冷たい夜のサーモンピンク | akiのAYOGスタイル

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ハワイ州マウイ島のヨガアカデミーにて、全米ヨガアライアンスRYT200を取得。帰国後、東京から千葉県九十九里に拠点を移し、現在の師匠・佐藤ベジと共にNYダーマヨガセンターへ。その後もNYに修行に行きつつ、BORN TO YOG TTを卒業。現在は千葉や東京を中心に活動しています。

モグラNo.2

✳︎

「際限なくどこまでも一人きりだという
暗いあの冷たさ」


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外はまだ暗い朝の5時過ぎ。

私は浅くなってしまった呼吸と一緒に、

慣れないベッドの中で、

ただじっと小さくなっていました。



ずっと忘れていたこの感じ、

二の腕の表面がヒヤリと冷たく泡立って、

貧血の時みたいにサーッと血の気が失せる。


包丁でスパッと指を切ってしまった時の、

血が溢れ出るのを息を止めて見届ける、

あの瞬間。あの感覚に良く似ていると思う。



泣くのとは違う。

泣けたら楽になるのに、

涙というのは次の段階だったと、

あぁそうだと、

ぼんやり思い出していました。



隣のベッドには友達が寝ているというのに、

自分が小さな存在になってしまったような、

世界から取り残されたような、

際限なく一人きりだという暗い冷たさ。



きっかけはあったのですが、

(今となれば大したことでは無かった)

今回のNYはなぜか時差ボケが続いて、

毎日3時間くらいしか眠れなかったことや、

連絡が思うようにとれない息苦しさや、

そんなタイミングが合ってしまったようで。


全ての居心地が悪くて苦しい。

シーツも枕も全部。

とにかく早く夜が明けて、

ここから出して欲しいと願う。



いや待ってるだけではいけない。

これはどうにかしなくてはと思い、

あの当時(5年前)はどうやって

やり過ごしていたのかの記憶を辿って、


さらに今の私ならならどうできるか、

音が出るほど息を吐いて

自分に聞いてみる。



まずは今にいなさいと、

自分に言い聞かせることから始めてみる。

そう、昔の私にはこの観念自体が無かった。


今にいる事の大切さは、

ある程度ヨガの練習をしていれば、

誰もが知ってるようなこと。



今だけが存在し続ける。

この時間を自分なりにどう解釈して、

優しい味方につけるかのゲームを始める。


終わったこと、このあと想像されることを

いったん脇に置いて(手放すというより)

心をフラットな凪の状態に戻すようにする。


過去未来には私の力は及ばないのだから、

放っておきなさいとなだめるようにする。


そうしたら半分くらいは楽になって、

それを知らずにダンマリ耐えていた、

昔の自分が可哀想になってしまった。

何も分からない捨てられた子犬みたいだった



そして次に試してみたことは、

意識を自分の内側に持ってくること。

さらに子供を慰めるように優しく、

自分の両手で自分をハグだ。


何度もゆっくりと呼吸をしていたら、

自然とサーモンピンクのカラーが見えた。

(意識が自分の外側にあるうちは、
どうやってもサーモンピンクにはならなかった)

昔の私だったら、

こんなことは絶対にしていなかっただろう。



✳︎


自分の中の何かに

柔らかくタッチしていく(されていく)

この優しい癒やしの作業は、

辛くてしんどくて孤独になった時には、

大人だからこそ試してみて欲しいし、


これを読んだ人から、

なんて弱いやつだと思われてもいいけど、

いつか役に立ちそうな時が来てしまったら

照れずに試してみて欲しい。

強い人なんていない。

そのジャンルがあるだけだと思う。



そして分かる人には

少しだけでも伝わったらそれでいい。


だってこれをやったら、

体温が上がり、

張り詰めていた糸が緩み、

まるで息を吹き返したようになって

自分でもびっくりしてしまった。


柔らかく安堵するという暖かさが戻り、

自分に安心し始めた。


(でもこれは本当に集中して、
かなり本気で取り組まなくてはだめ。)



そしてあの当時の私のもとへ飛んでいって、

これを教えてあげられたらと思ったら、

思わず涙が出て来た。

私が私という子犬を拾ってあげたかった。


✳︎


これはヨガの練習を続けながら、

少しずつ刷り込んできたもの。

受け身ではなく求めてきたもの。

読んで・聞いて知ってはいたけれど、

実感までは出来なかったこと。


まさかこの朝これを体験するとは!

昼間にヨガしたのも良かった。

その日の夜にはもう友達に話せたし。


本当にキツイことは、

人に話すには時間がかかります。

伝えるための言葉にするには。


そしてあぁ私は忘れていたんだなと。

忘れるって偉大だなぁとか、

忘れるって許しなんだなぁとか。

そんな風に感じて、

何かに触れたベッドでの出来事。



✳︎



帰りの飛行機があまりに快適で、

さらに日本に帰ってきてからは時差ボケ無し

毎回帰って来た日のあのズタボロさと、

朝方に目が覚めてしまうのが嘘のよう。


これも毎日の規則正しい生活が、

この5年のうちに

私に身についていた証拠かもしれない。


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