのか?
面白かったんだけど、そう言ってしまうのが
いけないような読後感でした。

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