【前回までのあらすじ】

中国人コワイ。


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投資家くんは深くため息をつきました。


投資家くん「ウォーレン・バフェットだ。知らないのか?」


金融君「誰だよ、それ」


金融君の言葉にイライラしたように投資家くんは自分のナップサックから一冊の本を取り出しました。


投資家君「この本を貸してやる。読んでこい」


金融君「へ」


金融君が受け取った本には「バフェットからの手紙」というタイトルが付いていました。


投資家君「それでも読んで勉強してくれ。もういいだろ?僕は勉強したいんだ。邪魔しないでくれ」


金融君「・・・っ、悪かったよ」


なんだこいつ。


と金融君は思いました。


せっかく新しく入って来てなれていないところを気を使って話しかけてやったのに、

こんな風に邪険にされるなんて!


信じられません。


きっと、この投資家という男は、頭のどこかがおかしいのです。


むかむかしながら、金融君は教室を後にしました。


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むかむかしながら、参加したクラスメイトの誕生パーティーは最悪でした。


いつもと同じ馬鹿騒ぎです。


面子だっていつもと変わりません。


ただ、なんだか金融君には、目の前の馬鹿騒ぎが他人事のように感じられました。


そこにいるのは自分なのに、


凄くさめた目でパーティを見ていました。


金融君「俺帰るわ」


ワーホリ「へ?金融?おいっ!付き合いわりぃぞ!!」


クラスメイトにそういわれても金融君はしらけた気持ちで家路につきました。


バックには、投資家くんから渡された本が入っています。


なぜ、あの時、この本をあの失礼な奴に付き返さなかったのでしょうか。


金融君は自分で自分を不思議に思いながらも、家に帰り、その本を机に置きました。


あの鼻につく投資家君に知らないということで馬鹿にされるのはたまったもんじゃありません。


ふざけやがって、何だよバフェットって。


と、金融君は本を開きましたが、




英語です。



もちろん本は英語で書かれています。



・・・・・。



しばらく考えて、金融君は、ググることにしました。


ふふん。


こんな本なんて読まなくたって、すぐにそのバフェットって奴がどんな奴か調べてやるさ。


明日、バフェットについてなんだか詳しくなって、投資家くんにうんちくをたれて、投資家くんが


『わぁ!すごい!金融君!昨日は酷いことを言ってごめんね!


君は僕なんかかなわないぐらい聡明だよ!!』


といっている姿を想像して、金融君はにやにやしました。


そうして、金融君はググってひっかかったウキペディアを読もうとしましたが・・・・



ながい・・・



ながいな・・・・




ウキペディアは長すぎました。


かいつまむと、バフェットという人は何か世界1だか2だかお金持ちな人で、人徳者で投資家だそうです。


えっと、投資家っていうと株とか買ってその値上がりとかで儲ける人のことだよな。


と金融君は知識を引っ張りだしました。


金融君の理解を聞いたら、学費を出しているお父さんは正拳突きを食らわしているところでしょう。



分からない言葉を検索しているうちに、金融君は、


・ファンド



・ファンドマネージャー


という言葉にぶつかりました。



つづく。



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春です。


全てが始まる季節です。

金融君の人生は何も始まっていませんでした。


ワーホリ「あ、金融、今日の宿題やってきた?」


金融君「あーやべー何もやってねー。まぁいいや、適当にごまかすや」


金融君は、今、イギリス的な国に居ました。日本人がいっぱいの、そんな語学学校で英語を学んでいます。

頭のわるいクラスメイトと、金が無いって毎日そんな話をしながらすごしています。


金融君は、いわゆる「親御さんのお仕事の都合」で半年前にこのイギリス的な国にやってきました。そのときはまだ高校生で、日本人学校に通っていました。

3月にその高校を卒業して、今は、大学に通えるだけの英語力をつけるために大学入学の9月まで、語学学校に通っています。


人から見たらうらやましい環境かもしれません。


金融君も別に不満はありませんでした。


ですが、なんだか頭の中が「もや」がかったような、そんな気分です。


本当の事を言えば、金融君は日本の大学に行きたかったのです。

だって、日本のほうが友達がいっぱいますし、


なにより 「日本語」 が通じます。


そうです、金融君は英語圏にいたからって英語が出来るわけではありません。ていうかむしろできません。

なんせ、転向先も日本人学校ですし、生徒は全員日本人ですし、高3の途中で転向したせいで、なんか浮いてましたし、クラスメイトの多くは、長い間海外に居たため、英語はぺらぺらで、金融君は英語に関して、強い劣等感を持っていました。

進学の際に、親に日本に帰って日本の大学行って一人暮らしをしたいといってはみましたが、父親の


「このグローバルの時代に日本の大学にいったところでなんたらかんたら父さんは一回日本の大学を出てからまた海外に留学して苦労したんだからなんたらかんたらお前は恵まれている」


なんたからかんたら言われて、結局、日本の大学に進学することはかないませんでした。


パトロンである親を押し切ってまで日本に帰る情熱とかも金融君にはありませんでした。


まぁ語学学校に行かせてくれるっていうので、通っているのですが、どうも心が燃え上がるものがありません。


本当は大学進学までの英語力をつけて、色々と準備をしなきゃいけないんですが、どうも英語が嫌いで、やる気もでません。語学学校のクラスメイトはアジア人が多く、英語の能力も金融君と同じぐらいなものです。


日本人の生徒もいますが、なんだか、ぽわぽわしてて、別に大学に進む気なんてないみたいで、日本同士でたむろしては、遊びにいったり遊びにいったりしています。


金融君もそんな彼らの一員になって、もう遊ぶことだけ考えられたらどんなに楽なことでしょう。


しかし、彼は一応「受験生」なのです。


ふっきれない思いに、金融君の心はこのイギリス的な国の気まぐれな空みたいにグレーな感じでした。




ある日、授業が終わって、金融君が帰ろうとすると、一人のアジア人の生徒が一番後ろの席で一生懸命授業の復習をしているのを見つけました。


あれは、最近入学してきた、確か中国人です。


ははぁ


と金融君は思いました。


あいつ、最近入ってきたばかりでまだ友達が居ないんだな。


ここはひとつ話しかけてやろうと金融君は思いました。


「よう、君、最近はいってきたんだよな。今日、ワーホリんちで、させ子の誕生パーティーがあるんだけど、よかったら一緒にいかないか?」


イベントにさそって、友達を作るのを手伝ってやるなんてなんて俺いい奴と金融くんは、思いました。


中国人の彼は、金融君の言葉を聞いて、それまでずっとノートに書き込んでいましたけど顔を上げました。

ぶっと金融君は笑いそうになりました。

彼の顔は、痩せていて目が細くて黒ぶちの丸めがねをかけていて、教科書で見たような典型的な中国人のルックスをしていたからです。


「君、日本人?」


中国人の人はぶっきらぼうに聞いてきました。


「あ。あぁ。俺、金融って言うんだ。よろしくな」


「僕は、投資家(とう・しか)、父が日本に行って仕事をしている。よろしく」


投資家くんは、すっと手を出してきました。あ、あぁよろしくっといって金融君は握手をしました。

投資家くんは、細い目をさらに鋭くして続けました。


「誘ってくれて、ありがたいが、僕は勉強がしたいんだ。この九月に大学進学をしたいと思っているから、一分一秒も無駄にできない」


「あ、そうなんだ。俺も大学進学希望なんだよ。どこの大学狙ってるんだ?」


「 オ ッ ク ス フ ォ ー ド だ」



「お・・・・」


金融君はちびりそうになりました。オックスフォードといえば超超超一流校で、学費だって半端じゃありません。


「君は何処の大学が志望なんだ?」


「え・・あ・・まだ決めてない」


まぁとりあえず入れるところとは答えられません。

金融君の返事に、投資家君は深くため息をつきました。


「このクラスの日本人は、大概そうだが、本当に豚のようだな。なんでそんなに余裕があるんだ?教えてもらいたい」


金融君はカチンときました。


「なんだその言い方は!お前がどんなにおできになるか分からないが、オックスフォードなんか入れると思ってるのか!?お前だってそんな日本人と同じ英語レベルのクラスに居るんじゃないか」


「僕は違う。君達とは、違う。僕の父がチャンスをくれた。僕の家は中国の農家だ。本当だったら僕は家を継がなきゃいけない。でも農家には未来がないからと10年前父は日本に出稼ぎに出た。僕は父に10年会っていない。おかげで僕は、高校を卒業できた。仕送りを送ってくれる父のために、オックスフォードに入って奨学金を取り、成功しなきゃいけないんだ。君達とは違う!」


一息にそういうと、投資家くんは又ノートに目を戻し、勉強を再開しはじめました。


金融君は投資家くんの勢いに圧倒されてしまいました。


なんか、こう、違う世界の話みたいです。

親に学費を出してもらってへらへら遊んでいる自分やクラスメイト達とは違う人間が、今、そこに、金融君の目の前にいるのです。

金融君はなんだか凄く気まずい気持ちになりました。


「そ。それで、オックスフォードに行ってなに勉強するんだよ。弁護士とかになるのか?」


この場の空気をかえたくて、適当に話題をふった金融君ですが、また投資家くんに鋭くにらまれました。


「弁護士なんてなるわけがない。僕は、バフェットみたいな投資家になるんだ」


「バ・・バフェットォ?!・・・・・・って誰だ?」


投資家君はまた深くため息をつきました。




つづく


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