この件を「こうした判例はジワリと国民に影響してくるのである。」との警鐘記事も本日付にて出ています。
そこでは担当弁護士の談話として、少年に対する「強制わいせつ罪」「児童買春」など起訴された内容については事実関係は争いようもないことをかんがみ、被告の犯罪行為が法改正される前年だったことから上告に際し敢えて「違憲論」にもって行ったことが言及されています。
またこの裁判で被告の弁護側は最高裁に対して、広島地裁段階から検察側が明確にしてこなかった「わいせつの定義」も問い、上告審にも引き継がれていたともいいますが、結局は最高裁も『わいせつな行為』の概念が不明確とは言えないとその上告趣意を却下したそうです。
担当弁護士は「一審で求めた『わいせつ』の定義について広島地裁の裁判長は明示することができず、代わりに執行猶予を付けたのではないか」と推測しているそうです。
****************************
2020年03月16日 デイリー新潮 引用
最高裁が親告罪だったころの「強制わいせつ」も“告訴なし”で起訴できると判断した意味
だが、今回の最高裁判断はH被告だけのことにとどまらない。「法の遡及適用」にお墨付きが与えられたからだ。「親告罪時代」に示談で済ませて現在、安心している人間にしてみれば、場合によっては起訴されるかもしれないという「怖い御達し」になったのである。
最高裁に対して「一つの問いかけ」をしたともいえる第三小法廷の今回の憲法判断。関心は薄かったのか読売新聞以外はさほど報じなかったように見受けられるが、こうした判例はジワリと国民に影響してくるのである。
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/03160601/?all=1
****************************
「強制わいせつ罪」「児童買春」などのような類の事案だけのことにとどまらないということでしょうか。
捜査機関等の恣意や予断のみで法改正前の所為について遡及して罪に問えることができるというのは恐怖政治にもつながるのではないかとも思ってしまいます。
定義(当事案ではわいせつ)を明らかにすることなく人を罪に問う事へも同様に考えてしまいます。
今回、最高裁が下した判断を、一社しか取り上げなかったというのも、マスコミの矜持や見識の観点からもすこぶる心細く感じざるをえないところです。