論文のアクセプトと、今後。 | 基礎研究者のブログ

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医学・生物学系の研究者のブログです。2012年9月からアメリカのニューヨークで仕事をしています。近況報告がてら、仕事、育児について書いています。

ようやく論文がアクセプトされました。長かった。長すぎました。2014年の春頃に論文を書くように言われ、投稿したのが2015年の夏。キャンピングに間に合わず、結局、コラボレーターに最後のサブミットをお願いしたのでした。そこはレビューに回ったもののリジェクト。10月に現在のジャーナルに投稿して、返事が返ってきたのが大晦日あたりだったと思います。結果はメイジャーリビジョン。不安はあったものの、データさえしっかり出せばいけると言う確かな手応えがありました。もともと、投稿前から準備していた実験などもあり、それをきっちり終えれば問題ないはずでした。
 
ノックアウトを作って、90サンプルほどのRNA-seq data を追加。vivoの実験も追加。初めてやる実験もあったのですが、元ラボのHさんにコツを教えてもらったおかげで失敗なく短時間で完了。生化学実験も、他の仕事でコラボレートしていた友人Jさんが神がかった速度で終えてくれて、一層強力なデータになりました。この実験、知り合ったばかりの友人Mさんが専門家だったこともあり、サンプル、実験デザインまでもが超迅速に決まったのも大きかった。縁って大切ですね。この辺までは良かったんです。この辺までは。
 
ところが、
 
あと少しと言うところでリバイス中断命令。R01 グラントを書けと。そんな馬鹿な、ですよ。僕と妻のサラリーをカバーしてたグラントが夏に切れるので、やるしかない。なんとか3ヶ月ほどで書き上げて、6月からコンピュータ解析とライティングを再開。夏までにはほぼ枠組みは出来上がりました。
 
とそこで、ボスが夏休み休暇に突入(1ヶ月)。
さらに、ラボ固有の問題まで起こり、夏の間はほぼ凍結。
 
やっとの思いで再投稿したのが9月でした。9ヶ月もリバイスに時間をかけるなんて。。。(後日談ですが、1−2年かけるラボもあるようですね、、)。
 
それで、10月に返事が返ってきて、マイナーリバイス。これはいける、と思ったものの、なかなかレターを読んでくれず、再投稿できない。。そうこうしているうちに、プログラミングのトレーニングコースや、ジョブインタビューが始まり、残酷に時間が流れて行きました。2ヶ月後の12月頭にようやく再投稿。三度目の正直でもうおしまいと思っていたら、エディターが12月一杯バケーションにて不在。返事が返ってきたのが、今年の1月でした。
 
そして、まさかの3度目のリバイス。。
 
レビュアの一人が、なぜかレポーターアッセイにこだわり、言うことも二転三転する。こんなの受け入れてたら永遠に議論が続くやないかと思っていたのですが、4回目の投稿で納得してくれました。良かった。。
 
アクセプトの連絡が来た時は、正直、嬉しいよりもホッとした気持ちの方が大きかったです。感動するには時間をかけすぎました。次の仕事とジョブ探しに集中できる喜びの方が大きいです。これでやっと、他のキャンディデートと肩を並べた、って程度のことにしかなりませんからね。世知辛い世の中です。
 
ただ、渡米前に目指していたことを2つ実現できたのは大きかった。1つ目は、目的のジャーナルに論文を出した事。2つ目は、自分のサイエンスをきちんと立上げた事。当初考えていたような研究とは予想しない雰囲気のものになりました。それ自体は悪いことではないのです。むしろ、予想通りに行くほど世の中は薄っぺらくないと思います。大事なことは、学会での手応えがあったこと。これまでとは違う角度から僕の分野に切り込むと言う目論見は、予想通りの反発と、それに匹敵する興味を得たと思います。同様の視点から切り込んだ論文をあと2本ほど出したら、これがスタンダードになると確信しています。
 
本当はもう一つ実現したいことがあったのですが、それは現在進行中です。上述のような都合により僕が何もできず、妻が孤軍奮闘状態です。でも、順調だと信じています。ロジックで詰められるところは詰めたので、あとは運が味方してくれるかどうかだと思います。これが、独立後の2つ目の柱です(本当に僕が独立したら、ですけどね)。
 
ここ数ヶ月はすっかり消耗しきっていました。肩こりもすごくて、慢性的に左腕がビリビリと痺れます。昔は培養実験のしすぎで身体にガタがきたことがあったものですが、よもやデスクワークでガタがくる時期が来るとは。。身体のケアもしてあげないと。。