これはチャット仲間の須賀ハジメさんの投稿です。この場をお借りして御礼申し上げます。
「ヒロシ君、お誕生日おめでとう」
「おにぃ、おめでと」
「あ、ありがとう」
慣れない店の雰囲気に若干緊張気味のヒロシ。
今日は郊外のイタリア料理店に来ていた。
目の前にはフォーマルなスーツとブラウスを身に纏った幼馴染のいずみ、そしていずみの母親の初美おばさん。
二人がヒロシの誕生日を祝ってくれると言うのだ。
「この店、随分高そうだけどいいの?」
見るからに高級そうな店の雰囲気にヒロシは少し心配になった。
「おにぃ大丈夫だよ。いざとなったら食い逃げするから^^」
「店の人、しめちゃうのもいいかもね^^」
「ハハ、二人が言うと洒落にならないよ」
3人の間に和やかな空気が流れたその時だった。
突如、いずみと初美おばさんが真剣な表情で押し黙る
「ん?どうしたの?」
何も言わず店を飛び出すいずみと初美おばさん。
夜空を見透かすように険しい表情で睨みつけた。
「いずみ、おばさん、どうしたの?」
慌てて二人を追いかけたヒロシも、二人の視線の先に眼を向ける。
雲ひとつない夜空が広がっているだけで特に何も見当たらない。
「おかあ、あれ・・・」
「この間の宇宙海賊ね」
そう呟くと突如ブラウスの前面をはだけるいずみと初美おばさん。
そこにはブルーのボディスーツ、胸には「S」のエンブレムが誇らしく輝いている。
そう、いずみと初美おばさんは宇宙最強のスーパー母娘。スーパーガールとスーパーウーマンなのだ。
「どう?おにぃ、色っぽいでしょ?」
スーパーガールコスチュームのいずみはそう言って真っ赤なミニスカートの裾を持ち上げて見せた。
「もうっ、ふざけてないで行くわよ」
全身をブルーのボディスーツでぴったりと包み込むスーパーマンコスチュームの初美おばさん。
巨大なバストのせいで胸のエンブレムが大きく歪んでいる。
「おかあ、まだまだ現役ねぇ・・・」
初美おばさん、いやスーパーウーマンの逞しい肉体にため息をつくスーパーガールいずみ。
「じゃあヒロシ君、ちょっと行ってくるわね」
「おにぃ、すぐ帰ってくるからね♪」
そう言い残しスーパーウーマンとスーパーガールは空の彼方へ飛び去りあっという間に見えなくなった
地球から数百万キロ離れた火星沖。
地球に向け進撃する宇宙海賊の艦隊が所狭しと展開していた。
その中に二つの力強い光が飛翔する。
「な、なんだ、お前らは!?」
千隻の宇宙海賊の艦隊の前に姿を現したスーパーウーマンとスーパーガールいずみ。
「私たちには勝てないわ」
「さっさと降参しなさい」
「勝てない?降参?馬鹿かお前は!お前らなんて跡形もなく消し去ってやるぜ!ガハハハ」
艦隊の奥に居座る巨大な宇宙船から海賊のボスの下品な笑い声が響いた。
「撃てぇ!!」
宇宙空間を埋め尽くすほどの砲撃がスーパーウーマン親子に襲い掛かる。
あたり一帯がエネルギー弾の爆発による巨大な火球に包まれた。
「止めぇ!!」
爆発が収まり宇宙空間が静寂を取り戻すと、下品な声が再び鳴り響いた。
「へへへ、口ほどにもねえな・・・げぇ!?」
なんとボスの視線の先には惑星をも消し去るほどの砲撃をまったく意に介さないスーパーウーマン親子の姿があった。
「あら、跡形もなく消し去る割には随分温い攻撃ね」
腰に手を当て余裕の笑みを浮かべるスーパーウーマン。
「私、温い男は嫌いなのよね・・・」
スーパーガールいずみは怒りに燃えた目で宇宙艦隊を睨みつけた。
「じゃあ、今度はこっちからイクよ!」
スーパーガールいずみの瞳が真っ赤に光ると、ヒートビジョンで水平に宇宙艦隊を薙ぎ払った。
次々と大爆発を起こす宇宙海賊たちの船。
「これで少しは熱くなったんじゃない?」
「ふふっ、やるじゃない。私も負けてられないわね」
スーパーウーマンは超光速で巨大な宇宙船に取り付くと、その巨体を軽々持ち上げた。
「そーれっ!」
スーパーウーマンは巨大な宇宙船を艦隊が密集する空間に向かって投げつけた。
巨大な宇宙船は数十隻の宇宙船を巻き込み一斉に大爆発を起こす。
「へぇ、さすがおかあ♪」
スーパーガールいずみは大きく息を吸い込むと、居並ぶ宇宙艦隊にスーパーブレスを吹きかけた。
ゴォオオオ!!
空気など一切存在しないはずの宇宙空間に凄まじい突風が吹き荒れて周囲の宇宙船は次々と落されていった。
「おかあ、雑魚は私に任せといて!」
「了解!行くわよ!」
スーパーウーマンは立ちはだかる宇宙船を叩きのめしながら、艦隊の奥に居座る宇宙海賊の巨大母船に向かって一直線に突進した。
「ば、馬鹿な・・・!?千隻の宇宙艦隊が・・・!」
母船に乗ったボスが呆気に取られているうちにスーパーウーマンはあっという間に目の前までやってきた。
「あら?私たち親子を相手にするなら、あと百倍・・・、いや、千倍は必要なんじゃない?」
足元の巨大な宇宙船を見下ろスーパーウーマン。
「クソ、撃て!撃てぇ!!」
母船から最後の悪あがきとも言える砲弾が次々と放たれた。
しかし、スーパーウーマンにダメージは皆無だ。
「もう、往生際が悪いわねぇ」
スーパーウーマンはふぅっとため息をつくと、右手を大きく振りかぶり右拳を打ち込んだ。
ゴォォン!と大きな音を立て、母船の船体がぐしゃぐしゃに歪んだ。
すかさず左側へ回り込み今度は左パンチをぶち込む。
「どんどんいくわよ!」
スーパーウーマンは超光速で右に左に飛び回ると、パンチを打ち続ける。
「これで終わり♪」
やがて、スーパーウーマンが動きを止めると巨大な宇宙船は跡形もなく消え去っていった。
「ふふふ、こんなに小さくなっちゃったわ」
スーパーウーマンの手には小さな鉄の塊があった。
数千トンを超える宇宙海賊の母船はスーパーウーマンの手によって手のひらサイズにまで圧縮されてしまったのだ。
「そうだ。これはヒロシくんへのお土産にしようかな?」
スーパーウーマンはそう言うと、鉄の塊を豊満な胸の谷間に押し込んだ。が・・・
ぐしゃり
スーパーウーマンの柔らかな胸はダイヤモンドを越える硬さにまで圧縮された鉄塊をやすやすと挟み潰してしまった。
「あらあら、随分脆いわねぇ・・・」
「こいつら弱いから、乗ってる船も脆いんだよ」
スーパーウーマンの元にスーパーガールいずみが現れた。
「どうやら、そうみたいね」
スーパーウーマンが辺りを見渡す。
千隻の宇宙艦隊はスーパーガールいずみの手によって僅か数分で壊滅していた。
「早く帰らないとヒロシ君が待ってるわ」
「そうね」
スーパーウーマンとスーパーガールいずみの視力は数百万km離れた地球にいるヒロシの様子を観察していた。
「そうだ、おかあ。おにぃの誕生日この格好で祝ってあげない?」
「いいわね、ヒロシ君には何よりのプレゼントになるかも♪」
そう言うと二人は地球に向け発進した。
「おかあ、地球まで競争だよ」
「ふふ、負けないわよ」
宇宙最強のスーパー母娘は片手を前方に突き出して、地球に向けて飛翔すると宇宙の闇に消えていった。
-おわり-