いやはや、梅雨の無い北海道のくせに、ジメジメムシムシ続きな今日この頃…「こ~ゆ~日は沢に涼みに行こう」というワケで、相方ん家に遠征がてら、今シーズンの沢始めに行ってきた「頑なに登山道を歩かない登山家」のもじょでございます。

拙者の沢登りへの扉を開いてくれたのは相方だが、十勝へ引っ越してからは一緒に行く沢友達も居らず、遡行は拙者との「白水川」以来となるようだ。
この日の為に新しい沢靴も新調した相方だが、殆ど山菜とキノコしかやってないので、シーズン始めという事もあり、体力的に不安があるという事でユルユルな沢を選んだ。
ま、拙者も先週の「手稲山天幕泊山行」如きで、筋肉痛になったりしてるので、似たり寄ったりナノだ。
当初は日高山系の沢を目指していたが、谷が深い日高は未だ谷筋は雪渓に埋まっているという事ナノで、大雪山系のゆるそうな沢を地形図から探して貰った。
トムラウシ温泉へ向かう…道道718号忠別清水線を東大雪ダムを少し過ぎたあたり「曙橋」から、左手の林道「シートカチ支線林道」へ入る。
林道は良く踏まれているが、5km程入ったトコロで右手の枝沢合流点で幅5mぐらいで崩壊している。
道路下に埋設した導管ごと決壊していて、夜間や早朝や霧で視界の悪い日は気づかない可能性もある。
相方の情報に因れば、この先に北電の取水ダムや、開発局の雨量計測所があるようで、近いうちに補修されるだろう。
仕方なく、崩壊地点手前に車をデポして、徒歩で林道を歩き入渓地点の「礼咲別橋」まで行く事にする。
相方が地形図でテキトーに探し出した沢ナノで、ネットを探しても遡行記録の類いは見つからなかった。
ただ、地形図を見る限りでは、上流部の二股から先は谷筋が狭まり、傾斜もあるので、小滝やゴルジュがあるかも知れない。
一応、「ポン十勝川右股」には滝表記もあり、何かしらの見所はある筈だ。
3本ある支流のどれもが、林道に突き当たるので、下りは林道が使える筈ナノで安心だ。

林道を暫く進むと左手に北電の取水ダムが現れた。
こんな山奥に、よくもこんな施設を作ったもんだ。
おかげで、アプローチ林道が使えるのだが、人間の開発は際限が無いし、節操も無い。
林道自体は、嘗ての伐採用作業道で、深山の割に巨木は少ない。あらかたの蝦夷松は根こそぎ伐採されたようだ。
取水ダムを過ぎると、川に掛かるワイヤーにゴンドラが取り付けられていた。
どうやら、対岸に作った雨量計測所へ渡る為のようだ。
しつこいぐらいに「立入禁止」の看板が貼ってあるが、ここまで言われると…無性に乗りたくなってしまう。
しかし、目の前の川は雪溶け増水で…大迫半端ないっ。
いや、この場合…「大迫」は要らないか?
ぐっと我慢して、入渓地点に向かう。
すると、その先で林道が20m程突然消えていた。
ちょうど川の湾曲部で、遠心力が掛かった流れに削り取られたのだ。
河床まで20mぐらいの高さがあり、ゾワゾワする。
刹那、昨年の大雪山縦走の下山の「ユニ石狩林道」を思い出す。
一応、恐らくは…釣り人が作っただろう巻き道が作られていて、トラロープも張ってあった。
1時間少し歩いて、入渓地点の「礼咲別橋」に到着。
橋の上から流れを観察する。
支流だが、結構な量の雪代が入っていて、ざっと見た感じ…4割増しで増量キャンペーン中らしい。
とりあえず、入渓地点にピンクテープの類いは見つからず、安心する。

橋のたもとから、いざ入渓。
先ずは、水流の中に入って水温を確かめてみる。
ネオプレーンのソックスと脛当てを着けているが、なかなかに痺れる冷たさだ。
流石、十勝山系に源を発する渓だ。
雪代増水しているから、流石の拙者もなるべく水流を避けて遡行する。
川べりの藪を掻き分け、時折…渡渉し、のんびり進む。
暫く進むと、右岸に居る相方が手をバタバタさせて、何か訴えている。
雪代増水の沢音が騒がしく、身振り手振りで情報を伝達しあう。
つまり、ジェスチャー・ゲームだな。
相方は、しきりに「前にならえ」のように、両手を揃えて振っている。
恐らく…「ダチョウ倶楽部」の「ヤー」の物真似をしているのだろう(違うっ)。
ハイハイ、分かってるって。「此処に林道跡があるョ」って言ってんでしょ?
入渓地点の橋から右岸に沿って、林道っぽい幅員があるのは知っている。
ただ、藪漕ぎすると暑いから、ワザと流れに沿って歩いてるんだよ。
とりあえず、林道跡の様子を見たかったから、右岸に渡渉して相方の側に行ってみる。
林道跡には、微かな踏み跡が残っていた。
鹿道だろうか?
そう言えば、先程…右岸の斜面上部から鹿の鳴き声(警戒音)も聞こえたし、渓の中洲から小鹿が飛び出すのに出くわしたばかりだ。
「ポン十勝川」の見所があるだろう核心部は、地形図を見る限り…上流の二股あたりから始まりそうナノで、時間と労力を節約する為に、林道跡を辿ってみよう。

1時間程歩いたトコロで、休憩する。
今のところ、渓の中には人間の痕跡は見当たらなかった。
遡行記録も見当たらなかったし、もしかしたら…何の見所も無い「ブタ沢」(※沢ヤの言う…つまらない沢の事)かも知れない。
いや、実は隠れた名渓という可能性もある。
遡行記録も無いから、ナビゲーションは地形図頼りだ。滝やゴルジュがあったら、ルーファイ(※ルート・ファインディング)技術が試される。
ただ、そろそろ…小滝か滑(ナメ※一枚岩の上に水流のある場所)か、イベントが欲しくなってきているのは確かだ。

休憩後、最初の二股に辿り着き、水量の多い右股に進む。
なかなか素敵なテン場と、キノコを発見してジェスチャーで相方に伝えたが、奴はスルッと通過してしまった。
両手でキノコの形を伝えた積もりだが、故西城秀樹を偲んで「YMCAポーズ」と見間違えたのかも知れない(似てないっ)。

遡行していると、不意に硫黄臭を感じる事が何度かあった。
もしかしたら…隠された野湯が何処かにあるかも知れない。
下界では30℃の予報が出ていたが、渓の中は14℃程しか無い。
ずっと、川上から下降流の風が吹いていて、川霧が川面を流れ、火照ったカラダを冷やしてくれる。

すると、唐突に…滑が現れた。
スラブ(一枚岩)の上をサラサラ…と言いたいが、結構な大迫半端ない(しつこい)水量があり気を抜くと、足元を掬われる勢いがある。
水流が浸食した岩溝に流れ込む水量も、殺意を感じる凄みがあり、いつもなら…「ちょっと、泳いでみるかな」と思うような場所も、尻込みしてしまう。
滑の上を川霧が流れ、幻想的な景観に暫し息を呑む。
滑は途切れる事無く、上流に続いている。
200m以上も滑地帯は続き、我が沢登り人生の最長記録を更新した。

谷が狭まり、両側の斜面が傾斜を増し始めると、その上部から幾筋もの滝が渓に注ぎ込んで、まるで桃源郷のような雰囲気を醸し出した。
遡行を中断し暫し眺める。
十勝岳周辺部に積もった雪が溶け、地面に吸い込まれ伏流した後に、浸食崖の上部に染み出しているのだ。

そろそろ次の二股が現れる筈だと思っていたら、右手から枝沢が合流する地点に到着した。
地形図に因れば、右手の沢には滝表記があり、谷も狭まり…いよいよ核心部だと思われた。
左股の水量は多いが、右股よりは傾斜もユルく谷も狭く無い。
果たして、右股の滝はどれぐらいの規模なのだろう。
直登が可能な滑滝なら良いが、直瀑なら高巻きが必要かも知れない。
地形図を読むと、右手の尾根の上には下山に使う積もりの林道も通っていて、いざという時は滝を迂回して直接林道に逃げる事も可能だ。
よし、せっかくだから、ここは右股の滝を見に行ってみよう。
直登も高巻きも不可能なら、此処まで戻ってきて、左股に進めばいい。

右股の支流に入ると、流れは半分以下になり、渓は倒木が多く遡行ペースは半減した。
傾斜が増し、ギャップも増えて行く。
しかし、なかなか…滝が現れない。
もう、そろそろ現れても良い頃なのだが…
なんだか…おかしい。
もしかしたら、ナビゲーションを間違ったかも知れない。
さっきの二股は、上流部のもう一つの二股で、滝のある枝沢への二股を見逃したのかも知れない。
訝しんでいると、だんだん傾斜がユルくなり、水流が痩せて、遂に涸れ沢になってしまった。
「どう見ても、滝が現れる雰囲気じゃ無いよね?入る枝沢を間違ったかも知れない」
相方に問うも、奴は一つ目の二股すら気付かなかったと言う(オイオイ)。
見上げた尾根筋は直ぐ近くにあり、涸れ沢に伏流していた細い流れは戻って来たが、渓の傾斜は殆ど無くなった。
そして、前方に…遡行最終地点に決めていた林道をくぐる導管が見えた。
導管の上には、林道が走っている筈だ。
本来なら、林道合流点には「岩見橋」という橋がある筈だった。
これで、遡行した枝沢が間違っていた事が判明した。
やはり、二つ目の二股を見逃したノダ。
しかし、幾ら記憶を辿っても、それらしい枝沢を見た覚えが無かった。
渓の両側から流れ落ちる滝か、滑に見とれて見落としたと思われた。
うーん、拙者も…まだまだだなぁ。
渓だけじゃ無く、尾根筋の延び方なんかも、ちゃんと観察しなきゃダメだなぁ。
導管を向こう側に潜り抜けて、林道に乗った。
夏空に向かって、白っぽい林道が続いていた。
次は、もう少し水量が減って、気温が上がった時に来たいものだ。
魚影は濃いし、本流では鱒(レインボー)の尺モノも釣れそうだ。
勿論、今回見逃した右股の滝も見てみたい。


下山後、帰り道に秘湯「オソウシ温泉」に寄って行く。
林道を7km進んで、山奥の一軒家(宿)「鹿の湯」に到着。
うーん、21世紀の日本に未だこんな昭和な温泉宿が残っているなんて、信じられないぐらいレトロ感が大迫半端ない(だから、しつこいっ)。
玄関先にデカい秋田犬が寝そべっていて、犬嫌いなら温泉を諦めるかも知れないが、生憎…拙者はワンコが大好きだ。
しかも、和犬には目が無い。
但し、和犬(主に狩猟犬)は愛想が無いのが玉に瑕だ。
ま、その分…飼い主には忠実なのだが。

流石の秘湯だけあって、温泉客は我々の他に居らず、男湯と女湯で声を掛け合って露天にある混浴に向かうが、水温が20℃そこそこの源泉だったので、浸かる根性は無く、38℃ぐらいの男女別の露天に浸かった。
泉質は高アルカリ性の硫黄泉で、トロトロの湯で素晴らしかった。
雰囲気といい泉質といい、拙者の中の、「温泉ベスト3」にランクインするぐらいの素敵な温泉だった。

おわり。

【写真1】何段にもなった滑が延々と続く
【写真2】川面を川霧が漂う
【写真3】滑地帯を往く



いやはや、山菜シーズン真っ盛りで毎週山に入っとる割には、殆ど…収穫と探索ばかりでマトモに山に登っていない…「頑なに登山道を歩かない登山家」のもじょでござります。

山菜も楽しいが、この時期は…同時に標高のある山では残雪期でもある。
堅く締まった残雪は、バリエーションで歩くには最適であり、ラッセルも要らず、夏道の無い山を目指すには最高の季節でもある。

大雪山系もあらかた歩いたが、未だに手付かずの…というか、無積雪期には入山を禁止されている場所もある。
「愛山渓温泉」から「沼の平」へ上がった先にある「松仙園」も、そんな立ち入りを制限されている場所である。
拙者が大雪山に通い始めた頃には、既に立ち入り制限がされていたが、色々調べると…昔は、「松仙園ヒュッテ」があり、「裾合平」へ抜けるルートもあったそうだ。
ヒュッテが撤去された後、自然復元の為に立ち入り制限がされたようだ。
未確認情報に因れば、ルート開放も検討されているらしいという(木道敷くのかな?)。

当初、拙者の発案である「松仙園」散策も企画会議にのったが、岳友が「愛山渓」に入ったブログに残雪に埋まった「沼の平」が写った写真を見て、「雪に埋まってなんも見れんのではないか?」という結論になり、「秋にこっそり見に行こう」という事になった(内緒だョ)。
そこで目についたのが、「松仙園」近くにある「本安足山」(ぽんあんたるさん)だった。
大雪山系には…「当麻岳」「永山岳」に連なる「安足間岳」という山もある(更に安足間山というのもある)。
アイヌ語の…「アンタオマ(antar-oma-p)」(淵?・ある・もの)、あるいは「アタオオマ( ar-taor-oma-p)」(片側・ 岸・ある・もの)というのが語源だろう(Wikipediaより引用)。
安足間川の上流にある山という事で、アイヌ語ではあるが、恐らくは和人が命名したと思われる。
「本」(ポン)というのは「小さな」という意味だから、「小さな安足間」という事だろう。か。
「本倶登山」と同じパターンだろう。
地形図で見ると、大雪山系から少し離れた場所にポツンとあるから、嘗ての小噴火口跡かも知れない。
なかなかのマイナーさが、変態の我々にはお似合いだ。

さて、とりあえずの行き先が決まったので、旭川集合にして拙者は夜勤明けに旭川に向かう事にした。
相方は「沼田町」に住む友人の田植えの手伝いに月曜日から行っていて、旭川駅で待ち合わせる事にした。
しかし、パッキングを終え家を出ようとしたトコロ、「深川駅に来れる?」とメールが来た。
昨夜は、「深川」の道の駅で車中泊したようで、旭川より近い「深川」を待ち合わせにと、気を遣ってくれたようだが、生憎…そんな田舎町に向かう都市間バスは無い。
行くとしたら…馬鹿高いJRか、留萌行き都市間バスを途中下車するか、旭川行き高速バスを途中下車するしか無い(納内という高速の停留所はあるが、田園地帯のド真ん中だ)。
夜勤明けでバス中で爆睡予定の拙者には、バス中で寝れない途中下車は厳し過ぎる。
ひと悶着あった末、事前の計画通り旭川集合に落ち着いた。

旭川近くで集合したあと、足らない地形図を調達に「秀岳荘」(旭川店)に向かう。
アプローチ林道の情報が欲しかったので、店長に「本安足山」の事を尋ねたが、「行った事は無い」という事だった。
とりあえず、腹が減ったので昼飯を食おう。
「旭川」と言えば、ホルモンラーメンだ(言い切ったな?)。
事前にリサーチしていた元祖ホルモンラーメンの「ひまわり」に向かう。
昼時という事もあり、店には行列が出来ていた。観光客の姿は無く、地元民に愛されている店のようだ。
拙者は「ホルメン辛いの」を、相方は「ホルメン味噌」を注文し、作業服を着たオジサン二人と相席に。
濃い味付けと、柔らかく仕上げられたホルモンが抜群に旨かった(なまらオススメ♪)。

昼食を済ませ、食材調達にスーパーに寄って、大雪国道(R39)を「愛山渓」に向かう(BGMの松山千春を合唱す)。
山に近付くと、俄かに空模様が怪しくなり土砂降りになったり、霰(あられ)が降ったり、寒気のせいで上空はかなり不安定なようだ。
途中の気になる枝道でウドを収穫し、道道「上川愛山渓線」を更に奥へ。
暫く進むと、右手に枝道の林道が現れた。
入口には、何やら…案内板のようなものがある。近付いてみると、地形図に載っていた…「アプローチに使えないだろうか?」と相談していた林道のようだった。
林道の途中には、展望台や滝があり、観光用に開放されている林道のようだった。
もし、この林道でアプローチ出来れば、行程はかなり短縮される。
但し、問題は…台風被害と残雪だった。
二年前の台風被害で、大雪山及び日高山系の殆どの林道が被害を受けた。
舗装されている…この「上川愛山渓線」ですら、通行止めになっていたノダ。
沢沿いに走る…この林道が無傷であるのは考えにくい。
しかし、入口には通行止めらしき表示も無く、ゲートも開いている。
入口に残雪は見当たらないが、高度を上げると残雪がある筈だ。
残雪を利用して、登山道の無い山に登ろうというのだから、逆に残雪がなければ困る状況になる。
とりあえず、全長19kmの「愛山米飯林道」(愛山渓と米飯ダムを繋いでいる)を偵察してみよう。
駄目なら、予定通り「愛山渓」からアプローチすれば良い。
林道を進むと、かなり踏まれていて藪も被っていない。
沢沿いでは、真新しい護岸工事がされ崩落箇所は完全に補修されていた。
「ちゃんと補修されてるね~。ちゅうか、こんな…ど~でもイイ林道より、音更川本流林道(石狩、音更、ニペ)を先に直せよー!」

時折、斜面から落ちてきた灌木はあるものの、林道は良く整備されている。
地面には、重機が入った無限軌道(キャタピラーね)の跡もあり、路肩も安定している。
少しずつ高度を上げると、谷筋や日当たりの悪い場所に残雪が現れ始めた。
下界の初夏から初春へ、季節を逆行しているようで面白い。
道端には、フキノトウが目立つ。雪は消えたばかりのようだ。
ゆっくり走りながら、林道沿いの斜面に、動体視力と山菜eyeを駆使して行者ニンニクを探すが、日当たりが良く無いのか、なかなか見当たらない。
そうこうしている内に、林道上に残雪が目立ち始め、枝沢が合流するヘアピンカーブで残雪の為…行き詰まってしまった。
嘗ての相方の愛車「ジムニー」なら頑張って越えられそうだが、生憎…ジムニーは廃車になり、フツーの軽自動車では太刀打ち出来そうに無い。
…ので、車中で作戦会議を催す。
どうやら、この先の林道も無事なようだから、1km程先のコル(鞍部)から「本安足山」方面に延びる林道をアプローチに使えそうだ。
どうせ「愛山渓」に行っても、温泉がやってないから、此処で前泊するかぁ。
テント泊でもイイが、まだまだ雨も降りそうだし、高度を上げたせいで気温も一桁ナノで車中泊にする。
相方は2日連続の車中泊になるが我慢して貰おう。
とりあえず、車中泊に邪魔な荷物を設営したテントに移す。
車内を整理して、お刺身で乾杯する。豚サガリとアスパラをオリーブオイルで炒め、採集したウドはサバ缶と一緒に炒める。
夜勤明け長距離移動にヤラレ、日没後直ぐに爆睡してしまった。

翌朝、降りしきる雨音で目が覚めた。
オムスビと、昨夜食べ忘れたピリ辛ホルモンで朝食にする。
つい…見慣れぬホルモンを見かけ反射的に買ってしまったが、昨日の昼飯もホルモンラーメンだったノダ。
勿論、ホルモンがあるなら、クラシックもごくごくする。
「もう、此処でマッタリしてるかぁ」
「いやいや、山奥の林道で車中泊する為に、わざわざ旭川まで遠征してきたんちゃうからなっ」

午前9時ぐらいになって、雨がやみ空が明るくなってきたので、いそいそと出発準備をする。
手にスノーシューを持って林道を歩き始める。
暫く進むと、林道脇の倒木にキノコを発見した。
「あれ?それ…エノキじゃない?」
「こんな春先にも、エノキ出るんだなぁ」
昼飯の「緑のたぬき」に入れる為、石突きを除き、側溝の清水でキレイに洗って、ジップロックに入れておく。
3km程で地形図上のコルにある「旭川峠」に到着した。
立派な看板が建ち、上川町と旭川市の国境を分ける峠のようだ。
林道自体は、伐採用作業道のようだから、近年観光用に整備したのだろう。
しかし、こんな山奥までドライブに来る観光客が居るのだろうか?
アタマの悪い小役人の考える事は、拙者には良く分からん。

十字路を左に「本安足山」方面に向かう。
暫くすると、林道は残雪に埋まり始めた。相方は、スノーシューを履いたが、面倒くさいので拙者はツボで進む。
辺りは残雪にビッシリ埋まっているが、林道の幅員を見失わなければ大丈夫だ。
「本安足山」と「ピウケナイ山」とのコルから少し進んだトコロの涵養(かんよう)林の看板を目印に、林道を外れ「本安足」に向かう。
10分程歩くと残雪が途切れた。
この上が山頂のようだが、東向き斜面で雪が付かず日当たりが良かったから藪が出てしまったようだ。
とりあえず、スノーシューを脱いで背丈程の根曲がり竹の藪に突っ込む。
足元には、涵養林(水源地の保水力を高める為に植林された林)の看板が示す通り、トドマツの幼木が植えられていたので、さほど藪は濃く無く、20m程で山頂の残雪に復帰出来た。
相方を待っていたが、奴はなかなか来ない。
待てど暮らせど来ない。
オシッコでもしてんのかな?と思ったら、五分後…泥だらけの合羽ズボンに軍手という藪漕ぎ完全装備で現れた。
ありゃま、それを準備してたのね?
「藪漕ぎは、20m程だョ~」と教えてやれば良かったナ。

山頂部の雪田を50m程で、開けた山頂に辿り着いた。
しかし、表大雪の眺望は無かった。
低く垂れ込めたガスが、「沼の平」がある台地あたりまで降りて視界を閉ざしていた。
仕方なく、お湯を沸かして昼飯にする。
んが、待てども待てども…沸騰しない。
厳冬期用のボンベでは無いが、氷点下じゃ無いから250Tで大丈夫な筈だが…
相方のボンベに交換しても、全く火力は変わらない。
どうやら、バーナー本体のパッキンがイカレてるようだ。
とりあえず、ぬるま湯で収穫したエノキに火を通し、「エノキ入り緑のたぬき」(バリカタ)を 腹に入れた。

さて、下山ルートだ。
車を停めた「モミジの沢」へ直線的に下りるルートも考えたが、沢沿いは踏み抜きが怖い残雪期ナノで、尾根ルートを採る。
残雪を上手く繋げながら、時折…藪を漕ぎ、時折…沢中を下降しつつ「モミジの沢」を目指す。
中途半端に残雪があるのは、ルート採りに苦労する。ハナから藪漕ぎなら覚悟するのだが…
途中、沢沿いに寄り過ぎて、何度かズボったが、40分程で「モミジの沢」に無事に下山した。

旭川「高砂台」にある日帰り温泉施設「万葉の湯」の、仮眠室で宿泊予定ナノで、旭川市内に戻る。
途中立ち寄ったコンビニで、発売されたばかりの「月刊HO」(道内のグルメ情報誌ね)を立ち読みしていたら、旭川特集の中に美味そうなホルモン専門店を見つけ、晩ご飯に向かう。
良く良く考えたら、今朝も朝っぱらからホルモンを食べたばかりなのに、すっかり忘れていたノダ。
その事に気付いたのは、お腹いっぱいホルモンを食べた後だった。

翌朝、「万葉の湯」の朝食セットで白飯三杯お代わりして、旭川駅で解散した。
久し振りの旭川遠征だったが、大雪山周辺部には、まだまだ知らない山が沢山ありそうだ。
大雪山の眺望を目指して、マイナーピーク探しも面白いかも知れない。
「じゃあ、来月は日高の沢ね~」と約束して、札幌行きの都市間バスに乗り込んだ。

おわり。

【写真1】愛山米飯林道案内図
【写真2】林道もビッシリ残雪に埋もれてる
【写真3】山頂に着いたが、どんより



いやはや…北海道も俄(にわ)かに春めいてしまい、山菜シーズンも間近に迫って、ソワソワしたり、ワクワクしたり、ゴクゴクしたりしておる…頑なに登山道を歩かない登山家のもじょで御座りまする。

昨年末から、十勝管内に住む相方の元に月イチで、山がらみの遠征に行っておるのだが、遠路はるばる出向いても、なかなか天候に恵まれなかったりして、マトモな山行にならずに、某フード・スタジアム(焼き肉食べ放題の店ね)で膨満感にのた打ち回ったり、モール泉の温泉三昧にふやけたり、柳月の三方六(バウムクーヘンね)の特売端っこの行列に並んだりしておったのだが、今回は…かなり濃密な遠征になったので、日記を執筆する事にした。

金曜日、夜勤明けのまま帯広行きの都市間バス「ポテトライナー」に乗り込み、道東道(高速道路ね)を一路東へ向かう。
天気予報に因れば、帯広の今日の最高気温は20℃を超えるというではないか。
一応…残雪期装備はザックの中に入っているが、ビーサンもザックの中に忍ばせている…という、ワケの分からん荷物を準備した。
十勝管内は概ね積雪量が少なく、雪溶けも早いので、そろそろ例の山菜も出始めるだろうという事で、到着早々…相方の秘密の行者ニンニク畑へ案内して貰う。
コチラの山は、開拓期以降…現在に至っても林業が盛んで、殆どの低山は伐採され尽くし、カラマツやトドマツの二次林が広がっている。
なかなか自然林や原生林は見当たらず、連れて行って貰った畑も、大規模に伐採された跡地の雑木林だった。
日当たりの良さそうな沢沿いの南向き斜面を探索すると、芽を出したばかりの行者ニンニクが散見出来た。
枝沢の急斜面には、なかなかの太さの双葉モノがある。
喜々として採集に勤しむ。
ナイフで根元から切り取ると、ニンニク臭が立ちこめ、久し振りの感覚に俄かにテンションが上がる。
我々は各々がそれぞれに気がむいた場所を探索するので、気がつくと相方の姿は視界から消えている事が多い。
時折、声を掛け合って互いの現在地を確認し合う(羆除けにもなる)。
気がつけば、半袖汗だくになり…小一時間でレジ袋一杯分の収穫を得た(末端小売り価格3000円程度かな?)。
来週末、相方は…この畑に職場の同僚達と採りに来るというので、欲張らず一食分の糧を確保し若い芽は摘まず終了とした。
都市間バス内に強烈な匂いを持ち込むワケにもいかないので、自宅保存用は定山渓の自分の畑での収穫に期待しよう。

ニンニク臭が充満する車で、THE昭和な温泉ホテルの日帰り入浴に向かい、毎度毎度のモール泉に浸かる。
最初のうちこそ新鮮味があったモール泉だが、十勝管内中の風呂という風呂が全てモール泉で、何処に行っても褐色の湯ばかりで、最近は飽きてきたりする。
だが、コチラには拙者好みの昭和な雰囲気漂うレトロチックな宿や温泉が沢山残っていて、嬉しい限りだ。
気温20℃では長湯も出来無いので、汗を流して、露天で風に吹かれていた。

相方ん家に帰宅後、早速…行者ニンニクの下処理に取り掛かる。
行者ニンニクの根元付近には、赤い薄皮が付いていて、土やゴミが入っているので、指先を使ってこそげとる。
食感も変わってくるだろうが、長期保存には取り除いた方が良いだろう。
どうやら、この薄皮がニンニク臭の元のようで、手元に薄皮を溜めて隣で作業していた相方がゲホゲホむせている。
行者ニンニクの宴のメニューは…「レバニラ炒め風、レバーと行者ニンニクの炒めもの」(レバギョウね)、「おひたし」「キムチ和え」(生のまま桃屋のキムチの元で揉み込む)「生のまま刻んで、カツオのたたきにのせて」(ネギとニンニクの代わり)「キムチ鍋」(20℃なのに)だ。
特に、昨年試した「桃屋のキムチの元」で和えたり、生のまま漬け込むのはオススメだ(長期冷凍保存なら湯通しを)。
酒の肴としてだけで無く、ご飯にも合うし、焼き肉に合わせても抜群だ。
久し振りの山の恵みをいただき、体が喜んでいるようだ。
長い冬を乗り切って疲れた体を回復させる意味で、雪国にだけ…このスタミナ系の山菜があるのかも知れない。

翌朝、前夜から色々と行き先候補を挙げ会議を重ねたが、霞みがかった空模様をみて、日勝峠近くにある「熊見山」に向かう事にした。
予報に因れば、かなり風が出そうだったが、せっかくの春山ナノで稜線歩きに向かう。
この山には、以前…一度春先にチャレンジしたのだが、吹雪模様にココロ折れ、帯広の「インデアン」(カレー屋ね)と「六花亭」(サクサクパイね)に行き、十勝清水御影にある…お気に入りの民営キャンプ場「コニファー」(なんと直火の焚き火が出来る)でキャンプしただけで帰ってきた事があったノダ。

峠が近付くにつれ、白銀の山嶺が目に飛び込んでくる。
見上げた稜線には、遠くからでも巨大な雪庇が確認出来た。
峠のトンネルを越えた日高側の駐車スペースに車を停める。3台ある先客の車は、どうやら…山スキーのようで、国道の向かいにある「日勝ピーク」に向かったようだ。

装具を整え、長靴ツボ足で出発。
展望台に向かう林道は無視して、1199Pへの直登ルートを採る。
暫く進むと、目の前に巨大な雪塊が散乱して、行く手を遮っていた。
大規模な全層雪崩のデブリだろうか?
しかし、雪崩るような傾斜では無いんだが…と訝しむ。
雪塊を乗り越えると、展望台に向かう林道をユンボで除雪した跡だった(な~んだ)。
除雪された林道を利用して暫く進み、再び直登ルートへ。
日当たりの良い南向き斜面は、所々に草地が露出している。
ぬかる残雪より歩き易いので、草地を繋いで高度を上げる。
小一時間で稜線に乗った。
十勝平野方面は霞んでいるが、素晴らしい景観だ。
日勝ピークの後ろには、以前登った「ペケレベツ」や「芽室岳」が見える。
但し、予報通り稜線には20m/s近い強風が吹き付けていて、のんびり景色を楽しむどころでは無い。
稜線沿いには目指す「熊見山」まで、雪庇の発達した稜線ルートが続いていて、気が抜けそうに無い。
先程、国道から見上げた雪庇の上に我々は居るようだ。
目立つ亀裂は見当たらないが、なるべく雪庇には近付きたくは無い。
かと言って、西側の樹林帯沿いに進むと雪面下にハイマツ帯があり、踏み抜き落とし穴にハマりそうだ。
現に、雪庇にビビった相方は樹林帯沿いに歩いて落ちまくっている。
時折、不思議な山用語を発明する相方が、落とし穴にハマる事を「ズボる」と言っていたので、「ズボラー」と名付けてあげた(ハマっている最中の事は、ズボリングと言う)。
相変わらず…不思議な奴だ。

1時間程で「熊見山」に到着。
稜線伝いには同じ名を持つ「労山熊見山」が見える。
こちらは、札幌勤労者山岳会(労山)がルート開拓した事で、その名を冠している。
日勝ピークと並んで、山スキーヤー御用達の山らしい。
ちょうど昼飯時ナノで、風除けブロックを積み、その陰で朝握ってきたオムスビを頬張る。

さて、益々…風が強まる中、稜線伝いに来たルートを戻るのも億劫ナノで、テキトーな斜面を尻ボって国道に下りる事にする。
だが、地形図に因れば、下りた国道には覆道があり、車道に下りられるかは微妙なトコロだ。
ま、保守点検用のハシゴか階段はある筈ナノで、とりあえず…下りてから考える事にする。
春の暖かな陽光を受け、雪面はかなり緩んできたが、尻ボなら…なんとかなるだろう。
なるべく立ち木のうるさく無い場所を探して、ドロップイン。
ザラメ雪なのでスピードは出ないが、恐怖感を感じ無い速度が丁度良い。
あっという間に、200m程高度を下げ目指す沢形に到着。
今朝方付いたばかりの山スキーのトレースが残っていた。
堰堤の脇をすり抜けて、国道に下りると…地形図にある覆道は何処にも見当たらなかった。
代わりに真新しい雪崩防止フェンスが山側にあったが、雪崩るような斜面には見えなかった。
長距離トラックが爆走する国道脇を20分程歩いて、峠の駐車スペースへ無事到着した。
駐車スペースでも強風が暴れていたので、装具を解いて慌てて車内に逃げ込んだ(ふぅ、あずまし~)。

とりあえず、「熊見山」へのリベンジは果たしたが、近辺には幾つか…気になる山もあり、来シーズン以降への課題としたい。

おわり。

【写真1】気分の良い稜線歩き
【写真2】写真には写らないが、強風が吹き付けている
【写真3】行者ニンニクの宴