
樹々の隧道を抜けると目の前に広がる古の風景。
ここは紀州は世界遺産熊野古道の道沿いに建つ一軒の茶店。
昔ながらの佇まいが道行く人を安堵の世界へ誘います。
この茶店の名前は「とがの木茶屋」
名前の由来はとがの木を使って建てられたからだそうです。
日曜日に撮影の仕事でここに訪れ、ついでにいつものように古代半ごろし団子を・・・
そう思って立ち寄ったのです。
しかし、どうやら営業を休止しているようです。
▼来た道を振り返ると樹々のトンネル。

約260年前の結構古い建物は江戸時代中期から熊野詣の旅人たちの宿場でした。
以前は7,8軒あった旅籠もここが最後の宿でしたが、残念でなりません。
このお店の古代団子や茶粥定食を楽しみに訪れている人にとってはがっかりされた事でしょう。
▼以前はこの縁台に赤い布が敷かれていて、私はそこでお茶と団子を食べていました。

確か二年程前に藁葺き屋根を吹き替えたのですが、何とも悲しい営業休止・・・
ご主人も奥さんも高齢だからしかたないのでしょうけど、
また後継者が現れる事を願いたいです。
この茶店でだされる茶粥やお茶の美味しさの秘密は水にあるのだとおもいます。
その水とは・・・
▼野中の清水です。

茶店の真下にあるこの清水。
日本の名水百選に選定されているようです。
いままでに何度も水を汲みにきた事がありますが、茶がゆを作るととても美味しく出来ます。
▼これが清水の側に立てられている口上書。

それにしてもあまりに無防備な昔ながらの水汲み場・・・
衛生面に厳しい昨今、
環境庁(現在の環境省)が飲み水として認可しているというのが、いささか不思議でもあります。
▼石囲いには苔が生しています。

水汲み場・・・というよりも岩風呂の様な造りです。
私としてはこの水を湧かしてひとっ風呂浴びたい気分にすらなります。
▼まるで鏡の様な清水の水面。

時折、震えるように水面が揺れるのは風のせいでしょうか?
それとも、ヒグラシの音色のせいでしょうか?
ひんやりとした空気、そしてかすかな木漏れ日・・・
ここにいると時間の経つのも忘れてしまいます。
しかし、仕事も終えたので、そろそろ帰宅しなければ・・・
▼ココで水を汲めるようになっています。

さぁ、車のトランクから水汲み用のポリタンクを持ってこなければ。
ガチャ・・・と、トランクをあけた私は蒼ざめた。
しまった・・・ポリタンクを忘れた・・・。
なんてこった・・・!
団子も食えず、水も汲めず・・・
私は一体何をしにきたんだ!!orz
仕事のついでとは言え、こんな間抜けな日曜日になるなんて・・・。
名水で割ったブランデーや焼酎、そして茶粥・・・。
次回に持ち越しとなりました。
ヤレヤレ・・・
石川さゆり 「ウイスキーがお好きでしょう」
水は命の源です。
全国の日本の名水がいつまでも美味しい水であり続けて欲しいものです。