本日の懐かしの映画は、「タイガーシャーク」(1977)。
「ジョーズ」の世界的大ヒットに便乗して製作された(様な、そうでない様な)、サメパニック映画の1本です。


舞台は、カリブ海にあるリゾート地・コルスメ島 。コルスメ島は、海水浴客やサメ漁で賑わいを見せる観光地でした。
若い男女で溢れかえるビーチに、主人公スティーブンがやって来ます。

自分のクルーズ船でガイドと共にサメ漁を楽しみ、海岸で見掛けた美女パトリシアをディナーへ誘い、一夜を共にします。夢の様な1日を満喫し、すっかりパトリシアに夢中になったスティーブンでしたが、パトリシアは他の人とも楽しみたいオープンな考えの持ち主でした。
翌日、ビーチでジゴロのミゲルと日光浴をしながら談笑していたパトリシアを目撃したスティーブンは、激しい嫉妬にかられます。
ミゲルの安い挑発に乗り、彼に暴力を振るってしまうスティーブン。
失意のパトリシアは、そのままミゲルと時を過ごします。

翌朝、1人海で遊泳していたパトリシアは、カリブ海に居るサメの中で最も獰猛と言われるTINTORERA(別名:タイガーシャーク)に襲われ、忽然と姿を消す事となります。

パトリシアに格好悪い所を見せてしまい、バツの悪いスティーブンですが、彼女の事が気になり、バーで女性達と楽しんでいるミゲルの元を訪ねます。しかし、男の変な意地もあり、ミゲルの前ではパトリシアの事なんて気にしていない体を取るのでした。一夜を共にしたパトリシアがは、まるで過去の人であるかの様に振る舞うミゲルは、昨日のトラブルを脇に置いて、気楽に楽しもうとスティーブンを巻き込みます。
最初は反目していたスティーブンでしたが、彼の「人生を楽しむ」姿勢を見て、次第にミゲルに魅了されて行きます。

ミゲルと行動を共にする様になったスティーブンは、ビーチで営業されているバーでガブリエアと言う魅力的な女性と知り合います。
直ぐに男女の関係になった彼らは、男2人でガブリエラを共有する「スリーサム」な関係を始める事になります。相手に嫉妬しない、他に女性を入れない等、決まり事を作って。
しかし残念ながら、彼らの楽しい日々は、そう長くは続きませんでした。

サメ漁をしている時、タイガーシャークに襲われたミゲルが命を落としたのです。ミゲルを失い、失意のガブリエラは、スディーブンの元から去って行きます。こうして、三銃士の関係は、終わりを告げたのでした。
自分に人生の楽しみを教えてくれたミゲルの仇を討つため、スティーブンはタイガーシャークに闘いを挑む事にします。

本作は、「ジョーズ」の便乗企画映画の様な印象を受けますが、サメによる恐怖を全面には出さず、人間ドラマに重きを置いている"似て非なる作品"です。

メキシコ映画と言う事で、原題のTINTORERA(ティントレラ)は、本作で脅威の対象となるサメの名称です。英語では「タイガーシャーク」、日本語では「イタチザメ」と呼ばれています。中々ややこしいですね。(;'∀')

もう一つややこしいのが、タイガーシャークを冠する別作品「殺人特攻戦車タイガー・シャーク」(1987)の存在でしょうか。こちらは、サメはおろか、戦車すら登場しません。完全なるジャケット詐欺映画です。
(失望度は、殺人特攻戦車の方が大きい。?)


この両タイトルがレンタルビデオ屋に置かれていた店舗は、非常に稀かと思いますので、借り間違えは起きなかったと思いたいです。

話は本作に戻ります。
一応、サメが人々を襲うシーンもありますが、最初の犠牲者になるパトリシアが襲われるシーンは、両腕がピョコンと海面に浮かぶだけの全く迫力のない描写となっています。

一番ショッキングな描写と言えるのは、ミゲルの体が分断されてしまうシーンでしょうか。今まで生きていた人間が、"肉の塊"と化してしまう瞬間を描いているので、これが本当だったら、どれだけ恐ろしいだろうか・・と想像してしまいました。
また、実際に生きたサメを水中銃等で傷つける描写が気になりました。
当時の時代背景を考慮すると、本当に傷つけていた可能性があります。
今の御時世は、映画の為に生き物を犠牲にするのはヨシとしない風潮がある為、CGで処理してしまう事でしょう。

サメパニック映画を期待した人は残念に感じてしまう本作ですが、自分は結構楽しめました。オープニングや物語の随所に登場する海中シーンが、とても美しかったのです。
「ナショジオかよ?」とツッコミ出そうですが、美しい自然やロケ地も映画の魅力の一つと考えているので、広い心で捉え、映し出される映像美を堪能しました。そして、主人公達の楽しい日々は、もっと観ていたくなる気分にさせられました。
(大抵の人は、20分も延々と流されていたら、厭になると思いますが。)

実は、本作のオリジナルは126分あり、自分の手元にあるVHSと海外盤Blu-rayは、87分の短縮版になります。恐らくオリジナル版は、スティーブ達の物語が更に重厚(?)に描かれていると予想されますが、これ以上長いと何の映画を観ているのか判らなくなりますので、87分版で個人的には十分です。

1970~1980年代映画ファンが注目するであろうヒロイン・ガブリエラを演じているのは、スーザン・ジョージ。(物語中盤から登場します。)
「小さな目撃者」(1970)、ハマー作品「恐怖の子守歌 」(1971)、「ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー」(1974)、「ゴースト・イン・京都」(1982)等に出演した女優です。
(「ゴースト・イン・京都」(1982)は、ホラービデオカタログ掲載タイトルになりますので、いずれ取り扱う予定です。)

もう一つの注目ポイントは、「ロボコップ」(1987)でお馴染みベイジル・ポールドゥリスが音楽を担当している点です。本作のサントラは、「THE BASIL POLEDOURIS COLLECTION, VOL.3 」と言うベイジルの作品集に収録されています。(個人購入は余りオススメできないレーベル・BUY SOUNDTRAXからリリースされています。)

VHSは、流通量が少ない為、激レアの1本とされ、視聴困難なタイトルとなっていますが、海外盤Blu-rayで観る事ができます。視聴を希望される方は、自己責任で鑑賞下さい。