1章盛期イタリア・ルネサンス美術-ミケランジェロの芸術 | 65歳の芸大生

65歳の芸大生

定年退職後、新しいことにチャレンジしたいと考えて、今まで縁がなかった芸術について学ぼうと思い、京都芸術大学通信教育部芸術教養学科に編入学しました。このブログが日々の学習内容の記録として活用しています。

古代ギリシア・ローマ文化の復興を掲げて展開してきたルネサンス芸術は、ミケランジェロの登場によって16世紀前半に頂点へと達します。絵画・彫刻・建築に秀でたこの天才は、15世紀の末に完成された古典的理想美から抜け出して、身体の複雑な動きによって精神性を表出する芸術へと向かいました。本章では、当時、芸術の範例であった自然と古典古代の美術をともに凌駕 したと称えられたミケランジェロの造形表現を見ていきましょう。 Movie1・・・盛期ルネサンスの古典主義 -均整のとれた肉体美- Movie2・・・古典的理想美からの逸脱 -ミケランジェロと新プラトン主義- Movie3・・・人体表現の新たなる可能性 -蛇状人体- Movie4・・・伝統的図像の破壊と創造 -芸術家と「自由」- Movie5・・・古代建築の凌駕 -ミケランジェロの建築-

ミケランジェロは芸術家の主観的な判断力から導き出された比例と現実には不可能な「ひねり」を人体表現に適用することによって、複雑で高度な精神性の視覚化に成功します。こうした古典的理想美から逸脱した「蛇状人体」はマニエリスム美術へと引き継がれました。ミケランジェロが活躍したこの時期のフィレンツェでは、本来「素描」を意味するディセーニョが、下描きではなく芸術的意匠や創造理念そのものとみなされるようになります