【前回までのあらすじ】 ブラック企業に勤めてもう限界な取締役君は、愛嬌と直感だけで生きてきた社長くんと再会した。ハイエナのような直感で、社長くんは、取締役くんの才能に気づき、二人は起業することにしたのだった・・・!!


クラウドがITでエコな感じで、取締役くんの才能は大したものでした。世が世なら、いえ、取締役くんが正しい精神と正しい教育を受けていたならば、天才と呼ばれる人間になっていたかもしれません。しかし、ここは日本で、取締役君は元ひきこもりのニートで中卒です。一方、社長くんは取締役くんがもっている技術はまったくわかりませんでしたが、70歳の老人とかに英語教材とかうって日銭を稼いでいた男です。ネットから始まった二人のビジネスは、三ヶ月後には、取締役君が会社勤めしていたときよりも大きな稼ぎを生み出すようになっていました。


社長くん「いやー!エコだかクラウドだかネットだかで全然よくわかんねぇけど、ほんとお前すげぇな!」


取締役くん「い・・いや・・そ・・そんなことないよ・・・。社長くんがいなかったら、起業なんてしてなかったよ・・全部、社長くんのおかげだよ・・・」


社長くん「あ?そうか?取締役はけんきょだなー!まぁ!確かにそうだよな!☆そういえば、営業に行った先のおっちゃんに『君達会社にはしないのか?出資するぞ』って言われたぜ?」


取締役くん「え!すごいじゃないか!」


社長くん「そうなのかー?で、会社にするってなんだ?俺たちもう会社やってるんじゃないか?」


取締役くん「・・・・・え?ええぇ!?」


取締役くんは、やべっ!って思いました。人生の中で出会った、中で一番の無知を社長くんの中に感じました。


取締役くん「い、いいかい?社長、実はね・・僕達は・・・まだ『会社』じゃないんだよ・・・」


社長くん「ええ!?じゃ、じゃあなんだ!?」


取締役くん「ええっとね・・・な、なんていうのかな・・・『会社をつくる』っていうのは・・・『ぼくたちオカネ儲けをしまーす!』って役所に届け出をしなきゃいけないんだ」


社長くん「えええ!?金を儲けるのに、役所の届け出が必要なのか!?なんで!?」


取締役くん「ええええええ!?えっと・・・結婚だって市役所に婚姻届をだすでしょ!?それと同じなんだよ!」


社長くん「そ、そうか!それと同じなのか!?じゃあその届け出をしないで、商売するのと、しないとでは何が違うんだ?」


取締役くん「結婚と同棲って違うでしょ!?色々優遇を受けれるんだよ!」


社長くん「ゆーぐー!?」


社長くんの目が光りました。


社長くん「優遇を受けれるっていうなら作ろうぜ!会社!」


取締役くん「え・・・う、うん!作ろう!会社!!」


というわけで、二人は登記をすることになったのでした。



【登場人物紹介】




もえる!!きんゆう!!


債権

株式ちゃんと発行元を同じくするジャンク債。株式ちゃんを愛している。

嫌いなものはセロリ。


線をちゃんと引かないほうが今風かとおもったが、そうでもなかった・・・。



☆本題いくまでながいよ!!!;;☆


故郷の空と空気はびっくりするほど、澄んでいました。

社長君はその空気を大きく吸い込むと大きく伸びをしました。


社長:「やっぱこっちはいいなー俺もこっちにかえってこようかなぁ」


12歳の時におうちの都合で大東京に引っ越してから、社長君がこの町にやってきたのは実に8年ぶりです。昨日の夜は小学校の同窓会で、懐かしい面々につい朝まで飲んでしまいました。八年ぶりだというのに、みんな自分のことを忘れていなかったのが、社長君にとってとてもうれしいことでした。


社長:「あーどうしようかなーこのまま夜行バスで大東京にかえろかっなーそれもなー・・ん?」


どうせ、帰ったとしても職もなければ待っている人も居ないのです。それは寂しく悲惨なことかもしれませんが、もう社長君には慣れっこのことだったので、気にもなりませんでした。ただ、久しぶりに帰った故郷が懐かしくて、すぐに戻ってしまうには、もったいないと社長君は感じました。


そんな時、駅のロータリーで、一人の青年を見かけました。


社長:「あ・・あいつは・・」


青年:「72時間労働とか・・絶対ありえないよ・・ありえないよ・・・」


社長:「おーい!おまえ、取締役じゃねぇか!ひっ、ひさしぶりー!!」


取締役:「ひっ!!!!!しゃ・・社長君じゃないか・・・!!!」


取締役くんと呼ばれた青年はびっくりして思わず飛び上がりました。そうです、忘れもしない社長君です。小学校の時に一緒に少年サッカーをしていた社長君です。あの頃の彼は、さわやかを絵に描いたような少年でしたが、今の社長君はめっちゃガン黒で、危険な匂いがします。もやしっ子で眼鏡の取締役君は警戒心をあらわにしました。しかし、それは社長君には伝わらなかったようです。


社長:「俺さー同窓会のために戻ってきたんだよー。お前なんで昨日の同窓会こなかったんだ?超たのしかったぜー?」


取締役:「(ど・・・同窓会・・・そんなの僕には連絡きていない・・・まぁ来てても行かないんだけど・・・)ちょ、ちょっと仕事でね・・・い、いけなかったんだ・・」


社長:「えっ、お前働いてるの。大学とか行かなかったんだーお前超頭良かったのに。まぁいいや、今日夜暇か?飲みにいこうぜー」


取締役:「え。あ。うん・・・。で、でも僕、仕事の徹夜明けで・・ちょっと・・疲れてて・・・」


社長:「あ、そう?まぁ今から寝ればなおるんじゃね?俺も久しぶりだからすぐ帰りたくなくってよー。いまばあちゃんちに泊まってるんだー。おまえんちからばあちゃんちって近いよなー。じゃあ夜になったら迎えにいくからよー」


取締役:「へ!?あ・・あぁ・・」


社長:「じゃあまたなー。よく寝ろよー☆」


そういって、社長君はにこやかに去っていきました。


取締役:「はぁ・・・なんだよもう・・・」


取締役くんは朦朧としながら家に着きました。もう彼は72時間ぶっつつけで、働いていたので何も考えられません。ベットに倒れこむと死んだように眠りました。


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社長:「おーい!取締役ー!遊びにきたぞー!!!!」


取締役:「うわぁあああ!?」


取締役くんは、その声に飛び起きました。慌ててベットの側の眼鏡をとって、かけると時計は夜の8時を差していました。社長くんの笑顔を見て、取締役くんは寝る前にした約束を思い出しました。いえ、あれは約束とはいえません。一方的なものです。


本当に来るなんて・・・取締役くんは、うわあああああって気持ちになりました。そして何よりかにより、


社長:「よく寝れたかー?何、お前のとうちゃん。めっちゃ暖かい目で俺のこと見てたぞ。何かあったのか?」


取締役:「・・・家に僕の知り合いが来るっていうのが、八年ぶりぐらいだからね・・・」


なんで、父親も家にあげるかなぁと取締役は、寝起きもあいまって超イライラしました。超イライラしまいしたが、こんなガン黒で、目つきが鋭くって目が濁ってる社長くんに帰ってくれ、何てびびっていえません。


社長:「お前の部屋すげえなぁ、本とか漫画とか良く床ぬけねぇなぁ。あ、そうそう、ビール買ってきたぜ。お前疲れてんだろ?家で飲もうぜー」


取締役:「え。あ・・うん・・・あ、ありがとう・・・」


取締役くんは社長くんから缶ビールを受け取りました。取締役くんはめったにお酒を飲みません。

でも彼ももう20歳なのです。辛いことがあったらお酒を飲んでいいのです。二人がぷしゅっと缶を開ける音が部屋に響きわたりました。


取締役:「・・・・・・・・・・・・。社長は今、大東京に住んでるんだよね」


社長:「うん」


取締役:「今はなにやってるの?」


社長:「んー今は無職?」


取締役:「え」


社長「ほれ、俺、小学校卒業したらかーちゃんが再婚して、大東京に引っ越しただろー?」


取締役:「あ、うん」


社長くんは人気者だったので、その別れをクラスの皆で惜しんだのを取締役くんは覚えています。


社長:「で、かーちゃんの再婚相手と俺、折り合いが悪くってさー。高校も行かしてもらったんだけど、早く家でたくって、高校も2週間でやめちゃった☆んで色々やったんだけどさー。左官とか、パチンコ屋とかカラオケとか、深夜にビルのガラス割って中の家具持ち出す仕事とか、年ごまかして水商売したりさーでもやっぱ、あれかなー訪問販売とか一番向いてたナー」


取締役:「す、すごいねー・・・」


社長:「そういうお前は今なにやってんの?」


取締役:「ぼ、ぼくは・・・・」


取締役くんにとってはあまりにも言いたくないことでした。しかし、社長くんの経歴のインパクトとお酒の力もあいまって、ぽろぽろと取締役くんも自分の身の上話をしはじめました。



・14歳の時に引きこもりになったこと。


・それから4年間引きこもり続けたこと。


・もちろん高校には行っていないこと。


・18歳の時に母親が事故で死んだこと。


・それがきっかけで、働き始めたこと。



どこかで聞いたような話でした。しかしありがちな不幸というものはどこにでも転がっているものです。そうして、それは取締役くんにとっての現実でした。4年引きこもって中卒の取締役くんを雇ってくれるのは、超ブラック企業で、取締役くんは毎月100時間超の残業をしても残業代は出ず、手取りは17万円でした。でも、それが、自分の価値なんだと取締役くんは思っていました。


社長:「そっかー。かーちゃん死んじゃったのかー。お前のかーちゃん良い人だったよなー。うち貧乏だったからいつも俺に菓子くれたよなー」


取締役:「うん・・・」


泣き母を思って取締役くんはぐすっとしました。


社長:「んで、お前仕事なにしてるの?」


取締役:「IT系のSEっていうのかな・・僕、昔から、コンピュータとか好きで・・・」


社長:「へー!あいてぃー!すげぇじゃん!同じ中卒でもガテン系の俺とは違うなぁ!」


取締役:「へ・・・へへ・・」


社長:「だから、この部屋パソコンがいっぱいあるんだなー・・こんなに買ったのか?高くねぇ?」


取締役:「あ、これは自分で作ったんだ。廃品つかってこうやって増設して・・ぼく基盤とか書くのもすきで・・・最終的にチェスができるぐらいにしたいんだけど・・・でも忙しくってなかなかいじる時間がないんだよね・・・・」


社長:「・・・?そういえば、お前の部屋、たしかにIT系?の本がいっぱいあるなーえ、なに?英語の本とかまで読んでるのか?」


取締役:「あ、うん・・・英語話せないんだけど、読むだけなら・・・今ならネットとかからも情報落ちてるし・・・小学校のときはサッカーが好きだったけど・・中学にはいったらネットとかパソコンとかプログラムに夢中になっちゃって・・そうしたら、全然みんなと話合わなくなっちゃって・・・んで・・・みんな馬鹿ばっかりとおもっちゃってさ・・なんでそんな風におもっちゃったんだろうね・・・それで引きこもっちゃった。」


社長:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


取締役くんの話を聞いて、社長くんは思いました。


こいつは天才だと。


天才っていうかなんていうか、生まれた国を間違ったんだと。


社長:「取締役さぁ」


取締役:「ん?」


社長:「起業しようぜ!!!俺も手伝うからさ!!」


取締役:「えぇ!?何言ってるんだよ!」


社長:「いや、いけるって!一緒にITの会社つくろうぜ!!」


取締役:「ふ、二人だけでそんなことできるわけないじゃないか!そもそも社長くん、ITの知識ないだろ!?」


社長:「んー・・・たしかに・・」


そういうと、おもむろに社長くんはケータイを取り出し、電話をかけ始めました。


社長:「あ、もしもし?チャコちゃん、なんだっけ?弟IT関係の大学行ってるんだっけ?ちょっとさーバイトしないか聞いてみてくんね?あ、よろー☆」


ぷーぷーぷー。


社長:「これで三人だ!」


取締役:「えぇー!!!;;;」


社長:「大丈夫だって☆まかせとけって☆あ、取締役、お前のケータイ番号教えてくれよ」


取締役:「け、ケータイなんて持ってないよ!第一持ってても誰からもかかってこないし・・・」


社長:「え?なんで?俺がかけるよ?」


取締役:「・・・・・・(キュキュキューン!!!!!!!!)」


取締役くんの中で、盛大にときめき音が鳴り響いて、こうして二人は会社を作ることになったのでした。

会社法総論に行くまでがなげぇよ。