【韓国映画】ザ・キング 男たちがカッコイイ(ネタバレなしでおススメします!)ネタバレ追記あり | ROUTE8787 サンサクキロク

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ザ・キング /韓国

2018年 134分 Hulu

2023年 34本目 ☆☆☆☆

ケンカ好きの貧しい青年だったパク・テス(チョ・インソン)は、暴力ではなく権力で悪を制する検事に憧れ、猛勉強の末に夢を実現、新人検事として地方都市で多忙な日々を始める。だが、ある事件をきっかけにソウル中央地検のエリート部長ガンシク(チョン・ウソン)と出会い、平穏だった人生は激変。富も名声も手にしたガンシクは、他人を踏み台にして出世し、大統領選挙を利用して権力をつかんだ“1%の成功者”だった。正義の仮面の下に隠された正体を知ったテスは、次第に悪の魅に染まっていく。だが、制裁の刃はすぐそこまで迫っていた……。

 

リュ・ジュンヨル様祭りです。

「運勢ロマンス」完走したんですけど、その後すぐに、

この映画を観まして。

すっごく面白かったんで、先にこちらのレビューをば。

 

キャストが素晴らし過ぎた・・・・

主人公テスを演じたチョ・インソン様も良かったんですけど、

それ以上に、度肝を抜く位に素晴らしかったのは、

悪役のチョン・ウソン様ですね。

 もう、悪役なのに、魅力たっぷり過ぎて、

画面に出てくるのが楽しみで仕方がない。

 まぁ、正直、主役を喰ってる感がありますね。

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とにかく、高身長で、端正な顔立ち。

スーツもよく似合うので、悪役なのに、

とにかくスタイリッシュなんです。

 こんなに美しい足蹴りを観たのは初めてです(笑)

 悪役なのに、これほど魅力に溢れているのも珍しい。

冷徹で、冷淡なのに、

人間味がない訳ではない。

 虜になってしまう事さえ、共感してしまう。

 それが悪の道であったとしても、ガンシクの華やかな世界に、

浸りたいと願ってしまう。

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 そして、勿論、リュ・ジュンヨル様も最高でした。

テスの親友であり、

ヤクザの道をすすんでいくドゥイルを演じてるんです。

親友というよりもブラザーフッド的な関係は、

正直、萌えるチュー

 もう、その存在感は、

1番始めにテスとすれ違うだけでも、印象に残るんですよ

(私が沼ってるから?)

 もう、爪痕感がすんごいんですよ

 

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個人的には・・・・

主人公のチョ・インソン様が少~し弱い印象があるかなぁ・・・

いや、いいんだけども。

 これが、チュ・ジフン様辺りがしたら・・・なんて思っちゃったりして。

 

脚本が面白過ぎる

韓国に20年ほどの歴史とともに、まるで実話のような

切り口で、物語は展開していくんですけど。

 その乗せ方が非常に上手く練られていて、

134分ですけど、全然長くないし、中だるみしないし、

何なら、短い位に感じる。

 

検察の闇という世界でのし上がっていくサクセスストーリーなのに、

暗澹たる描き方ではないのも、

面白さに拍車をかけている。

 ダークさとポップさの切り替えがうまくて、

ノワール特有のどっしりとした重さもなく、

かといって、コメディに堕ちる事もなく、

非常に、バランスの取れた作品となっている。

 

 近代韓国という世界を、とことん風刺していて、

韓国エンタメの素晴らしさを観たような気分。

正直、日本でこういう映画は作られないんじゃないかな・・・と思うし、

この脚本の面白さを100%引き出す俳優を、

最低3人用意できるかと考ええると、非常に難しいんじゃないかな~と思う。

 

そして、映像の撮り方・音楽の選曲も、

この脚本の魅力を存分に引き出す役割を果たしている。

 残酷なシーンも、この作品の一部になっていて、

嫌悪感を抱かせない。

 

そして、ナレーションが、なるほど!そういう事ね・・・って

言う所も唸らせて貰いました。

 

ならば・・・何故☆4つ???

 すっごく面白いんですけど、

正直、アメリカ映画やドラマで観た展開に似ているワケなんですよ。

 それを観てしまっているせいで、

緊張感や恐怖感が半減してしまった感があります。

 

1ツは、野犬に喰わせるというシーン

 これは「ゲームオブスローンズ」でラムジーがやってたヤツです。

こちらを先に観てるせいか分からないけど、ラムジーのが100倍くらい

怖かった(笑)

 

もう一ツは、アメリカ映画「グッドフェローズ」とちょっと展開が似てるんですよ。

この作品に比べると、主人公が悪の世界で堕ちていく過程は、

少し弱くて、絶望感・緊張感があまり感じなかったかな・・・・と。

 

なので、終盤から最後にかけての疾走感にも、

少し物足りなさを感じた次第です。

 まぁ、これは私が上記作品を観ていたからで、

観ていなかったら、けっこうな衝撃だったかも知れませんが。

 

という事で、星4ツですけど、

気持ち的には、星5ツにより近い、4ツって感じです。

 何度も観たくなる作品ですね。

 

ダンスシーン最高!!

 

Hulu UNEXTで配信しているようです。

個人的は、韓国映画好きなら、必ず観て欲しい秀逸な作品です!

この作品で、リュ・ジュンヨル様は、

第53回百想芸術大賞新人男優賞受賞されました。

 

1番下に、少しネタバレあります。

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ネタバレで感想を少し・・・・

最後、テスは当選したのかどうか・・・

観客に委ねる感じですが、

正直、どっちでも良い・・・

 何故なら、終盤のテスの報復が、

あまり緊張感もなく、簡単に進んでいったからかも知れません。

 どちらかというと、夢物語のような展開だからこそ、

当選したかどうかは、さして重要ではないと感じるんですよね。

 なので、観客に委ねるという展開でも、全然後味が悪くないし、

むしろ、爽快感さえ感じる事が出来ます。

 

 このドラマは、復讐がメインでもなければ、

最後に正義が勝つ・・がメインでもないワケなんです。

 あくまでも、ダークサイドで欲に駆られた人間の、

サクセスストーリーであると同時に堕落していく過程が、

メインなんですよね。

 最後の、あの、すんなり運ぶ復讐劇は、

空想の域を出なくて、正義が勝つという事そのものが、

まやかしだという皮肉のようにも感じるのでした。

 

 ひょっとしたら、堕ちるに堕ちてしまったテスが、

夢見た展開だったのかも。

 どこで道を間違ってしまったのかと悔やむ自分。

お酒に溺れ、昼とも夜とも分からない状態で、

夢見た最後の展開だったのかのも知れない

・・・・と思うと。

 人間の愚かさを痛烈に感じた次第です。

 

【追記】そうそう、大事な事を書き忘れておりました。

テスとドゥイルの関係が素敵でね。

どんな状況になっても、互いを陥れたりしないピュアさが伝わってくるんです。

そういう一途な所が、「テスらしいな」と思えるのは、

高校生からテスのキャラクターをしっかり描いたせいじゃないかな・・・

と思います。

 頭は良いし、検事にもなったけど、

基本、単純で明快な男だからこそ、

こういう顛末になったのも納得出来ちゃうんですよね。

 

テスは常に、ドゥイルの命を守る事が先決だったし、

だからこそ、刑務所に入れたし、

お金も返却したんだと思うんだよね。

 

それを知らないドゥイルに責められた時も、

言い訳が面倒臭くて、ヤケクソになって、

あんな風に言ってしまったんだよね・・・・

 

切ないのは、それをドゥイルはどこまで知っていたんだろうって所だよね。

でも、そういう事はどうでも良いという友情が

2人には存在して、最終的に、

ドゥイルはテスを助けに行った訳なんだもんね。

 

ドゥイルはこの世界で長年生きてきて、

きっと自分が刑務所に入った理由も、

刑務所の中でも、出所した後でも、

殺されない理由をきっと感じ取っていたに違いないと

思うんだけどね。個人的には。

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ドゥイルは最後、悲惨な最期ではあったけれど・・・・

たった1つの友情に帰結した人生は、

絶望だけでは無かったように感じました。

 

同じ友情を描いた「コンフェッション」とは真逆だけど、

どちらも、男の友情として、

長らく後に引く最後でした。