自分に問う、その表現に”真”はあるか?【※血注意・文末に追記有り。】 | 本橋ユウコの部屋

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先日はよその(放置決定)ブログに思わず垂れ流した毒吐き記事のせいで、一部の心やさしい皆さんに御心配をお掛けしたようです。。誠に申し訳ありませんでした…。

そんなこんなで、しばらく大人しく消えとこうかな~とかも思ってたんだが、気が変わりまして。


果たしてどのくらいの人が知ってる問題か、知ってたとして、どれだけ自分自身にも関わりのある問題として捉えられているか、わからないけど一応、言うことは言ってかないと自分の寝覚めが悪いんだよ。

とか言いつつ頭(知識)が大分足りないので賢い方のご発言を引用せざるを得ないんだが!(爆)



■ITmedia +D LifeStyle
小寺信良:
「児童ポルノ法改正」に潜む危険 」

http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0803/17/news010.html

  「児童ポルノ法」が改正されようとしている。子どもが性的虐待にさらされる事件は根絶されるべき
  だが、行われようとする改正は違う方向を向いているように思えてならない。


【2009.7/6追記】合わせてこっちも読むと、残念ながら相当ヤバイことになってきてるのが判る…(汗)
「暴走するネット規制 、あるいは「ネットで婚活」終了のお知らせ 」

http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0907/06/news004.html


ブロッキングについてさらに詳細。
■NIKKEINET IT+PLUS
楠正憲:
「児童ポルノブロッキングの悩ましいリスク」

http://it.nikkei.co.jp/internet/column/trilemma.aspx?n=MMIT06000015122008



(呟き)…戦前の言論弾圧の時もそうだったけど、規制したい側ってのは必ず、その当時の社会全体にとっての”誰も異を唱えることが不可能な”「絶対正義」を、強引に持ち出して「思考停止」を迫ってくるんだよね…。(戦前=共産革命テロvs天皇制維持。現代=キモいロリコンvs性犯罪被害児童の保護。)
…でもやってることの内実は、死守とかいってる旗印を自ら軽んじてたりもする。。(→”天皇の軍隊”の結末。)



ついでに、以下二本は有名な「ニコニコ動画」より。…これが今、一番影響力って大きいんでしょ?
※周りを流れてる色々かたよった政治的野次とかは頑張ってスルーして、数値データ等を参照して下さい



■ニコニコ動画「児童ポルノ法案改正案はこんなに危険?」

http://www.nicovideo.jp/watch/sm7387902


■ニコニコ動画「児童ポルノ単純所持違法化阻止」

http://www.nicovideo.jp/watch/sm3187397



今現在も、一部のネット上、さらには先日まで自分も投稿してた巨大イラストコミュニティ「PIXIV」内でも、この法改変(いや改悪)の動きと、さらにその先にあるのが確実視されつつある―

「架空創作表現規制」

つまり「二次元(アニメ・漫画・ゲーム、CG等→創作物規制))も三次元も関係なく、水着、半裸、アイドルのコンサート、写真集、パンチラ、とにかく何でも”18歳未満のエロっぽくみえる(取り締まり側から見て!)”ものは全て規制だ!作る方も、買う奴も、ただ持ってる奴(→単純所持規制)も、全部違法&処罰だゴルァ!!」
という「表現の自由」を根底から無視した法案に、自らが「絵の描き手」という立場から反対するためのネット署名等の草の根運動が行われています。ご興味お持ち頂けた方は一寸のぞいて見て下さい。


■オンライン署名サイト
「架空創作表現規制禁止の法制化を求める署名 」

http://www.shomei.tv/project-1025.html


■※※こっちは児ポ法改悪反対のオンライン署名です!
「児童ポルノ・児童売春禁止法改定阻止の署名」

http://www.shomei.tv/project-194.html


…残念ながら、正直に言ってあまり運動伸びてないみたいですけどね…pixiv内では。。「お絵かき」コミュニティなのに。。。(もしかして自分がエロ絵を描いてるって自覚ないのか?!苦笑)

恐らく、皆さん自分に関係あることだとはあんまり思われてないようで。
あと危険性わかってても職業絵描き様方にはそれはそれで色々と微妙な立場とかもあろうし…(悩)。

とにかくこの問題は背景が複雑怪奇で、論じる時は勢いどうしても二元論的な、
・ヲタ(あるいは変態?)vs一般(ノーマル)
・男(エロ)vs女(腐女子とか?)
他にも特定の政治党派のいがみ合いみたいのになっちゃったり、宗教的なことが絡んできたりと、ほんと厄介な話なんで。。

そういうの、考えるのめんどくさいよ~…という意見も、もの凄くよくわかる…。



でも、いいか。市民が「考える」ことを放棄したら、”自由”も”民主主義”も、そこで終わるんだぞ?



pixiv内の署名企画では、差し迫った危機感から「もう時間がない!各自、地元の選挙区の議員に直接手紙かメールするんだ!」みたいな声が大きくなっていて、その方向に動きつつあるようです。


…ただ、自分個人としては、少し考えは違っていて。


ただ単に今回の改正(悪)法案を阻止できれば良い、ということではないだろうと思うのです。
(いや、正に今回ので将来”息の根止められかねない”緊急性ってのも、十分承知してるけども!汗)
仮にこの騒ぎが無事に通り過ぎて、それで「やれやれ」っと皆が忘れてしまっては元も子もない。

むしろ遠回りとか手遅れとか言われるかもしれないけど、問題の本質は―



権力が、自分達にとって都合の悪い情報や、邪魔な勢力を簡単に排除出来るよう、自分達の持つ権限を悪用して法律や、その運用の仕方を、民衆には”わからないように、いつの間にか”いじくろうとする。

そういう暴挙を止めたければ、民衆自身がちゃんと監視し、声を上げるべき時は上げなくてはならない。



こっちのほうでしょう?
皆が、政治とかを単なる”ブーム”や”見世物”ではなく、自分達の人生に密接に関わる事柄として、自分達の社会の行く末を決める大きなプロセスとして、絶えず関心と注意を持つべきである、ということでしょう?


だから、私としては、例え「世論の声」としか扱われなくて、実際の署名としての効力が無かったとしても、みんなに見える形で、ネットというオープンな空間で”少なくとも1000万人”くらいは反対のオンライン署名を集めるほうが、将来的にはこの国にとってはいいことなのじゃないか?とも思っている。

この一件を通して「みんなが言ってる『治安維持法』って何かな?」って調べるのもいいだろうし。
「よその国ではどんなことが起こってるの?」「この国はどうあって欲しいと自分は思うの?」そういうことまでボンヤリとではあっても考えるだろうし。

だから私個人としては、そういういささか遠回りな発言ばっかりになりがちなんですが…。


でも、自分は、「絵描き」だから。


活動家でも、政治家でもない。

自らの作り出す画面を通して、他人の”印象を操作”し、”特定の感情”を煽って、実際に「一つの行動」に向かわせるための”訓練”というものを、ほとんどの絵描きはかつて学校等で受けたことがあり、恐らく、やろうとすればかなり巧く出来るのだろう。
絵描きだけじゃなくて、作家も、報道人も、広告マンも、教師も、みんなそれを出来るのだろう。



でも、それでは本当にその人が「何かを選んだ」ことにはならないのではないか?



(○○が怖かったら)「この商品を買え」って言ってるみたいじゃないか?

(○○に侵略されたくなかったら)「この戦争を正義と認めろ」…なんてことも言えそうじゃないか?



それじゃ意味が無いんだ。



せっかく進んだIT環境も、個人の自由も、安全も、湯水のように自然に与えられているこの国で。
いいかげん皆が、自分で正しい情報を選択し、自分自身の頭と心で、考えられるようになるべきなんだ。


…でないと、もう60年も前になる、あの悲惨な戦争から、我々は、何も学んでいないことになる。




※最後に、自分がPIXIVの方のキャプションに書いたものを再録しときます。
いずれあのイラストコミュニティ自体が「規制対象」になって、読めなくなる可能性も高いしね。。
(今回の記事で御紹介した「児ポ法」問題とは直接の関係はないのですが、元々自分は「表現規制反対」の立場で行動していたので、あくまで創作物の「表現の自由」擁護の立場からと御理解下さい)
・使用したのは↑の「アナタヲ守ル」という作品です。今見ると着物とか相当アレだな…(落)



2009年06月30日 02:02
【規制反対】「表現の自由」の意味

■我々日本人が、どうしても世界に対して言ってこなければならなかったのに、これまで決して充分には言われていなかったことがあります。

かつて、あの悲惨な戦争に突入する過程で、当時の権力がどれほど激しく「言論」と「思想」を”弾圧”したか。(「治安維持法」の最高刑は死刑)
それへの恐怖によって、どれほど一般の市民生活も、企業活動も、ジャーナリズムも、教育現場も、ありとあらゆる場面で”権力に不都合な情報”と、”権力に批判的な意見”が封殺され、皆が疑心暗鬼に陥り…、その結果、国民全てが「取り返しのつかない道」を突き進まざるを得なかったかを。
あの「治安維持法」さえ、最初は後世言われるほどの”悪法”だとは、多くの国民は気づかなかったのです。
そして結局は自分達で自分達の首を絞めた。

■どうして私たちの、この日本で、他国に比べて、これほど大きな「表現の自由」が認められているのか?

かつて、「それ」を制限したことによって、この国が”戦争の当事者”になり…その結果、国民全てが”地獄の苦しみ”を味わった―そんな了解が、ある時代までは確かに全国民に共有されていたから、ではないのでしょうか?

■戦後、数々の戦争映画の傑作が生まれましたが、それらの作品から仮に「暴力的である」という理由で流血や、殺戮のシーンを取り除いたとしたら、一体何が伝わるのか?

… 今は故人となった、ある任侠映画で超有名な映画監督は「自分は少年の頃、兵器工場で働かされていた時に、空爆で四散した級友たちの遺体(の破片)を無責任な大人の命令で片付けさせられた。その原風景が、自分の生涯の創作の動機だ」というような内容のことを話しておられた。

”反戦”のための戦争映画で”戦争の悲惨さ”を描けなくて、どうして”反戦”のメッセージが伝えられるのか?

…決して”エロ”だけの話じゃないのです。

この「表現の自由」とは、私たちの国の歴史、歩んできた道程、私たち自身の”魂”の問題なのです。
それは、どこの他国の人間だろうと、判断することも、ましてや責任を取ることなど絶対に出来るものではない。
我々自身がしっかりと選ばなければならないことなのです。



【7/8追記】あのちばてつや大先生が!表現規制の危険性に自作漫画で声をあげられています!!(感)
http://chibapro.co.jp/shuppan/tobokuhaomoimasu/tobokuha/tobokuha-01.html