わたしの鎖骨/花村 萬月 | mokkoの現実逃避ブログ

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決して狙った訳ではありません。
成り行き上、こうなっただけで・・・
目→ヒップ→鎖骨
タイトルを見て、今度はどんな手だ?と思った人
どんな手も使ってないです( ̄▽ ̄;)ゞ
いや・・・著者名を入れなかったのは罠かも・・・

 

わたしの鎖骨 (文春文庫)/花村 萬月
¥510 Amazon.co.jp

単車で転んで彼女にケガさせた。
でも、彼女の白い肌もBMWも俺には同じ位愛しくて。
伊豆の海沿いのカーブで、歌舞伎町の路上で、
また二人きりの空間で生み出される
“青春”という時間のつらなり。


そこに在るのは、自由すらもて余してしまう
凶暴な情熱と、ほんの少しの虚しさ…。
切なくて、愛しい青春の五断片。
表題作の他に『カオル』『秋の話』『ハコの中身』
『新宿だぜ、歌舞伎町だぜ』の5編収録
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この本は、Mirokuさん が教えてくれたんですよ。

本屋&古本屋巡りをフィールドワーク?とする
Mirokuさんの脳みそに「mokkoは鎖骨フェチ」という
衝撃的な単語が刷り込まれてしまったようで
大量に積まれた本のタイトルから「鎖骨」という文字を
見事に拾い出してしまったらしいのです。

 

早速、検索をかけて驚いた。
首筋から美しい鎖骨のラインを妄想していたのに
カバーイラストはモロ鎖骨。
肉の付かない正真正銘のだった( ̄O ̄;) ウォッ
肉が付いた殿方の鎖骨が表紙だったら
mokkoのような鎖骨フェチがたくさん釣れたろうに・・・

 

前置きはこれくらいにして・・・
初めての作家さんです。
表題作の鎖骨の持ち主は女性でした(||||▽ ̄)
いや・・・いいんだけど・・・

 

何と言ったらいいのでしょう・・・
痛いです。
描写が緻密で濃いんですよ。
リアル感ありありなんですよ。
単車で事故って病院行きになった人なら
想像つくと思います。

 

mokkoは経験がないけど、話を聞いただけで怖い。
ただ、車に撥ねられて空を飛んだ経験があるので
その描写のリアルさにフラッシュバックしましたよ。
話の中の「部分」に関して執拗なくらい緻密です。
なのに他人事のように淡々と語る。

 

冷めているようで、どこか期待していて
求めているようで、どこか虚しくて・・・
これが切なくて愛しい青春というのなら
そうなのでしょう。

 

『カオル』にはやられました。
騙された!

そっちかよ!って感じで・・・

 

『秋の話』は、50歳になったオヤジの感傷?
自分の誕生日に17歳の息子と待ち合わせして
銀座の寿司屋に行く。
こういう親子なら、息子も暴走しないだろうなぁ~
十代の男の子って、そうなんだぁ~って感じ。

 

『ハコの中身』は70年代後半の新宿のディスコの
ハコバン(ハコのバンド)のギタリストのお話し。
ブスの緻密な観察と嫌悪にゾっとする(^◇^;)

 

『新宿だぜ、歌舞伎町だぜ』は、
挫折して、歌舞伎町の店の用心棒になった
元エリート相撲取りと、臆病な相撲取りのお話。


臆病相撲取りのお店のホステスさんを
元エリート相撲取りさんが連れ去った。
臆病相撲取りはマネージャーに案内されて
歌舞伎町では一目置かれている「眠り猫のダンナ」の
ところに相談に行き・・・

 

この著者は「性と暴力の作家」と言われているようですが
確かに本作にも、そういう描写はあるけれど
それだけを描いているわけではないので
暴力の描写が嫌いなmokkoでもサラリと読めました。

 

作品の焦点の当たった部分がとにかく濃密で緻密。
そして読後感は爽やかとは言えないなぁ~(^◇^;)

 

青春の無駄な熱さというか、虚しさというか
どこかで繰り広げられてる1シーンを
覗き見してるような罪悪感すら感じた。
それくらいに執拗で緻密なんですよね。
嫌いではないんだけど、たぶん、もういいかな?(^◇^;)