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ワジの小説棚

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使用人と相談し合った結果、男の子は使用人の館で勉強するのが良いという結論に至った。
物置から拾ってきた本などは沢山あったが、一番重要な「教科書」は置かれていなかったのだ。
私や怪物のようであるならば、すでに博学の知識を得ているから今更修学などという行為は必要ない。
だがしかし男の子はまた話が別だ、理解できないことの方が多い人間からしてみれば教科書は必須の代物である。
ではなぜそれだけの問題で男の子が我が家を離れなければいけなくなったのかというと、私は物置で「教科書」を見たことがないのだ。
ただ単にそれだけではない、使用人は使用人であり、学校の先生ではない。
故に、全科目を教えることは不可能であり、教えることに関しては使用人よりも専門の人間に聞いた方が分りやすいということだ。
怪物は私の意見ならばと了承してくれたが、本当は悲しいに違いない、手が震えていた。
怪物はどうも最近人間に近づいた気がする。
その感覚は日に日にますばかりだったが、最近確信した、怪物は人間の知識だけではなく言動すべてが人間のそれに近づいていたのだ。
無理は、人間を育て、人間と共に時を過ごせばどんな怪物もやがて人間に似る。
相変わらず行動や思考は読めないでいるが、怪物は自分なりに答えを見つけ出そうとしているのだろう。
「お前の好きなようにして良い、お前が戻ってきて欲しいと言えばいつでも私たちの息子を連れ戻して来よう」と紙に書いた後、怪物は使用人と共に森の外に向かって歩いて行った。
これが今日一日の流れ。
明日からは一人の朝を迎え、一人のベッドで目覚めるのだろう。
ほんの数ヶ月一緒に過ごしただけなのに、胸は苦しい。
怪物が紙に記した通り、あの子は私たちの息子のようだった。
我が子を手放したようで、見放したようで、今も眠気は来ない。
今日だけは怪物の横で眠ろうと思う。
あの子が人間らしく生きていけるように、私はこの苦しみに耐えねばならない。
頑張ろう。