今から十数年前のお話、とある賃貸不動産のお店にて。
お部屋を探しに来たのは、もうお子様も成人したという年代の女性。
担当は入社して1年ほど男性営業社員、ナゼか年上受けが良いのが売り(笑)
ソノ女性、アパートを借りるのは初めてというコトで
不動産という職種に警戒心があるのか、ご自身のお名前も教えてくださいません。
営業社員は、チョイと接客しづらいなぁ……と思いつつも
いつものように数件の候補物件を丁寧にアピールします。
サスガは年上キラー(笑)実際にお部屋を見に行く頃には
お客様の心も解きほぐされ、車中での会話は弾みます。
以下はソノ車中での会話。
お客様 『お店では言えなかったけど、実は離婚でお部屋を探すんです。』
営業社員『え!ああ……そうだったんですか……(気がついていたケドねw)』
お客様 『結婚も色々大変なのよ……アナタは結婚しているの?』
営業社員『あ、私は独身です。』
お客様 『あらそうなの?でもお相手くらいはいるんでしょ?』
営業社員『いや~、実はつい先日ふられちゃいましてね、募集中なんですよ(苦笑)』
お客様 『アナタはカンジが良さそうだからスグ見つかるわよ!
あ、そうそう、ウチの娘なんてどう?今フリーだって言っていたわ♪』
営業社員『お客様のお嬢さんならさぞかしお綺麗なんでしょうね(←反射)。
でも私、実はまだ振られたショックから立ち直ってないんですよ(笑)』
営業社員、コノお客様から相当気に入られたようですね(^^ゞ
『娘を紹介する』とまで言われることはそうそう無いものです。
営業社員も悪い気はしなかったのでしょう、車中での会話はドンドン弾みます。
しかし、スデに一方的な身の上話モードになっていたお客様
ソノお客様のご家庭や娘さんの話題に移ったあたりから
営業社員の心はある予感に覆い尽くされていきます。
無事に気に入ったお部屋が見つかり
お店に戻ってから入居申込書をお客様にご記入いただきます。
そこで初めてお客様のお名前を知った営業社員
ある予感が現実のものに変わり、凍りつきました。
ソノお客様、先日振られた彼女のお母様でした
どうりで聞いたことある話ばかり、世間って狭い。
※このシリーズはあくまでも『与太話』です。