スーパーガールの噂はこの町の人間なら誰で も知っていた
事件あるところに颯爽と現われ、無限のパワーで解決し、町を守っている女の子だ
みんなが憧れる英雄だったが、特にボクは熱心なファンだった
何の変哲のない、いつもと同じある日、いつもと同じように自転車で下校中だったボクは、いつもと同じ順路を通り、今、自分の家へ着こうとしているところだった
そのとき、頭上を青い光が凄まじいスピードで横切ったすさまじい突風が生じる
「うわあぁぁっ」
ボクは自転車ごと倒れてしまった。
対向にいた中年のサラリーマン風の男はカツラとともにふっとび、二十代ぐらいの大男も脚を踏ん張っが、やがて尻もちをついた。
銀杏並木が一斉に激しく揺れ、大量の葉が吹き飛んだ。道路標識はブルブルと前後に大きく震えている。
青い光はどうやらすぐ先のボクの家へ降り立ったようだった。あの一瞬、ボクの目でなんとか確認できたのは 光の中心にいたのはどうやら女性らしいことだった。噂のスーパー ガールがついにうちに来たのか
「ついにスーパーガールに会えるかもしれない」
期待に胸をふくらませたボクは倒れた時にひじに負ったすり傷の痛みをこらえながら倒れた自転車を立ち上げて乗り、急いで家の庭に入った。
庭をよく見渡したが、特に誰もいない。がっくりと肩を落として諦 めて玄関へ向かう。
…そこには妹が見えた。
こっちからは後ろ姿で髪と赤いマントとブーツしか見えないが、あれは間違いなく妹。
…スーパーガール姿の妹だった
妹は体中からまばゆい光を放つ。
光が消えた頃には妹の姿はいつものセーラー服姿に戻っていた。
「ただいまー。」
妹がそのまま玄関の敷居をまたぐ。
ぼくは影からその光景を見て愕然として立ち 尽くすしかなかった。
そう、妹こそがボクが憧れ続けたスーパーガールだったのだ……。
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