
発行年月:2011年06月
サ イ ズ:348P 16cm
流行歌を血で書きなぐり、情夫と共に無理心中を遂げた双子の姉。
残された姪を預けるため、帝都東京より青森弘前を訪れた幸代は、
市松人形のように長い髪を垂らす美しいイタコ、千歳と出会う。
姉の死の真相を探ろうと、幸代は降霊を頼むが……。
超常現象を論理的に推理する千歳と、幽霊の声を聞いてしまう
幸代のコンビが、猟奇的な事件に挑む傑作オカルティック・ミステリ。
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テーマ読み3人目のヒロインは、イタコの千歳
ほらぁ~やっぱり青森出身者としては
入れておかないとねぇ~(○ ̄m ̄)
オカルティック・ミステリとなってますが
全然怖くないです。
ちなみにイタコが被害者の霊を呼び出して
犯人の名前を聞くなんて反則技は使ってないです。
なんたって千歳さん。イタコのくせに説明のつかない
不可解な現象を嫌うんですよ(^◇^;)
そして誰もが想像するイタコと言えば、恐山で
クチヨセしてるイタコ。
だけどこちらのイタコは、mokkoの田舎で言うところの
カミサマみたいなもので、地域に密着してる親しみ安いタイプ。
舞台は大正中期から昭和初期の青森県は弘前!
東京で情夫と無理心中事件を遂げた双子の姉:雪代。
残された子供の本当の父親は弘前でも一目置かれている
大柳家の次男。
以前、付き合っていた二人は親からの猛反対で引き裂かれ
次男は心を病んでしまった。
例え事件を起こしたとはいえ、残された子供は次男の血を継いでいる。
世間体を考えて、残された子供は大柳家に引き取られる事になった。
双子の妹である幸代は、姪の安子を連れて弘前に向かうが
そこで盲目の巫女(イタコ)千歳と出会う。
姉の死に納得がいかない幸代は、千歳と出会ったことで?
不思議な体験をすることになるのだが・・・
本作は4作の短編集ですが、1つの事柄で繋がっています。
少々期待していた降霊シーンはありません。
いや・・・1箇所だけあった。周りが気付いてないけど・・・
千歳は霊力を使わずにちゃんと推理してます。
逆に不思議な体験をするのが幸代。
霊媒体質?なのか、千歳のそばにいたからなのかは知らないけど
不思議な体験が事件を解決する訳でもないし
千歳が推理するとはいっても、謎解きをする訳でもない。
幸代目線で話が進み、幸代が見聞きすることで
周りの状況が見えて、事件が解決しているって感じ。
ミステリには違いないのだが、事件が起こって刑事やら
探偵が出て来て捜査をして核心に迫っていくって感じではない。
なんというか、ほっこりしてしまうミステリでした。
そして何より楽しかったのは方言でしょう。
弘前の方言はmokkoの田舎の方言とはちょっと違うけど
共通点がたくさんあって、噛締めながら読みましたよ。
何がいいって、普通の言葉の上に丁寧な方言のルビがふってある。
噴出しそうになったのが、「教えて」にふられたルビが
「しかせて」だったこと。
これ、弘前の人から「何かわからないことがあったら
なんでもシカセテね」と言われた事があるのだが
意味がわからなかった。
で、後で教えてって意味の丁寧な方言だと教わったんだけど
その時の事を思い出したんだなぁ~
ちなみに、普通の方言では「シガヘデ」と言う(○ ̄m ̄)
オマケですが、太宰治好きには、背景とか登場人物の一人に
ニヤリとするお話かも・・・

素材屋さんは→ Heaven's Garden