優先的効力 | 上条武術研究所

上条武術研究所

プロレス・サンボ・合気道を経験。
月刊秘伝読者。
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・自宅ジムを開放(不定期)
・武術系、介護系の同人誌制作

毎日記述式のコーナー!
『優先的効力』

問。
AはB所有の建物を賃借していたが、その後はBはCにその建物を売却した。 
AがCに賃借権の主張をするためには、どのような要件が必要か?
また、CがAに賃料を請求するには、どのような要件が必要か?

答。
Aは不動産賃借権の登記、または建物の引き渡しを必要とし、Cは建物の移転登記を受けていることが必要。


解説。
ポイントの一つとして、賃借権の主張には、登記だけでなく【建物の引き渡し】もあること。
一般法の民法の規定では登記なのですが、特別法である借地借家法による規定として建物の引き渡しでも対抗できる。

そして、この問題では何を問われているか?も知っておく必要がある。

同一に物権と債権が併存する場合は、原則として物権が債権に優先する。これを【物権の債権に対する優先的効力】という。

で、不動産賃借権は、債権。
なので、上記の原則に従うと、物権のCに債権のAは対抗できないとなる。ただし、不動産賃借権の例外というものがあって
【不動産の賃借人が賃借権の登記や特別法たる借地借家法によって対抗要件を具備した場合には、後に所有権等の物権を取得した者に対しても不動産の賃借権を主張できる。】
という判例が存在します。

あとは、Cからの賃料請求について判例。
【建物の新しい所有者が、移転前からの賃借人に賃貸人として賃料を請求するには、賃借人の二重払いの危険をさけるため、Cは所有権移転登記を経由しなければならない。】とある。


その他、関連知識。
・対抗要件を具備した不動産賃借権は、本来債権であるが、一種の物権的な要素もあるので、賃借不動産に不法占拠者が表れた場合、賃借権に基づく妨害排除請求権の行使ができる。 
・不動産の賃借人が、賃借物を占有している場合は、不法占拠者に対して、占有訴権も行使できる。

・一物一権主義とは、物の一部に物権が成立することはない。または、数個の物に一つの物権が成立することはないという物権の原則。ただし、例外のケースてして、土地の一部の時効取得、集合物譲渡担保などはある。


~休憩~
今年は神頼みにも行く。
菅原道真を祀る『菅原神社』である。
マンションの隙間にひっそりと建っているが、北九州小倉の神社で学問に後利益があると言えば、この神社である。

大宰府天満宮で見たあの牛もいました。
これは御利益がありそうです。

おみくじ。小吉。
はじめ思うようにならず
中程は苦労が多いが
正しく誠をもって努めれば
後には幸せの道が開ける
足ることを知るは 幸せの基

身の程を知れ!ってことですかね…