モデル誤差抑制補償器で行うこと: 制御対象Pにフィードバックを施して,P’を作成する。
制御対象PとモデルPMとの間のなんらかの誤差をΔPとしよう。
ΔPは周波数特性を持つ。(ここでは、触れない。)
通常の制御では,数理モデルPMに対して制御器を設計する。(モデルベースド制御)
得られたコントローラをCとすると,PMにフィードバックを施した伝達関数GMは以下で与えられる。
GM = PM C/(1+PM C)
一方,当然のことながらモデルはコントローラを作成するために作ったものであるため,実際には制御対象にCを用いることになる。そこで,Pにフィードバック制御を施す(コントローラC)とすると伝達関数Gは以下
G=PC/(1+PC)
で与えられる。
制御系の伝達関数Gとモデルにフィードバックを施した系GMとのギャップは
G - GM
と与えられるが,この大きさはΔPに依存する。ΔPが大きければ大きいほどG - GMの差も大きくなる。
すなわち、GMは良い制御系であっても,Gが良いとは限らない。
このとき,ΔPを小さくできればGMとGのギャップが小さくなる。すなわち,Pに対する制御系Gは良い。
ΔPを小さくするには限界がある。そのため,Pにフィードバックを施した補償システムをP'とし,P'とPMの差をΔP'と定義する。
ΔP'を小さくする補償器が存在したとすると,補償されたシステムP'にコントローラCを施して
G' = P' C/ (1+P' C)
を得たとき,G'とGMとの差も小さくなることが期待される。すなわち,補償されたシステムP'を制御した全体系G'については,GMと近い特性を示しているため,制御性能が高い。
良い制御系を求める問題をΔP'を小さくする問題に置き換えることができるとわかる。