人生初めてのお見合いは、右も左も分からないし、緊張もするしで大変でした。
お見合いの形式は、本人同士に加えてお互いの母親も同伴、さらに互いの仲人さんも同席して6人で行う形です。
場所は、ホテルのレストランの一角で、午前中にお茶を飲みながら…ということになっていました。
まず困ったのは髪型でした。
成人するまでずっとショートだったのに加えて、社会人になってセミロングまで伸びてはいたのですが、
おしゃれに興味がなかったため、ずっと一本に束ねており、髪をおろした事はありませんでした。
また、ドライヤーやアイロンでセットという技術も知識もなかったため、おろしたとしても微妙に癖のある髪は跳ね放題です。
そういう訳で、これまで友人の結婚式などドレスアップが必要な場では美容院でセットをお願いしており、自力で自分の髪をどうにかする術を持っていませんでした。
そこで、考えて考えて…髪を一本に束ねる技術(?)だけはあったので、全ての髪を結ばずに上側の髪のみを小さく結ぶいわゆるハーフアップにする事にしました。
ちなみに私の顔は地味なので、地味な女性で想像してください。
そして次は服装…こちらもまるでおしゃれに興味がないため…私の好きな服装はトレーナーとジーパンとスニーカーでした。
いえ、それが私にとっては一番落ち着くおしゃれでした。
スカートは気まぐれで購入した数着があったのですが、何年も前のもので流行は過ぎている上に、着こなしも分からず、どう着ても鏡の前で芋のようになっている自分がいます。
トレーナーとジーパンだと何の迷いもなく着れるし自分の好みも分かるのに…ただ流石にこれでお見合いはないだろうという認識ぐらいはあったので、悩みに悩んで、そういえば友人の結婚式の二次会用に購入していたカジュアル目なワンピースがあった事を思い出し、それを着る事にしました。
ちなみに、体型は当時普通~ぎり痩せ気味でした。
化粧については適当にしました。5分位で終わるレベルのやつです。小さな目なのにマスカラとかビューラーはなしです(好きではないため)。
こちらについても技術は全然ないです。
多分、化粧してもしなくてもそんなに変わらないんじゃないかな。
下手すぎて変化がないので。
そんなこんなで慌てて用意した外見ではあったのですが、何とか形にはなったようでした。
緊張しながらホテルのロビーで仲人さんと落ち合います。
初老の女性の仲人さんは、丸顔で少しふくよかな体型に上品そうな雰囲気をまとった控え目で優し気な方でした。
仲人さんは私を見ると「まあ、良い娘さんで…」と言ってくださり、もちろん気を遣っていただいての言葉ですが、
それでもこの格好で間違いはなかったとほっとしました。
予定の時刻より早くに着いていたのですが、既に相手の方は先に来られレストランで待っておられるらしいです。
これまで彼氏もできた事のない自分が、男の人とお見合い…と改めて自覚し、緊張と、お見合いをしている自分自身が信じられず不思議な感覚になりました。
そうこう考えている間にも足は進み、やがてレストランの受付が見え、予約席に通され、あれよあれよという間に心の準備もできないまま、相手方とご対面です。
テーブル席は時間帯のせいか私たちの席しか埋まっておらず、円型のテーブルを囲って座っている男の方は一人だったため、直ぐにお見合い相手だと分かりました。
相手も分かったようで目が合いました。
そして彼の目が私を見て少し、明るくなったような気がしました。
第一印象は良かった…のか?
こうして初めてのお見合いは開始されました。