Shark Bait(2022年 イギリス)
監督:ジェームズ・ナン
脚本:ニック・ソルトリーズ
製作:アンドリュー・プレンダーガスト、クリス・リード、ナディン・ルケ、アンディ・メイソン、マイク・ルナゴール
撮影:ベン・ムールデン
編集:トミー・ボウルディング
音楽:バルター・マイア
出演:ホリー・アール、ジャック・トゥルーマン、キャサリン・ハネイ、マラキ・プラー=ラッチマン、トーマス・フリン、マニュエル・カウキ
①夏の気分は味わえます!
春休み、メキシコのビーチへバカンスにやってきたアメリカの大学生5人組。夜中パーティーで騒ぎまくり、酔ったまま朝を迎えた彼らは、港に停めてあった水上バイクを勝手に拝借。真面目なナット(ホリー・アール)の制止も聞かず、バイクはクラッシュして海の真ん中で動かなくなります。仲間の一人は大怪我し、その血の匂いを嗅ぎつけて、凶暴なホホジロザメが近づいてきます…。
毎度おなじみサメ映画。
BSとかCSとか観てると素っ頓狂なサメ映画が、それこそ無数に存在しますが、本作は劇場公開されるだけあって、その中ではまだしも良質なサメ映画と言えます。
頭がいっぱいあったり空を飛んだり被爆してたりゾンビだったりすることもなく、ただ泳ぐことと噛み付くことしかできない普通のサメです。
邦題は「海底47m」「海底47m 古代マヤの死の迷宮」を連想させますが、それらの作品のセカンドユニット監督による作品だそうです。それは関係あるのか、ないのか…。
ジェームズ・ナン監督。ジェームズ・ワンでもなく、ジェームズ・ガンでもない。
何だか、志が高いのか低いのか…。
まあ、いろいろとツッコミどころの多い映画ではありますが。
正攻法の、そこそこ見応えあるサメ映画になってたと思います。
気楽に観られる夏の風物詩としては、アリじゃないでしょうか。
②オーソドックスなサメ映画
調子に乗って水上バイクで沖まで行ってしまって、エンジンが壊れて戻れなくなる。
結果、1台の水上バイクに5人がつかまって海の上を漂流するはめに…。
本作はこれも非常に多い、限定シチュエーションものです。
予算が格段に少なくて済む限定シチュエーションはサメ映画に持ってこいなので、既に多くの先例があります。
岩礁の上(ロスト・バケーション)とか、海に浮かぶだけ(オープン・ウォーター)とか、海の底(海底47m)とか…。
そんな中で、「動かない水上バイク」にしがみつく…というのは、一周回って基本って感じですね。
実際、本作は非常にオーソドックスなサメ映画になっています。良くも悪くも、それが特徴ですね。
海に落ちるとヤバくて、とりあえず水上バイクの上にいればセーフという「高オニ」状況。
海に入ればサメの恐怖、バイクの上では暑さと乾き。
時間が経つほどサバイバルの可能性が下がる中で、いったいどうやって脱出するのか…
とは言え、できることは非常に少ないんですよね、この状況。
最初のうちに「エンジンは直らない」「携帯の電波は入らない」という辺りを潰したら、後は「頑張って泳ぐ」くらい。サメが来たらそれも詰み。
なので、あれこれとアイデアを絞ってサバイバルする面白みというのはあまりありません。
逆に言えば、単調になりがちな状況の割には、結構起伏を作って盛り上げているとも言えます。
サメが一瞬しかアタックしてこない…画面に映る時間が節約されている…のは、最近の低予算サメ映画と同様ですが。
それでもなんとか、執拗に追いかけてくるサメとの戦いを描いています。最後までぶっ飛んだところはなくて、良くも悪くも最後までオーソドックス…ではありました。
ところで、メキシコにリゾートに来たアメリカ人という設定の本作ですが、本作はイギリス映画です。
エンドクレジットを見る限り、ロケ地はメキシコではなくマルタだそうです。マルタ、地中海の島国。
マルタは結構映画のロケ地として売り出していて、多くの映画で南国リゾート風の風景は実はマルタで撮られてるみたいですね。
更にマルタには「世界最大の撮影用水槽」があるとのことで、海の上のシーンも実際に海に行かなくても撮れるようです。
…ということを、僕はマルタ映画「ザ・ボート」で知りました。
これは登場人物一人だけで、ボートに閉じ込められて出られない男を描くという、更なる極端な限定状況ホラーでした。
結構意外なひねりがあって、面白かったですよ。「海上48hours」に欠けてたのはコレだな。意外なひねり。
サメ映画の創始者は、他のどの作品とも格が違うサスペンスの教科書。元祖が別格すぎて、かえって自由に創りやすいのかも。
サメもデカすぎると怪獣映画の域に。
サメ映画…と思って探してたら、「懐かしパンフレット」の枠で書いたのがありました。デニス・クエイド主演のジョーズ3。
マルタ製のホラー映画という変わり種。