いやはや…北海道も俄(にわ)かに春めいてしまい、山菜シーズンも間近に迫って、ソワソワしたり、ワクワクしたり、ゴクゴクしたりしておる…頑なに登山道を歩かない登山家のもじょで御座りまする。
昨年末から、十勝管内に住む相方の元に月イチで、山がらみの遠征に行っておるのだが、遠路はるばる出向いても、なかなか天候に恵まれなかったりして、マトモな山行にならずに、某フード・スタジアム(焼き肉食べ放題の店ね)で膨満感にのた打ち回ったり、モール泉の温泉三昧にふやけたり、柳月の三方六(バウムクーヘンね)の特売端っこの行列に並んだりしておったのだが、今回は…かなり濃密な遠征になったので、日記を執筆する事にした。
金曜日、夜勤明けのまま帯広行きの都市間バス「ポテトライナー」に乗り込み、道東道(高速道路ね)を一路東へ向かう。
天気予報に因れば、帯広の今日の最高気温は20℃を超えるというではないか。
一応…残雪期装備はザックの中に入っているが、ビーサンもザックの中に忍ばせている…という、ワケの分からん荷物を準備した。
十勝管内は概ね積雪量が少なく、雪溶けも早いので、そろそろ例の山菜も出始めるだろうという事で、到着早々…相方の秘密の行者ニンニク畑へ案内して貰う。
コチラの山は、開拓期以降…現在に至っても林業が盛んで、殆どの低山は伐採され尽くし、カラマツやトドマツの二次林が広がっている。
なかなか自然林や原生林は見当たらず、連れて行って貰った畑も、大規模に伐採された跡地の雑木林だった。
日当たりの良さそうな沢沿いの南向き斜面を探索すると、芽を出したばかりの行者ニンニクが散見出来た。
枝沢の急斜面には、なかなかの太さの双葉モノがある。
喜々として採集に勤しむ。
ナイフで根元から切り取ると、ニンニク臭が立ちこめ、久し振りの感覚に俄かにテンションが上がる。
我々は各々がそれぞれに気がむいた場所を探索するので、気がつくと相方の姿は視界から消えている事が多い。
時折、声を掛け合って互いの現在地を確認し合う(羆除けにもなる)。
気がつけば、半袖汗だくになり…小一時間でレジ袋一杯分の収穫を得た(末端小売り価格3000円程度かな?)。
来週末、相方は…この畑に職場の同僚達と採りに来るというので、欲張らず一食分の糧を確保し若い芽は摘まず終了とした。
都市間バス内に強烈な匂いを持ち込むワケにもいかないので、自宅保存用は定山渓の自分の畑での収穫に期待しよう。
ニンニク臭が充満する車で、THE昭和な温泉ホテルの日帰り入浴に向かい、毎度毎度のモール泉に浸かる。
最初のうちこそ新鮮味があったモール泉だが、十勝管内中の風呂という風呂が全てモール泉で、何処に行っても褐色の湯ばかりで、最近は飽きてきたりする。
だが、コチラには拙者好みの昭和な雰囲気漂うレトロチックな宿や温泉が沢山残っていて、嬉しい限りだ。
気温20℃では長湯も出来無いので、汗を流して、露天で風に吹かれていた。
相方ん家に帰宅後、早速…行者ニンニクの下処理に取り掛かる。
行者ニンニクの根元付近には、赤い薄皮が付いていて、土やゴミが入っているので、指先を使ってこそげとる。
食感も変わってくるだろうが、長期保存には取り除いた方が良いだろう。
どうやら、この薄皮がニンニク臭の元のようで、手元に薄皮を溜めて隣で作業していた相方がゲホゲホむせている。
行者ニンニクの宴のメニューは…「レバニラ炒め風、レバーと行者ニンニクの炒めもの」(レバギョウね)、「おひたし」「キムチ和え」(生のまま桃屋のキムチの元で揉み込む)「生のまま刻んで、カツオのたたきにのせて」(ネギとニンニクの代わり)「キムチ鍋」(20℃なのに)だ。
特に、昨年試した「桃屋のキムチの元」で和えたり、生のまま漬け込むのはオススメだ(長期冷凍保存なら湯通しを)。
酒の肴としてだけで無く、ご飯にも合うし、焼き肉に合わせても抜群だ。
久し振りの山の恵みをいただき、体が喜んでいるようだ。
長い冬を乗り切って疲れた体を回復させる意味で、雪国にだけ…このスタミナ系の山菜があるのかも知れない。
翌朝、前夜から色々と行き先候補を挙げ会議を重ねたが、霞みがかった空模様をみて、日勝峠近くにある「熊見山」に向かう事にした。
予報に因れば、かなり風が出そうだったが、せっかくの春山ナノで稜線歩きに向かう。
この山には、以前…一度春先にチャレンジしたのだが、吹雪模様にココロ折れ、帯広の「インデアン」(カレー屋ね)と「六花亭」(サクサクパイね)に行き、十勝清水御影にある…お気に入りの民営キャンプ場「コニファー」(なんと直火の焚き火が出来る)でキャンプしただけで帰ってきた事があったノダ。
峠が近付くにつれ、白銀の山嶺が目に飛び込んでくる。
見上げた稜線には、遠くからでも巨大な雪庇が確認出来た。
峠のトンネルを越えた日高側の駐車スペースに車を停める。3台ある先客の車は、どうやら…山スキーのようで、国道の向かいにある「日勝ピーク」に向かったようだ。
装具を整え、長靴ツボ足で出発。
展望台に向かう林道は無視して、1199Pへの直登ルートを採る。
暫く進むと、目の前に巨大な雪塊が散乱して、行く手を遮っていた。
大規模な全層雪崩のデブリだろうか?
しかし、雪崩るような傾斜では無いんだが…と訝しむ。
雪塊を乗り越えると、展望台に向かう林道をユンボで除雪した跡だった(な~んだ)。
除雪された林道を利用して暫く進み、再び直登ルートへ。
日当たりの良い南向き斜面は、所々に草地が露出している。
ぬかる残雪より歩き易いので、草地を繋いで高度を上げる。
小一時間で稜線に乗った。
十勝平野方面は霞んでいるが、素晴らしい景観だ。
日勝ピークの後ろには、以前登った「ペケレベツ」や「芽室岳」が見える。
但し、予報通り稜線には20m/s近い強風が吹き付けていて、のんびり景色を楽しむどころでは無い。
稜線沿いには目指す「熊見山」まで、雪庇の発達した稜線ルートが続いていて、気が抜けそうに無い。
先程、国道から見上げた雪庇の上に我々は居るようだ。
目立つ亀裂は見当たらないが、なるべく雪庇には近付きたくは無い。
かと言って、西側の樹林帯沿いに進むと雪面下にハイマツ帯があり、踏み抜き落とし穴にハマりそうだ。
現に、雪庇にビビった相方は樹林帯沿いに歩いて落ちまくっている。
時折、不思議な山用語を発明する相方が、落とし穴にハマる事を「ズボる」と言っていたので、「ズボラー」と名付けてあげた(ハマっている最中の事は、ズボリングと言う)。
相変わらず…不思議な奴だ。
1時間程で「熊見山」に到着。
稜線伝いには同じ名を持つ「労山熊見山」が見える。
こちらは、札幌勤労者山岳会(労山)がルート開拓した事で、その名を冠している。
日勝ピークと並んで、山スキーヤー御用達の山らしい。
ちょうど昼飯時ナノで、風除けブロックを積み、その陰で朝握ってきたオムスビを頬張る。
さて、益々…風が強まる中、稜線伝いに来たルートを戻るのも億劫ナノで、テキトーな斜面を尻ボって国道に下りる事にする。
だが、地形図に因れば、下りた国道には覆道があり、車道に下りられるかは微妙なトコロだ。
ま、保守点検用のハシゴか階段はある筈ナノで、とりあえず…下りてから考える事にする。
春の暖かな陽光を受け、雪面はかなり緩んできたが、尻ボなら…なんとかなるだろう。
なるべく立ち木のうるさく無い場所を探して、ドロップイン。
ザラメ雪なのでスピードは出ないが、恐怖感を感じ無い速度が丁度良い。
あっという間に、200m程高度を下げ目指す沢形に到着。
今朝方付いたばかりの山スキーのトレースが残っていた。
堰堤の脇をすり抜けて、国道に下りると…地形図にある覆道は何処にも見当たらなかった。
代わりに真新しい雪崩防止フェンスが山側にあったが、雪崩るような斜面には見えなかった。
長距離トラックが爆走する国道脇を20分程歩いて、峠の駐車スペースへ無事到着した。
駐車スペースでも強風が暴れていたので、装具を解いて慌てて車内に逃げ込んだ(ふぅ、あずまし~)。
とりあえず、「熊見山」へのリベンジは果たしたが、近辺には幾つか…気になる山もあり、来シーズン以降への課題としたい。
おわり。
【写真1】気分の良い稜線歩き
【写真2】写真には写らないが、強風が吹き付けている
【写真3】行者ニンニクの宴


