だからいつも物をなくしてばかりいる。
お金の管理も苦手だ。
だから無駄遣いしては、いつもお金が足りないと言っている。
自分で何にも決められないくせに、結果を人のせいにしてばかりですぐに被害者ぶる。
以前の私は、娘のことをそんなふうに思っていた。
私はそんな娘への不安と不満が強くて、ずーっと正論正論で押さえつけてきた。
厳しいことを言うのも親の愛だと思っていた。
社会に出てしまったらこんなに親身に言ってくれる人なんていないんだからと一生懸命伝えてきた。
その結果、中学に入った頃から親子で言い争いが絶えなくなった。
そのうち、短大に入ってからは、あちこち外泊するようになり、ほとんど家に帰って来なくなってしまった。
アリとキリギリスは同じ空間で暮らすのは無理があるのだろうと、私は半分諦めかけていた。
早く自立して家を出ていってもらうことが、私にとっても娘にとっても幸せなことだと思っていた。
そう思っていたのに、去年の夏前のある日、娘が人間関係の問題から鬱になり、正社員で入社したばかりの会社を退職すると言い出した。
私は、動揺しながらも、
『もっと先のことも考えて行動した方がいいよ。会社側は休職でもいいと言ってくれてるんでしょ?』
とアドバイスした。
そうしたら娘は涙ながらにこう叫んだのだ。
『ママはいつも先のことも考えろって言うけれど、
今を生きるのもつらいのに、先のことなんて考えられない!!
生きてるだけでエライって言ってよ!!!』
私が変わろうと決心したのは、間違いなく、彼女のこの言葉がきっかけだったと思う。