力道山VSフレッド・ブラッシーを見る | 上条武術研究所

上条武術研究所

プロレス・サンボ・合気道を経験。
月刊秘伝読者。
○現在の活動
・自宅ジムを開放(不定期)
・武術系、介護系の同人誌制作

銀髪鬼フレッド・ブラッシー。
必殺技は噛みつき。
この噛みつきのシーンがテレビで放送された当時、ショック死した人がいるとかいないとか…。


で、試合の感想。

まず、驚くことが多い!

ヘッドロックからのパンチが…
レフェリーから反則をとられる行為。
実況でも「反則パンチ」と放送している。

当時はこの認識なんですね。ヘッドロックパンチは反則。

ブラッシーも「平手だ。」みたいなアピールをする。

ヘッドロックからのパンチって、基本動作みたいな認識があったのですが、よくよく考えてみたら、やっぱり反則ですよね。

これは、トーホールドでも同じで…

トーホールドからの極めている部分への追い討ちのパンチは、当然に反則。
バシッ!と殴る。これは反則。

僕の場合を考えると…
関節を攻めていて、手数が詰まった時とかに、
【極めている部分へのパンチやボディプレスを入れる→別の技へ移行、もしくは再度その技】
みたいな、場面展開のアクセントとして、打撃技を挟んでいましたが、まあ反則ですよね。

この試合だと、パンチ系はスタンドでもグランドでもレフリーに止められる。
ただ、前蹴りやチョップは有効みたい。あとコーナーに押し込んでの力道山のチョップは、反則として止められていた。
ロープブレークですもんね。

トーホールドの話に戻ります。
写真ではわかりにくいですが、反則と言われたブラッシーは「強く掴んだだけ。」みたいなアピールで誤魔化す。

今のプロレスと違うなと感じた部分が、レスラー側がレフェリングに対して、リアクションをしているところでしょうか?
今の時代も広い意味ではそうなんですけど、この時代は形だけでなく、リング上でレフリーの権限がしっかりしているな~と感じました。

あと、この時代のレフリーって、元レスラーとかだったりしません?

他の競技なら、この厳粛なレフェリングと、元は競技者であることは当たり前ですよね。

正確なデータではないですが、80年~90年辺りから、レフェリーが乱闘に巻き込まれたり、レスラーから暴行を受けたりという、派手なアクシデントみたいなヤツが多発するんじゃないかな~と思うんですよ。
アントニオ猪木のリアルアクシデント系、ジャイアント馬場のレスラーの身体を大きく強く見せるため系というか。多分、そんな感じ。
その経緯を経て、プロレスにおけるレフリーの権限とかルールみたいなものが、見ている側もやる側も麻痺してきたんじゃないかなと思います。

今、ヘッドロックのパンチで反則をとるレフリーがいますでしょうか?
力道山の時代のレスラーは、ヘッドロックパンチをやる場合にはしっかりとレフリーには隠してやってますし。反則技が大事に使われていると思いましたね。

一応、時代の流れでファンが求めるものも変わってきますから、昔のプロレスが良くて、今がダメと言いたいわけではないです。
個人的にちゃんと競技になっていて、凄いなーと思っているだけです。

ちなみに、タイツを掴むのも反則をとられる。
僕ら、ブレーンバスターの時とか、普通に掴んでいましたが…。
ブレーンバスターの元祖を考えると、本来は悪役の技なのかなと思ったりする。


あと、素晴らしいところ。

①力道山のチョップを受けての、ブラッシーの身体が硬直したままの後ろ受身。足は抜かない。
いわゆるショルダータックルを受けた時の受身とは、違うスタイルの受身なんですよね。
打撃を受けた瞬間に気絶している感じが素晴らしい。


②力道山のロールアップ。
後方回転エビ固めですね。
古き良きアメリカンプロレスではよく見られるムーヴですね。

崩れはしましたが、力道山の試合を見ていると、こういう技が割りと出るので、しっかりとプロレスリングを学んでいたんだなと感じる。
「どの口が言ってんだ!」という話ですが(笑)
元相撲取りで、空手チョップの一辺倒のイメージがありましたが、覆されますよね。


③バックハンドブロー式の空手チョップ。

おそらく、力道山は右手でしか逆水平のチョップは打っていないんだと思う。
そのため、偶然にバックハンドブローみたいな動きになったんだと思いますが、ビックリしました。
(゚Д゚)!!


④金的やられてないのに、金的アピールするブラッシー。
こういう反則って、噛みつきとか凶器攻撃とかよりも、一つ高度な反則技でしょう。なんと言うか、一周回った後に発生する反則技というか…。
後の時代のシンとかブッチャーって、より派手な狂乱ファイトが求められていたから、こういう姑息な反則をしなかったんだと思いますが、その辺りの時代からプロレスに入っている私なんかは、このブラッシーの高度な反則行為に驚きました。

ちなみに、シチュエーションとしても、練られています。
三本勝負で、一本目はネックブリーカーでブラッシーがあっさりと獲ってるんで、二本目が時間切れ引き分けでも、その時点で力道山は負けてしまうんです。
だから、こういうブラッシーの反則って、時間稼ぎの効果もあるので、単に卑怯とかじゃないんですよね。やることに、ちゃんと理由があるわけです。

プロレスはこうあるべきと思いますね。 


最後は、フィニッシュ。
パンチで場外に出された力道山。

しかし、戻ってきて、ロープ越しの体当たり。
関係ないが、セコンドのジャージが格好いい。【◯◯プロレス】ではなく【リキジム】表記のジャージ。
そうなんですよね!ボクシングとか他の競技なら、ジャージの表記はこっちなんですよね。プロレスはジャンルの名前で、所属はジムの名前になる。
力道山が目指していた立ち位置が分かりますね。

そして、フォール。
やっぱり、力道山は縦に押さえ込む。

ブラッシーはデストロイヤーと違って、レスリング的な動きはあまりしませんでしたが、反則だけでここまで見せれるのも凄い。
やはり、レトロプロレスは素晴らしい。


そして、私のトレーニングの話。
開脚がまだできない話。
身体を動かし始めて、3週間くらいが経ちました。
体重としては、実は5㎏くらい落ちました。身体自体も動くようになりました。

ただ、まだ開脚はできない…。

上体が床に着く柔らかさが最低ラインだと思っていますので、まだまだ頑張らねばなりません。