黒い髪に、浅黒い肌。紫の瞳がすいっと動いて、株式ちゃんと目が合いました。
株式ちゃんは、彼に見覚えがあります。そうです、あれは・・。

株式ちゃん:「債券・・!債券なの・・・!!?」

債券くん:「株式・・か・・・?」

CV緑川光の債券が、目を見開きました。株式ちゃんは、思わず債券に抱きつきます。

株式ちゃん:「債券・・!!信じられない!こんなとこで君に会えるなんて・・!!!オークションにはいかなかったの!?」

債券くん:「あぁ・・・俺たちの種族は、店頭で販売されることが大半だからな」

株式ちゃん:「そうなんだ!僕全然しらなったよ!・・あれ・・?どうしたの、債権・・・すごい鋭い眼をした黒スーツのお兄さんが君の事を見ているけど・・」

債券くん:「あぁ。気にするなあれはシンジゲートの奴らだ」

株式ちゃん:「シンジゲート!?な、なにそれ!」

債券くん:「引受シンジゲート団の奴らだ。ハンター(注:金融商品取扱業者)のやつらで構成されている。俺が買い手がつかなかった時は、あいつらが俺の身元引受人ってわけだ」

株式ちゃん:「買い手がつかなかった時って・・あんな怖そうな人のところに債券がいくの・・」

株式ちゃんの言葉に、債権はふっと笑いました。

債券くん:「大丈夫だ。そんなことにはならないさ。俺はお前とは違って借金のかたに売られるわけだからな。色々と厄介事がおおいのさ。俺がもしものことがあったら、社債管理者ってやつらもいる。銀行や社債信託法のライセンスをもったハンターたちだ。」

株式ちゃん:「そうなんだ・・」

野村さんみたいな優しい人が債券の面倒を見てくれればいいのに・・しかし債券を売ったり買ったりする野村さんには、社債管理者にはなれないのでした。株式ちゃんは、小さいころから債券と一緒でした。ずっとずっと一緒でした。でもいつだって、優しすぎる債券が傷つくのを見てきたのです。それを思い出し、株式ちゃんは胸が潰れそうになりました。

債券くん:「そんな顔するな」

債券はそんな株式ちゃんの気持ちが分かったのでしょう。
そっと株式ちゃんの白い頬に触れました。

債券くん:「何も悪いことばかりじゃないさ。務めを終えて、期限(満期)が来ればまたあの甲斐性なしのところに戻れる。そうしたら、お前も一緒だ。あいつがうまくやってくれれば、もしかしたらずっと早く帰れるかもな」

株式ちゃん:「う・・・うん!!」

株式ちゃんは向日葵のように笑いました。
でも知っているのです。債券は、自分は帰れる日があるけれど、株式にはそれがないと。
債券は悲しく笑いました。
~前回までのあらすじ~

御主人さまのためにお金を稼ごうと東京にやってきた株式ちゃん。しかし、そこのオークション会場ではまったく相手にされず、証券屋さんの野村さんの軒先で売ってもらうことに・・?


株式:「わぁ、僕みたいな子がたくさんいるんだね!野村さん!」

野村さん:「そうだよ。お客様のお願いがあったときに君たちを譲るんだ」

株式:「へー、良い人にもらわれるといいんだけど・・あっ、ソファだ!ここに座っていい!?」

野村さん:「えっ!だめだめ!君の席はこっちだよ!」

株式:「え・・これ・・ブルーシートを床にひいただけじゃ・・あっ、ブルーじゃない!グリーンシートだ!」

野村さん:「そうだよ。君みたいな、ぽっと出、いや成長性の期待できる子(エマージング)はこのグリーンシートに最初にすわってもらうことになっているんだ」

株式:「いま、ぽっと出って言った・・?う、うん!でも将来の上場を夢見て、今はここでがまんするよ!ちょっと座ってるとおしりが痛くなっちゃうかもしれないけど・・」

そうして、株式ちゃんはちょこんとそのグリーンシートの上に座ったのでした。
ふう、やっぱり東京って厳しいや・・そう株式ちゃんが心細くなった時、向こうの方に見知った顔を見つけました。あれは・・・。

株式:「債券・・・?債権なの!?」
~前回までのあらすじ~
20XX年、金商法によりライセンスをもったハンターたち(注:金融商品取引業者)が、有価証券たちを売買しまくっていた・・。

そんな有価証券と呼ばれる者の種族は大きく、株式と債券と二つに分けられる。

株式は、金の髪に白い肌に碧い瞳、魅力的に笑う少年であり、そうして、債権は、黒い髪に黒い肌、紫の瞳、いつも伏し目がちの少年だ。

この二つの種族は、取引方法が違っていた。では、株式からみてみよう。

●東京にある、とあるオークション会場●

取引所:「だめだ!お前は規定を満たしていなから、ここのオークションには参加できないぞ!」

株式:「えぇ!?そ・・そんなぁ・・!!御主人さまは、ここの取引所のオークションで取引してこいって・!!」

取引所:「お前みたいな中小企業の株式が、この取引所で取引できると思っているのか!?出直してこい!」

株式:「そ・・そんなぁ・・」


現在日本にある六つのオークション会場(注:金融商品取引所、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌・ジャスダックにある)で取引できるのは、規定を満した株式、上場株式だけだ。それは一部の者だけであり、他の者は会場に入ることすらできない。


株式:「ちぇー、オークション会場で高値を付けてもらおうとおもったのに・・じゃあ僕はどこで取引すればいいんだぁ・・ご主人様のためにお金をあつめなきゃいけないのに・・」

野村:「どうしたんだい?ぼうや?」

株式:「えっ!あっ!野村証券のおにーさん!じつはかくかくしかじか、ご主人様が甲斐性がなくて、オークション会場に入れなかったんですよぉ」

野村:「そうか。じゃあ君は僕のお店で販売すればいいよ」

株式:「えっ!いいんですか!?」

野村:「もちろんさっ。君みたいな子が店にはいっぱいいるよ。店で売るから店頭株式って呼ばれてるんだけどね・・」

株式:「店頭かぁ・・・僕も早く規定を満たして上場株式になりたいな!」

野村:「ふふ。そうだね。上場すれば信用性もまして、たくさんのお客様が取引してくれるようになる。まぁ最初は店頭からがんばろうね!」

株式:「うん!!!!」