
主役はチェンバース。
立役者はユセフ・ラティーフ。
名実共に"1st Bassman"なチェンバース、最後のリーダー作。
1950年代中盤~後半にかけてとんでもない量のライブとレコーディングをこなしていたチェンバースだったが、60年代前半頃には急速にペースが落ちてくる。
そもそも1969年に33歳の若さで亡くなったチェンバースなので、実際の活動期間は10年余りと非常に短いのだが。
60年代に差し掛かるとオーネット・コールマンやエリック・ドルフィー、新主流派と呼ばれるモードジャズの台頭によりビバップが過去のものになりつつあった。
時代の流れもあり、チェンバースのトレードマークであるムチムチとしたランニングベースがだんだんと不必要になってきたのだろう。
このアルバムはそんな60年代の新しい風を民族音楽に長けているマルチ奏者、ラティーフが演出している。
楽曲の大半はラティーフのペンによって書かれたもので、独特なホーンアンサンブルも彼の監督によるもの。
トランペット・テナーサックス・トロンボーンと、まさにハードバップな3管が揃っているのにそうなっていないのはラティーフの思惑。
ダイナミクスではなくハーモニーの為に揃えられた3管ということが分かる。
楽曲自体もマイナー調が多い中で、少しヒネたコード進行になっていて安直に聴かせないあたり、やや辛口。
全体の出来としては実にB級盤らしい出来で、釈然としないトミー・タレンタインの残念っぷり、マニアックなスケールで小技の効かせたラティーフに安定のフラー、といまひとつ地味。
ピアノもウィントン・ケリーなはずなのに精彩に欠ける。
とはいえ、主役であるチェンバースの出番はかなり多く、積極的にテーマを弾いてることもあってベーシストのお手本となることは間違いなし。
アルバムの最後に何故かキャノンボール・アダレイを擁したカルテット演奏が1曲だけ収録されている。
イキの良いアダレイは流石に聴き応えがあるものの、アルバムコンセプトとまるっきり関係なく、ちょっと蛇足。
そんなところがB級レーベル「Vee Jay」の親しみやすさでもあるけれど。
1960,5,12 (Vee Jay)
Paul Chambers (ba)
Tommy Turrentine (tp)
Tommy Turrentine (tp)
Curtis Fuller (tb)
Cannonball Addaley (as) #6
Yusef Lateef (ts)
Wynton Kelly (pf)
Lex Humphries (ds)
Wynton Kelly (pf)
Lex Humphries (ds)
1.Melody
2.Bass Region
3.Retrogress
4.Mopp Shoe Blues
5.Blessed
2.Bass Region
3.Retrogress
4.Mopp Shoe Blues
5.Blessed
6.Who's Blues