おりこうさん | モダンと暮らす、カカと生きる

モダンと暮らす、カカと生きる

脳出血で右半身マヒ&失語症になっちゃった〝カカ〝。
甘えん坊の個性派ビーグル〝モダン〟。

この大切なふたつの宝物を守るべく、介護&家事&稼ぎにいそしむ、お気楽のんびり屋な〝トト〟。そんな仲良し家族の日々をつづります。

カカが、とんでもないことになっている。

今までとは別人のように「おりこうさん」なのだ(笑)。


動く左手には、最初の病院でも、今の病院でも

ずっと抑制手袋(ミトン)をはめられている。

これは無意識の内に、動く手で点滴や栄養チューブ、気管カニューレなどを

引き抜いたりしないようにするための予防策だ。

親指の股がない鍋つかみのでっかいヤツ…というイメージ。

抑制にもいろいろ段階があって

動きが激しい場合、さらに手首をベッドに結びつけたり

もっと動くようなら、拘束ベルト、拘束衣…という風にランクアップする。

救急車で運ばれたその夜にさっそく

〝場合によっては、患者さまの安全確保のために、抑制させて頂くことがあります〟

と書かれた同意書にサインさせられた。

一時もじっとしていないカカの事だから、暴れるだろうなぁ…と予測していたが

意に反して、最初の病院ではまったくそんな必要はなかった。

ただ、動く左手で頭をポリポリ掻いたり、髪を触ったりする。

これは頭の手術のため入浴できなかったことと、

手術後にできたかさぶたがはがれ始め、痒かったせいだ。

転院前に髪を洗ってもらい、今の病院でも昨日シャワーを浴びたので

今はもう痒くないらしい。


ベッドに手を結ばれることも、もちろん拘束ベルトや拘束衣の必要もなく

いたってカカはおりこうさんにしている。

念のため、ミトンだけははめられているが

「ご家族の方がいらっしゃる時は外してあげて下さいね」と看護師さんも言うので

面会に行ったらミトンをはずしてやる。

手のひらをふいたり、クリームをつけてマッサージしたり、爪を切ったり

ただ手をつないで語りかけたり…そんな風に時間を過ごしているのだが

ひと段落すると、自分でミトンに手を入れようとする。

「えっ?」と驚いて「はめとくと?」と聴きつつミトンをはめてやると

得心したような顔でおとなしくしている。

ミトンをはめなくても、両手をおなかのあたりで組み、おりこうさんにしている。


うーん、なんか、すごすぎる。

カカはもともと〝ルールは破るためにある〟という考えの人。

どちらかと言うと〝ルールはなるべく守ろう〟という考えのトトと

ケンカになることもしばしばだった。

本来なら「こんなモンせんっ!」としたがらないタイプなのだが…。


脚は結構投げ出しているのだが、

タオルケットがめくれたり、脚の方に下がったりすると

せっせとタオルケットを胸まで引き上げようとする。


左手を頭の方に回し、自分で枕の加減を調節して、

端然とベッドに横たわっているのだ…。


「手を出して」と言えば、手を出すし

「じゃあね、また明日来るよ、バイバイ」と手をふれば、バイバイするし

まるで

『となりのトトロ』の、サナトリウムで養生している五月とメイのおかあさんみたいだ。

静かで、穏やかで、モナリザのような微笑みをたたえた、おしとやかな女性…。


どうした!カカ!だいじょーぶかっっっ??

まぁ脳疾患の場合、性格が変わってくるというのもよく聴くので

その一環かもしれないが

それはそれとして、なんか新鮮でカワイイ(笑)。

それじゃー、トトも『となりのトトロ』のおとうさんみたいになっちゃおうか。

あんなにスリムじゃないけどね(笑)。




モダンとトトの、おるすばん日記

じゃーモダンは〝チビトロ〟になるー!

一番好きなお友達だもん♪

トトはおとうさんっていうより

トトロそのものだと思うけどなー