6章20世紀前半の彫刻-公共空間のモニュメントからアトリエ内の実験へ | 65歳の芸大生

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定年退職後、新しいことにチャレンジしたいと考えて、今まで縁がなかった芸術について学ぼうと思い、京都芸術大学通信教育部芸術教養学科に編入学しました。このブログが日々の学習内容の記録として活用しています。

この章の要点

多くの作家が新しい彫刻をめざして実験を繰り広げた20世紀の前半は、広い視野でとらえれば彫刻作品が公共空間を離れ、展覧会や美術館に舞台を移していった時期です。また伝統的な彫刻のあり方を引き継いだ作品と、それとはまったく異なる自由な発想から生まれた作品が混在していた時代でもありました。この章では20世紀前半の重要な動向を追いながら、作家たちの試みが彫刻の可能性を広げていくさまを見ていきます。 Movie1・・・ロダン工房からうまれたもの Movie2・・・画家たちの彫刻 Movie3・・・世界の見方を問う彫刻 Movie4・・・民衆の感情を代弁する彫刻 Movie5・・・抽象彫刻の源泉

 

共同体の記憶をとどめておく機能を持った彫刻はモニュメントと呼ばれ、19世紀までは主要な彫刻表現でした。フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンはこうした彫刻を数多く手がけましたが、やがて発注者と対立し、展覧会のための作品を作るようになりました。彼はそれぞれ別の作品の部分を組み合わせたアサンブラージュという技法を使って作品を作りましたが、これは後の作家たちにも取り入れられました。ピカソの《アブサントのグラス》もそのような作品ですが、従来のモデリングやカーヴィングとは異なり、素材の加工よりも形の組み合わせに重点が置かれています。