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木琴歩徒氏のブログ

木琴歩徒氏の独り言ブログと、出かけたクラシック音楽のコンサートのレポートです。

○2024.1.3(水)15:00~ オペラシティ 1階15-○
 サンドロ・クトゥレーロ:ウィンナ・ワルツ・オーケストラ
  S)ナタリヤ・ステパンスカ(△)、バレエダンサー4名(▽)
   ~ 第1部 ~
  E.シュトラウス:ポルカ「ブレーキかけずに」
  J.シュトラウスⅡ:ワルツ「春の声」
  ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第8番▽
  J.シュトラウスⅡ:ポルカ・シュネル「狩り」
  ジーツィンスキー:ウィーン、わが夢の街△
  ヨゼフ.シュトラウス:ポルカ「憂いもなく」
  J.シュトラウスⅡ:入り江のワルツ▽
  J.シュトラウスⅡ:トリッチ・トラッチ・ポルカ ▽
   ~ 第2部 ~
  J.シュトラウスⅡ:ワルツ「南国のバラ」▽
  レハール:「私は恋をした」(喜歌劇「この世は美しい」)△
  J.シュトラウスⅡ:ナポレオン行進曲
  レハール:ワルツのメドレー(喜歌劇「メリー・ウィドウ」)▽
  ロウ:「踊り明かそう」(映画「マイ・フェア・レディ」)△
     フィナーレをアンコール△
  J.シュトラウスⅡ:ポルカ「雷鳴と電光」
  J.シュトラウスⅡ:ワルツ「美しく青きドナウ」 ▽
   ~ アンコール ~
  J.シュトラウス父:ラデツキー行進曲
  ヨゼフ.シュトラウス:ポルカ「お喋りな可愛い口」
  プッチーニ:「私のお父さん」(歌劇「ジャンニ・スキッキ」)△
  ビゼー:歌劇「カルメン」前奏曲▽
(会場入口のポスター)
 松の内にウィーン物聴くのが、1986年以来私の新年の恒例。これまで
はサントリーホールで、ウィーン・フォルクスオーパー響を聴くことが
多かったが、今年はオペラシティのニューイヤーに初めて行って見た。
演奏するのは23回目の来日となる、ウィーンを本拠とするオケとのこと。
しかし余り聞いたことがない名称で、常設なのかどうかも明示されてい
ない。弦6・2・2・2・1、それに木管・金管各5、打楽器という小
編成。毎回同行する創設者のマエストロは、1961年生れのイタリア人と
のことである。ホール主催公演ではないためか、お正月の飾付けはロビ
ーの壁の奴凧くらい。ステージの客席寄りには、バレエに使うシートが
敷かれている。コロナが明けて人出は良好で、3階席以外はほぼ満員。
全席均一料金なので普段は縁がない、1階席中ほどの上手寄りで聴く。
(終演直後のステージ)
 曲目はスラヴ舞曲とマイ・フェア・レディを除けば、ウィーン物の定
番名曲ばかり。マエストロは冒頭英語で短いスピーチをすると、早くも
「アケマシテ、オメデトウゴザイマス」と流暢なご挨拶。ワルツもポル
カも驚くほどテンポが速く、この演奏は少々鼻につく。ダンサーは若い
男女2組で、期待以上の溌溂としたバレエを披露。小柄なウクライナの
ソプラノも、良く通る美声を響かせ喝采を浴びていた。ウィーン音楽を
じっくり聴かせるというよりも、ウィーンの新年の雰囲気を楽しませる
演出。音楽だけではつまらないということか、バレエの出番がやたらと
多い。「雷鳴と電光」や鉄砲を持って指揮した「狩り」では、聴衆に手
拍子を督促。「憂いもなく」は楽員の「ハッ・ハッ・ハッ」の掛声入り。
アンコール2曲目の後では客席に向かい、マエストロが三本締めの音頭
取り。聴衆を飽きさせないようにと、盛り沢山の趣向であった。
(元日のダイヤモンド富士)
 面白かったのはアンコール。いきなりラデツキーが始まり、今日は早
仕舞いなのかと思ったら、その後に3曲もやる大サービス。フランス物
の「私のお父さん」「カルメン」は意外や意外だった。来年のお正月も
聴きに行くかどうか。しかしあの速いテンポでは、少し考えてしまう。

          謹賀新年

   本年も駄文と適当にお付き合いください。

 

 昨年と同様大晦日は、近所に住む中二の孫とランチを

しました。場所はいつも行くB級中華とは逆隣の駅前

イタリアン・ファミレス。年末年始パパ(愚息)は仕

が大忙しなので、ママと2人で登場です。地元の野球

ームの練習が週2日、野球スクール通いが週3日とい

多忙なスケジュール。早いもので来年の後半には、もう

受験の準備に入ります。私もついこの間こうだった

な・・・・。

 

 (㊧人参のサラダ  ㊨アラビアータ(ペンネ)とポップコーン・シュリンプ)

 

 

 (㊧モッツァレラ・ピザ  ㊨塩味ボンゴレ)

 

 

 (㊧イカ墨のスパゲッティ  ㊨チキンのチーズ焼)

 

 夕方はこの時期だけ見られる、ダイヤモンド富士を撮

影するつもりでした。しかし西の空には雲が湧き出し、

陽射しは全くありません。これは無理だと諦めました。

 前日30日にも撮りに出かけたのですが、山頂に横長雲

がかかってダイヤモンドは見られず仕舞い。雲の色調は

幻想的で美しいのですが、安物デジカメでは再現できな

いのが残念です。

 (12月30日夕刻の富士)

 大晦日の夕食は年越し蕎麦です。商店街の店頭で買

た美味しそうな天婦羅(普段は売っていません)と、冷

蔵庫の残り物をおつまみに先ず晩酌。柔らかな身欠鰊の

温蕎麦で締めました。8時からN響の第九(下野竜也

揮)をTVで鑑賞して、11時前には早々と就寝しました

 

 元旦はいつも通り6時に起床し、トーストで軽い朝食。

近所を散歩した後は10時から、夫婦2人で新年のお祝い

をしました。ささやかな定番メニューですが、家内お手

製のお節です。その後は電車で3駅乗って、富士を見な

がら多摩湖を散策。ノンビリと過ごしました。

 

 夕方は今日こそはと気張って、ダイヤモンド富士の撮

り初め。本日は雲一つない快晴・弱風、絶好のお天気で

す。絵に描いたように山頂のド真ん中に沈む、ダイヤ

ンド富士が見られました。数年に一度しか出会えない、

幸先良い新年のスタートです。

 ダイヤモンド富士の撮影中だったので、北陸地方の

地震には気づきませんでした。帰宅後TVで見て驚い

ております。何もできませんが被災された方々には、

よりお見舞い申上げます。

 近所に住む愚息は、年末年始が仕事のピークで超多忙。

忘年会は12月初めまでにやるのが、通例になっています。

今年も隣駅前の、いつものB級中華屋でやる予定でした。

ところが中2の孫がインフルエンザで発熱し、2日前に

なって急遽キャンセル。ジジババだけの、ミニ忘年会と

なりました。

 

(㊧生ビールとピリ辛大根  ㊨紹興酒熱燗)

 

 3年前コロナ禍で中止した、松江、出雲、石見銀山に旅行

しました。築15年経ったので、浴室と洗面所をリフォームし

ました。それ以外には、大きな変化はない1年でした。

 

(㊧名物・焼餃子  ㊨麻婆豆腐)

 

 私が完全リタイアしたのは4年前。半年ほど懸案事項を整

して、年明けに沖縄旅行をしたら突然のコロナ禍に。夫婦

旅行するキッカケを失ったようで、それ以来あまり遠出は

ていません。日帰りで近場に出かけて、夜は家でノンビリ

る方が性に合っているようです。

 

(㊧上海焼そば  ㊨大根甘酢漬)

 

 私が今の家に元気で住むのは、あと10年位だと思います。

他方家内はとなると、あと20年は住むのでしょうか。何れに

せよ水回りは、どこかで手を加える必要があります。それな

らばと、ガタが目立ち始めたこのタイミングで、浴室と洗面

所のリフォームをした次第。次はキッチンですね。

(飯守泰次郎のカーテンコール)

 

 今年は全部で60回の演奏会に行きました。うち日フィルが        21回(カーチュン7回、コバケン8回)、N響が10回(ルイ           ージ4回)でした。ベストはカーチュンのマーラー3番。ル          イージの8番を凌ぐ名演でした。思い出に残ったのは飯守泰       次郎の白鳥の歌となったブルックナー8番と、野村萬斎演出        の抱腹絶倒の「こうもり」。そのほかも十分に楽しみました。

(静岡市内より望む富士)

 

 大晦日のベートーヴェン交響曲全曲演奏に、行かなくなっ

て2年目となります。ノンビリと過ごす年末年始です。今年

も駄文に適当にお付き合い頂き、ありがとうございました。 

どうか良い新年をお迎えください。

○2023.12.25(月)19:00~ 東京芸術劇場 2階○-48
 小林 研一郎:日本フィル(第九特別演奏会2023)
  J.S.バッハ:高き天よりわれは来たれり BWV738、org)石丸 由佳
    〃  :主よ、人の望みの喜びよ BWV147
    〃  :トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
  ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調op125「合唱つき」
   S)小川 栞奈、A)山下 牧子、T)錦織 健、Br)大沼 徹、武蔵野合唱団
(会場入口のポスター)
 年末の恒例行事となっているコバケンの第九。大晦日の風物詩「全九」
(2007~21年)での演奏を含めると、これが通算39回目となり我ながら
呆れている。新型コロナが5類に移行し、漸く平穏な日々が戻った年の
瀬。チケットの売行きは好調で、当日券はあったようだが場内はほぼ満
員の盛況である。
 最初は2002年から続いている、日フィル名物のパイプオルガン独奏。
ステージの照明が落とされ、オルガンがバックライトに浮かび上がる。
1曲目はオルガン小曲集のクリスマス讃歌。ツィンベル・シュテルンの
鈴の音が可愛らしい。次はポピュラーなコラール。ゆったりと穏やかな
メロディが、場内を落ち着かせ心が洗われる。トリは定番のトッカータ
とフーガ。重低音の振動が圧倒的で、荘厳な雰囲気が場内に浸透する。
オルガンの演奏は15分弱で終了し、遅れた聴衆が入場してくる。ここで
休憩となるのだが、果たして必要なのかどうか。
(終演後のステージ)
 本日の席は2階上手の前方。オケは弦フル編成でコンマスは木野雅之。
合唱団は楽譜を持たずに冒頭から着席し、上手に男声約50名、中央から
下手に女声約110名。アマチュア合唱団が、漸く通常の人数で歌えるよう
になり一安心である。1楽章の遅いテンポは長年親しんで来た、マエス
トロ不変のスタイル。しかし初めて聴いた20数年前を思い出すと、明ら
かにテンポは遅くなり音色は重厚さが増している。唸り声が殆ど出なく
なったのが、一番大きな変化だろうか。続く2楽章は一気呵成に押し通
し緊張感が高まる。ここでソリストが合唱団の最前列中央に入場。バリ
トン以外は昨年と同じ顔ぶれである。ソプラノはクリーム、メゾはエン
ジのドレスで、第九特有の華やいだ雰囲気が漂う。
(カーテンコール)
 3楽章は遅いテンポで歌わせ、オケが止まる寸前になる。そして4楽
章には聴衆を制しアタッカで突入。チェロが歓喜の主題を弾く直前のパ
ウゼは、5秒近くはあっただろうか。合唱団はこれまでより早く、フル
・オケの歓喜の主題が出る所で起立。バリトンの「O Freunde!」で始ま
る、独唱陣の歌合戦は四者相譲らず。オケの後ろで歌う美声が明瞭に聴
けるのは、2階前列ならではだろう。盛上りのピーク「vor Gott」は凄
い迫力。そこから先のお祭り騒ぎは、聴き慣れたコバケン節の真骨頂。
そしてフィナーレは一旦リタルダントをかけ、猛烈な勢いで駆け抜けた。
まさに燃え上がるような炎の第九。怒涛のような拍手の嵐となり、久し
振りにブラボーが飛び交った。マエストロはオケの中に分け入り、ホル
ンのトップ(実に上手かった)を手始めに次々と楽員を立たせて行く。
合唱団の女性がコール中に転倒するハプニングもあったが、大事には至
らず一安心。世界陸上金メダルの北口榛花選手(私の直ぐ近くに着席)
のご紹介もあり、場内は和らいだ雰囲気に。最後はマイクを持ったマエ
ストロ、聴衆を鎮めてスポンサーへの謝辞と年末吉例のご挨拶。楽員・
ソリスト・合唱団が揃って、何度も礼をした後お開きとなった。
            (吉例につき以前のレポートをかなり流用)

(多摩湖の取水塔)

 

 これが本年聴き納めのコンサートです。今年も駄文にお付き合い頂き、

ありがとうございました。どうか良いお年を、お迎えください。

 私は携帯電話を殆ど使いません。自分の時間に割込まれるのも、

人の時間に割り込むのも嫌だからです。固定電話も含め、なるべ

くメールで連絡するようにしています。ただし念のため毎日1回、

携帯の不在着信は確認しています。

 

 3日ほど前に着信確認をしたところ、ログインが必要とのメッ

セージが突如出現。初めての経験です。続いて電話番号の入力と

なりましたが、キーボードが現れず入力不能に。そのまま画面は

まってしまいました。携帯電話会社のフリーダイヤルに掛ける

も、予想通り繋がらず。メールで連絡すると、意外にも2時間程

返信がありました。書かれていた対応方法は、スマホ音痴のジ

サンにはかなり難しい下記のような内容。しかしマニュアルの

リンクがあったので、試してみることにしました。

 ①ソフトやOSを最新バージョンにする。

 ②ソフトをアンインストールする。

 ③スマホを再起動する。

 ④ソフトを再インストールする。

 ⑤機内モードスイッチをオン・オフする。

 ⑥SIMカードを抜差しする。

 ⑦トグルスイッチをオン・オフする。

 

 設定をいじった後に、途中でギブアップすると一大事。先ずは

設定はいじらずに、スマホの画面を追って見ました。案の定⑦の

ステップで、マニュアルとスマホの画面が大きく違っています。

れでは諦めるしかなく、途方に暮れました。

 

 ⑦の作業で「設定」画面を見ていると、妙なことに気づきまし

た。SIMカードが未設定になっているのです。無論私がカードを

取り出したことなど、一度もありません。カードの不具合と直感

して、⑥の作業に挑戦して見ることにしました。クリップみたい

なSIM取り出し用ピンを保管していたので、抜差しは意外と簡単

にできました。その結果「設定」画面を見ると、何とSIMカード

は設定済になっています。携帯の不在着信を確認すると、これも

OK。SIMカードとスマホの、接触不良が原因だったのです。

 

 携帯電話会社の対応方法は、結果的に的外れでした。トラブル

の原因がスマホ側にあるのか、接続しているWiFi側にあるの

か、見極めるのが主眼になっているようです(後者の場合は責任

の範囲外)。家の中でインターネットを使う時はWiFi経由が

一般的ですが、携帯電話を使う時は相変わらずSIM経由で、携帯

回線に直接接続しているのです。携帯回線への接続を確認せず、

WiFiへの接続ばかりを気にした、携帯会社のお粗末でした。

 ひまわり(1888年・本展覧会のポスター)

 

 招待券があったのでSOMPO美術館(新宿)で開催されている、

ゴッホと静物画展に行って見ました。

 麦わら帽のある静物(1881年)

 

 17世紀から20世紀初頭までの、欧州の静物画の中にゴッホ

位置づけ、ゴッホが先人達から何を学び、それをいかに自ら

作品に反映させ、次世代の画家たちにどのような影響を与え

のかを探る、という企画です。

 野牡丹とばらのある静物(1886~7年)

 

 とは言っても絵画に不案内な身にとっては、絵を見て分かる

ものではありません。どれがゴッホの作なのか、プレートを見

なければ区別が殆どつかないのが正直な話。素晴らしい絵だと、

感心するしか能がありません。

 りんごとカボチャのある静物(1885年)

 

 当初は本美術館のリニューアル(移転)記念として、2020年

開催される予定だったものです。しかし新型コロナの感染拡大

より、今日まで延期されていたものだそうです。

 青い花瓶にいけた花(1887年)

 

 出品された70点近くのうち、ゴッホの作品は「ひまわり」

「アイリス」など25点。「ひまわり」が常時展示されている

この美術館で、ゴッホ展が開かれるのは20年振りということ

です。

 ばらとシャクヤク(1886年)

 

 ゴッホといえば「ひまわり」の高額落札と、スキャンダラス

な奇行で有名です。しかし緻密な静物画を見ると、画家として

日常的に精進を積んでいたことが感じられます。プロとしての

強靭な基礎があったからこそ、描けた「ひまわり」だったので

しょう。 

 アイリス(1890年)

 

 今回の展覧会では、特に禁止された作品以外は撮影OKでした。

全部撮影したらキリがないので、ゴッホの作品の中から数点を

撮影してみました。皆さんスマホでの撮影で、私のようにコン

デジを使うのは少数派。ジジーに限られるのには苦笑させられ

ます。

 皿とタマネギのある静物(1889年)

 

 展覧会の後は久し振りに、新宿駅の周辺を歩いてみました。

西口の小田急デパートは再開発で取り壊されて、火が消えた

ようです。東口には外国人観光客が戻り、活況を呈していま

した。少し足が遠のくと、どんどんお上りさんになって行き

そうです。

  水差し、皿、柑橘類のある静物(1887年)

○2023.12.17(日)14:00~ NHKホール 3階○-28
 ファビオ・ルイージ:NHK響(#2000定期)
  マーラー:交響曲第8番変ホ長調「一千人の交響曲」
   S)ジャクリン・ワーグナー、ヴァレンティーナ・ファルカシュ、
   三宅理恵、A)オレシア・ペトロヴァ、カトリオーナ・モリソン、
   T)ミヒャエル・シャーデ、Br)ルーク・ストリフ、Bs)デーヴィ
   ッド・ステフェンス、新国立劇場合唱団、NHK東京児童合唱団
(会場入口のポスター)
 N響第1000回定期でメンデルスゾーンのオラトリオ、「エリア」を聴
いたのは1986年10月。指揮は巨匠サヴァリッシュでワイケル、ポップ、
ザイフェルトといった、往年の世界的名歌手が名を連ねていた。それか
ら37年が経ち第2000回定期を聴く段になると、自分の半生が走馬灯のよ
うに思い出される。今回の演目はマーラーの大作「千人交響曲」。定期
会員による投票で「7つの封印の書」「楽園とペリ」を押さえての選出
となった。サヴァリッシュを師と仰ぐ首席指揮者ルイージが振る。記念
すべき一大イベントとあってチケットは早々に完売。ふだんは閑古鳥が
鳴いている、3階の天井桟敷も立錐の余地がない。
 この曲はかなり異質な交響曲である。マーラーの特徴である攻撃性、
分裂性、諧謔性などは影を潜めて神への讃歌一色。管弦楽や合唱の規模
は極大化の限りである。また長大な第2部「ファウスト終幕の場」は、
交響曲と言うよりは殆どオラトリオ。声楽が苦手な私が進んで聴くこと
はないが、今まで聴いた時期は何故か人生の節目と重なっている。最初
は家庭を持った年(渡邉暁雄:日フィル)、次は厄年(若杉弘:東響)、
10年前の3回目は還暦(インバル:都響)。次に聴けるとしたら何時に
なるのだろうか。
(終演後のステージ)
 本日の独唱者のうち7名はコーラスの前に着席。大編成のオケの後ろ
なので、張り合って歌うのは大変そうである。楽譜を持った合唱団は、
後ろ2列半に男声が約50名、前3列半に女声が約70名。暗譜の児童合唱
団は約60名で、その前の打楽器群の両脇に陣取る。コンマスはマロ篠崎
史紀と郷古廉のダブル体制。オケは弦フルの4管編成でホルン8、フル
ート5(1本はピッコロ持替)。これにハープ4、パイプオルガン、ピ
アノ、チェレスタ、それに打楽器群。楽屋にはトランペット4、トロン
ボーン3のバンダ。「一千人」とまでは行かないだろうが、演奏者は優
に300人を越えていると思われる。
 「讃歌」と題された第1部は、冒頭からパイプオルガンと合唱が全開。
3階天井桟敷まで朗々と大音量で響き渡る。ソリストの競演も素晴らし
い。少数精鋭のプロ合唱団も迫力満点で、ラテン語の発音も揃っている。
マエストロはタクトを使わず、しなやかで鋭い身のこなし。3階席なの
で子細には分からないが、渾身の指揮ぶりである。この季節の恒例であ
る楽聖の第九交響曲を、つい連想してしまう20数分間であった。
(カーテンコール)
 一休みして開始した第2部は1時間の長丁場。冒頭はオケのみで単調
だが途中から合唱が入り、フィナーレでは第1部の主題が再度登場して
壮大な盛上がりとなる。素人的には第1部の焼直しとしか感じられない
のだが、大規模オケと声楽を駆使した職人技の展覧会。どなたかが仰っ
た「マーラーの見せ物小屋」という表現は、確かに当たっている。終盤
ソプラノ独唱1名は、上手バルコニーのオルガン奏者の隣で熱唱。ハー
プ4台とオケの掛け合いなど、他では聴けない代物である。フィナーレ
はホールを揺るがすような大音響。フライング気味の拍手が実に惜しい。
マエストロが真っ先に立たせたのはホルンのトップ。その後は鳴り止ま
ぬ大拍手に、何度もコールで応えていた。
(武蔵野神社の大銀杏)

 高校のクラス会が、5年振りに開催されました。4年

の春に予定されていましたが、コロナ禍となって中止

止むなきに。たまたま幹事だったのですが、手のつけ

れない宿題を抱えたままの状態でした。

 

(㊧会場の「音音」(おとおと))    (㊨前菜三種:胡麻豆富、生ハム、お浸し)

 

 会場は西新宿の高層ビルと、同一敷地内にある2階建

別館。2階に宴会用個室がある、和食レストランです。

か中華かアンケートを取ったら、圧倒的に和食という

になりました。高校卒業から50年、皆齢を取りました。

 

(㊧蟹つみれスープ)          (㊨鮮魚:季節のお造り二種)

 

 この日の参加者は14名。1クラス40数名でしたから、

加率は良い方ではないかと思います。ただ男女半々

ラスだっのに、女声の参加者が少なく、ジジーの呑

という様相になってしまいました。話題はお決まりの

の話、病気や介護の話、老後始めた趣味の話・・・・。

 

(㊧お凌ぎ:白菜漬け鮨、乾瓢稲荷)   (㊨煮物:蓮根饅頭蟹餡かけ(ピンボケ!))

 

 私が高校生だったのは、盛上った大学紛争が曲り角となっ

た頃。1年生の秋に大学紛争が飛び火し、校長室バリケード

封鎖・機動隊導入・全校ロックアウト。2年生の時は反動

無力感が広がり、退廃的な雰囲気。3年生になるとそのまま

受験勉強に突入。そんな世相でした。私のクラスは2年生の

時、文化祭で演劇を行い秩父でキャンプをするなど、比較的

まとまってはいたのですが・・・・。

 

(㊧焼物:豚黒糖焼、銀鱈西京焼)    (㊨食事:帆立炊込みご飯、赤出汁)

 

 5年振りの再会となった70歳のジジババ達。もう君付けで

呼んでくれるのは、こういう場しかなくなっています。頭が

くなっただけの人、街ですれ違っても殆ど分からないだろ

う人、この歳になると外見は様々です。でも談笑する姿を見

ると、50年前にタイムスリップしてしまいます。自分同じ

ように、皆も歳を取って行くんだ・・・・。

 あっという間の2時間半。宿題の幹事役を無事果しました。

○2023.12.9(土)14:00~ サントリーホール 2階P2-○
 カーチュン・ウォン:日本フィル(#756定期)、Mrb)池上 英樹
  外山 雄三:交響詩「まつら」
  伊福部 昭:オーケストラのマリンバのための
        「ラウダ・コンチェルタータ」
  (アンコール)ハーライン(池上 英樹編):星に願いを
  ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調op47
(会場入口のポスター)
 グラズノフなどのロシア音楽の秘曲を、桂冠指揮者ラザレフが振る筈
だった日フィル定期。プーチンによるウクライナ侵攻の影響で、4回連
続で来日は見送りとなりプログラムは全面変更。新首席のカーチュンに
より外山雄三、伊福部昭、それにショスタコ5番が演奏された。邦人の
作品が2曲とは、いかにもカーチュンらしい選曲。ステージにはピアノ、
ハープ、マリンバなどと共に、打楽器群が所狭しと居並ぶ。オケはフル
編成でコンマスは田野倉雅秋。2階後方以外は8割方の入りと盛況であ
る。Pブロック下手最前列の、いつもの年間定期会員席で聴く。
 最初は7月に92歳で亡くなった外山雄三の曲。佐賀県北部松浦(古称
まつら)地方の古謡を素材とした交響詩で、市民2千人が募金で協力し
て完成。1982年に日フィルが唐津で初演した、所縁の曲とのことである。
前半は哀愁を帯びたゆったりした曲想で、悠久の時の流れを感じさせる。
後半はテンポを次第に上げ、唐津くんちの祭囃子が白熱化。一瞬停止し
た後、賑やかなフィナーレに突入した。先月聴いた小山清茂でも感じた
が、カーチュンが紡ぎ出す日本民謡は極めて自然で、外国人が指揮して
いることを全く意識させない。自分の音楽に成り切っているのだろう。
(カーテンコール)
 2曲目は1979年に初演された、伊福部昭のマリンバ協奏曲。マエスト
ロとコンマスの間に、長さ3m程あるマリンバが運び込まれるが、少々
間延びした風景になるのは否めない。単一楽章で演奏時間は20数分。タ
イトルはイタリア語で、協奏曲風の讃歌を意味するのだそうだ。ダッダ
ッダッダッという原始的なリズムが執拗に反復され、それに乗ったマリ
ンバの響きが美しい。伊福部の特徴であるこのリズムから、ゴジラの驀
進しか想像できないのは、私の感性の貧弱さの故であろう。ゆったりと
した中間部は北国の広大な大地を想起させ、後半の土俗的な舞曲の迫力
は「春の祭典」顔負けの高揚感である。ソリストはジャズ・ロックなど、
様々なジャンルで活躍する世界的な打楽器奏者。黒づくめの服装で長髪
を後ろで束ね、2本ずつ握ったマレットから深みのある音色を響かせる。
なおこの曲のみオケは弦14型+Cb1。タクトは使わなかった。ソリスト
のアンコールは、癒し系の静かな曲。聴き覚えのある旋律が断片的に顔
を出すが、ディズニーの曲とは直ぐには気がつかなかった。
(会場のロビー)
 15分の休憩の後は2年振りに聴くショスタコの5番。この時もコロナ
禍でラザレフが来日できず、沼尻竜典が急遽代役のコンサートだった。
無機質な中に人間的な暖か味を感じさせる曲だが、この曲以外はこの作
曲家を進んで聴くことは殆どない。マエストロは暗譜でしばしば手を突
き上げ、いつものキビキビとした鋭角的な棒捌きである。
 1楽章は速めのテンポで緊張感に溢れる。魂の叫びのような弦のアン
サンブルが印象的。2台のハープやコンマスのソロが、効果的な隠し味
となっている。2楽章は諧謔的で快活。カチッと揃った弦のピツィカー
トが小気味よい。弦と木管を存分に歌わせた3楽章は息詰まる緊張感。
無調的だが透明な響きに心を掻きむしられる。休まず突入した4楽章は、
速めだが堂々たるテンポ。出だしの馴染みある旋律が、場内の興奮を掻
き立てる。金管が咆哮し打楽器が鳴り響く壮絶さ。眼下2mに位置する
木琴と小太鼓の、鋭い響きに圧倒される。歯切れのよい入魂の演奏には、
聴く方まで体が熱くなってしまう。フィナーレは圧倒的な迫力で、嵐の
ような大拍手に。真っ先に立たせたのはホルン。マエストロは一同礼で
楽員が退出した後も、コンマスを連れ出しコールに応えていた。

○2023.12.4(月)18:00~ 東京芸術劇場 3階E-○
 上野 正博:立教大学交響楽団(#62メサイア演奏会)
  ヘンデル:オラトリオ「メサイア」、cem/org)大藤 玲子
   S)隠岐 彩夏、A)山下 牧子、T)小貫 岩夫、Br)久保 和範
   立教学院諸聖徒礼拝堂聖歌隊、立教大学グリークラブ、ほか
(本公演のチラシ)
 私の年中行事となっている12月の「メサイア」。今年は約20年振りに
立教大学の演奏会に足を運んだ。国王ジョージⅡが「ハレルヤ」の途中
で、感激のあまり起立したという逸話を持つこの曲。英国国教会系の同
大学でも年末に演奏するのが、恒例となっているようだ。ステージ正面
には、大きな十字架が飾り付けられている。信者さんや大学関係者と思
しき聴衆が多いが、3階天井桟敷には空席が目立つ。立教お膝元の池袋
といえども、2,000人の大ホールを満員にするのは難しいのだろう。
 オケは弦10・8・7・6・4(後半は12・8・8・7・4)という変
則編成で、チェロが上手に来るストコフスキー配置。合唱団は男女ほぼ
半々で総勢約100名である。最前列はエンジのガウンに白いスモックの
聖歌隊。後ろ4列はグリークラブ等の合唱団で、女声は白のブラウスに
黒のスカート、男声はダークスーツである。ソリスト4名は指揮者の前
に着席し、歌う時にはその脇に進み出る。チェンバロとオルガンは、中
央上手寄りでヴィオラの後ろ。パイプオルガンは反響板で覆われ見えな
いので、使うオルガンは電子機器なのかも知れない。
(カーテンコール)
 ミッションスクールらしく、演奏前には感謝のお祈り。序曲は颯爽と
した速めのテンポで開始した。第1部はキリスト誕生のお祝いなので、
楽しげなフレーズをリラックスして聴く。20分の休憩後の第2部は終曲
「ハレルヤ」に向けて、ドラマティックに高揚する。「ハレルヤ」では
かなりの聴衆が起立したが、教会での礼拝のように一緒に歌う人が多い
のには驚く。第3部のテーマは永遠の生命。これも壮大な「アーメン」
コーラスに向かって、緊張感が途切れることはなかった。
 マエストロのタクトは極めてオーソドックス。殊更にドラマティック
という訳ではないが、キビキビとした小気味よいテンポである。驚いた
のが学生オケのレベル。20年前の記憶とは比べ物にならない進歩である。
合唱は大声を張り上げずに、柔らかな響きを大切にしている印象。ソリ
ストは揃って上手いが、やはりアルト山下牧子が存在感を示していた。
(会場前の公園)
 解釈がどうのこうのという曲ではないので、次々出てくる聴き覚えの
ある旋律に浸って、キリストの生涯を辿っているうちに2時間半が過ぎ
てしまった。ステージと客席が一体となった、恒例の賛美歌斉唱は今年
は見送り。しかしながら久しぶりに味わう、教会風のクリスマスだった。
終演が20時30分と早目なのは、12曲が省略され休憩が1回だったためか。