~前回までのあらすじ~
金融王国ニポン、株式やら債券やら難しい金融用語が全部擬人化され、あれ?これBLじゃね!?みたいな展開が日々行われている国なのだ・・!わけわかんねぇよ!

故郷の村を後にして、東京に出てきた株式ちゃん。金髪碧眼ろりっ子フェイスの彼の目的は、東京のオークション会場(注:東京証券取引所)で高値を付けてもらい、そのお金でご主人様に御奉仕すること!しかし、所詮はぽっと出の新人、オークションに入ることすらかなわない。しょうがないので、証券屋の野村さんの軒先(注:店頭)で売りだしてもらうことになったのだが、そこで同郷の債券君と再会する。褐色の肌に黒い髪、紫の瞳を持つ彼との再会を喜ぶ株式ちゃん。しかし、その再会もむなしく、彼は債券ブローカーに買い取られていった。別れ際、利札(注:クーポン)を株式ちゃん託す債券・・二人は再会することができるのか!?


株式ちゃん:「ふー、僕もやっと、マザーズとは言えオークション会場に入れるようになったんだ。いつまでの野村さんの軒先でお世話になるわけにはいかないや。そろそろアパートか何かを借りなきゃ・・・」

野村さん:「おや?どうしたんだい?株式ちゃん、某大手広告代理店兼出版社の無料賃貸情報雑誌なんて読んで」

株式ちゃん:「あっ。野村さん、かくかくしかじか、僕もアパートを借りようと思ってるんですが・・東京って家賃高いですね・・・風呂なしでも一ヶ月3万5千円とかするんですね・・」

野村さん:「うーん。僕の親戚の不動産屋さんを紹介してあげてもいいんだけど・・・・ちょっと彼はお高い物件ばっかり扱ってるからなぁ・・あっ、そうだ、株式ちゃん。今はやりのシェアハウスはどうだい?」

株式ちゃん:「シェアハウス?」

野村さん:「あぁ、まぁひとつの家を数人で借りて一緒に住むっていう方法だ。海外では学生の間では主流なんだけど、日本ではまだまだ、一般的じゃないかな。どうかな?」

株式ちゃん:「へー!面白いですね!全然知らない人同士が一緒に住むの?」

野村さん:「そうだよ。まぁ債券だったり、株式ちゃんみたいな人だったり・・色々だね、ちょうどシェアハウスの新しい住人を探していた大家さんがいたな。ちょっと株式ちゃんを紹介してみるよ。うまくいけば、株式ちゃん、一万円からシェアハウスに住むことができるよ」

株式ちゃん:「えっ!本当!?ぜひよろしくお願いします!」


株式ちゃんは目をキラキラさせました。野村さんはとても優しいけれど、いつも彼に御厄介になるのを株式ちゃんはいつも心ぐるしくおもっていました。晴れて自立して暮らしていけるなんて、なんて喜ばしいことでしょう。きっと故郷のご主人様も喜んでくれることでしょう。
野村さんが、その大家さんに電話をかけてくれました。すると、その大家さんが、すぐに株式ちゃんに会いたいと言ってくれたのです。株式ちゃんのドキドキしました。


それからどのぐらいたったでしょうか。
株式ちゃんはがんばりました。テンションが上がったり下がったりしやすかったので、最初のうちは転売厨と呼ばれる人たちにばかり相手にされていた株式ちゃんでしたが、そのうちお得意様たちも付き始め、長くお付き合いしてくれる人たちにも出会いました。それに、債券君がくれた利札をぎゅっと握りしめるといつだって債券君が側にいてくれるような気がしました。
いつからか、グリーンシートではなくて、パイプ椅子に座れるようになりましたし、『えまーじんぐ』と書かれたTシャツではなくて『オーディナリー』と書かれたTシャツも着れるようになりました。
株式ちゃんのうぶで誠実な性格はだんだんと認めれられるようになり・・そうしてある日のことでした・・。

赤いスポーツカーが野村さんちの軒先に止まりました。

株式ちゃん:「あれは・・・」

スポーツカーからは、センスの悪いスーツを着た男が一人降りてきました。

株式ちゃん:「ご主人様・・・!?」

御主人さま:「株式!!!元気だったか!!!?」

ご主人様は強く株式ちゃんを抱き締めました。

株式ちゃん:「ちょ・・苦しいよ・・!!ご主人様・・!!」

ご主人様:「あぁ、悪い悪い!お前には苦労かけたな!!!!申請が通ったんだ!!!!お前、今度からオークション会場にいけるぞ!!」

株式ちゃん:「えぇ!?お、オークション!?やったぁ!!!!!!!どこのオークション会場なの・・!もしかして、東京の・・一部・・ううん!二部!?」

御主人さまはにっこりと笑い言いました。

御主人さま:「マザーズだ!!!」

株式ちゃん:「マザーズかよ・・!!!!」
<前回までのあらすじ>
東京に出てきた株式ちゃんは、野村さんのお店で同郷の債券君と再会した。
物憂げな瞳で、株式ちゃんを見つめる債券。彼は分かっているのだ。すぐ別れが二人の間に訪れることを・・・。


野村さんのお店が、がやがやと騒ぎだしました。
派手なシャツを着たおにいさんたちがお店に入ってきたのです。

株式ちゃん:「なに・・あの人たち・・」

債券君:「・・・債券ブローカーの奴らだ」
株式ちゃん:「債券ブローカー?」
債券君:「債券のディーラーたちを専門に扱うハンターたちだ」
株式ちゃん:「債券のディーラー・・専門・・?」

株式ちゃんは嫌な予感がしました。ガラの悪そうなおにーさんたちは野村さんと話しながら債券君の事を指差しているようでした。

株式ちゃん:「債券・・」

株式ちゃんは債券君の服の裾をきゅっと握りしめました。債券君はそんな株式ちゃんを見て、優しく頭をなでます。株式ちゃんの髪はふわりといつだってお日様の香りがするのです。債券君は、首にかけていたネックレスを株式ちゃんに渡しました。

株式ちゃん:「これは・・?債券・・」

そのネックレスには木でできた小さな札がついていました。

債券君:「利札(クーポン)だ」
株式ちゃん:「クーポン・・?」

債券君の名前が呼ばれました。株式ちゃんのおでこに債券君は優しくキスをしました。
びっくりして丸い目をさらに大きくする株式ちゃんをよそに、債券君はブローカーにつれて行かれていったのでした・・。