本日の懐かしのホラー映画は、「ハウリング」(1981)。
ホラービデオカタログ掲載タイトル150本目は、ジョー・ダンテ監督による大人気シリーズの記念すべき第1弾です。


ニュースキャスターのカレンは、連続殺人犯エディの指示により、アダルトショップへやって来ます。
個室の部屋で残忍な映像を観させられ、気分の悪くなるカレン。暗がりの個室の中で背後から忍び寄るエディとカレンは対面します。
そこへ、警察が突入し、犯人を射殺。恐ろしい体験をした事で心理的外傷を負ったカレンは、心療内科でカウンセリングを受ける事に。
心療内科医から、療養施設「コロニー」を紹介されたカレンは、夫ビルとコロニーへ行く事にします。


その頃、カレンの友人テリーと恋人のクリスは、エディの部屋から彼が描いた様々なスケッチを回収し、事件について取材を続けていました。
死体安置所に保管されていたエディの遺体は、いつの間にか消えており、遺体を収容していたキャビネットの内側には動物が引っ掻いた様な鋭利な傷跡が複数残されていました。
キャビネットの中で一体何が起こっていたのであろうか。?


カレン夫妻が療養施設「コロニー」に到着した日は、入所者達による野外カーニバルが賑やかに開催されていました。想像していた療養施設のイメージとかけ離れた雰囲気であった為、2人は驚きます。

カレンは、会場に居た入所者の1人ドナと早速 親しくなります。


後日、ドナと森を散策していたカレンは、何かの動物により無惨に殺された鹿の死骸を発見します。

ビルは、男性陣と狩りを楽しんだ後、小屋でジプシーの様な風貌のマーシャと2‭人きりになった時、彼女から突然キスをされます。思いがけない出来事に当惑するビルですが、マーシャを一旦は拒絶するのでした。その後、小屋から飛び出したビルは、狼に襲われ、深い傷を負います。

一時は重症で気をもんだカレンでしたが、ビルはスッカリ元気を取り戻し、苦手だったハズの肉料理を喜んで食べる程に回復していました。


電話でカレンよりビルの怪我について聞かされたテリーは、急いでコロニーへと駆けつけます。

テリーは、周辺を散策し、偶然立ち寄った海岸がエディのスケッチと酷似している事に気づき、エディがコロニーの入所者であった可能性に気付きます。事態は思ったよりも深刻で、テリーは厭な予感が拭えませんでした。テリーは、再び1人でコロニーの調査を進める事にします。


夜、森の中でマーシャと密会したビルは、焚火の前で互いに激しく求めあいます。次第に2人は狼人間へと変貌を遂げて行くのでした。


コロニー内にある、心療内科医ワグナー博士の部屋に侵入したテリーは、狼人間に襲われ、命を落としてしまいます。ワグナー博士の部屋にカレンが駆け付けた時には時すでに遅く、テリーが惨殺された後でした。さらに、死んだと思われていたエディと再会します。何と、エディは狼人間だったのです。

エディは死体安置所から抜け出し、コロニーへと戻って来たのでした。


カレンは捕縛され、儀式の生贄にされそうになります。

遅れてコロニーに到着したテリーの恋人クリスは、恐るべき光景を目にします。クリスは、カレンを救い出し、この危機的状況を打開できるであろうか。?


本作を初めて知ったのは、中学生を卒業した日になります。

中学卒業兼高校入学祝いで戴いたお金を持って、隣の市へ出かけました。

発売されたばかりの「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」廉価版ビデオ(VHS)+αを購入する為です。使える予算は1万円。当時の自分にとって、1万円を遣うのには相当勇気が要りました。

もう1本のビデオは慎重に選ばなければなりません。

レンタルビデオ屋さんに置いていないレアなホラー映画がイイ。でも、「天地創造」や「十戒」の様なスペクタクルものにも惹かれる。

1本しか選べないので、何件も周り、悩みに悩みました。


最後に訪れたデパートのビデオ売り場で発見したのが「ハウリング」です。冒頭画像と同じイラストの背表紙が目に留まり、手に取りました。

価格は3800円(税込)。(当時の消費税は、3%でした。)

ベッドのシーツが引き裂かれたインパクトのあるイラストに惹かれ、ギリギリまで迷いましたが、最終的に購入したのは同じ棚に並んでいた「悪魔のいけにえ」でした。

(正直、この時の選択は間違っていなかったと思っています。)


廉価版ビデオとは言え、お小遣い制度の無い家なので、次に購入する機会は巡って来る事はなく、「ハウリング」本編を観たのは、だいぶ先の事となったのでした。一応、1度は観ていたのですが、その後再見する事はなく、本記事の為に鑑賞したのが2回目になります。


主人公達が訪れた療養施設の患者達は、皆狼人間だった!と言う衝撃の物語で、ホラーファンの多くの方はご覧になっているかと思います。

狼男と言うと、満月で変身するイメージが強いですが、本作の狼人間は自分の意志で好きな時に変身をする事が出来ます。

満月で変身する設定を削除すると言う大胆な発想に驚きました。弱点は、「火」と「銀の武器」に限定されているのも、本作ならではの設定になります。


襲われた者が狼人間になる設定は、ロン・チェイニー・ジュニアが演じた「狼男」(狼男の殺人)(1941)を引き継いでいる様ですね。

本作最大の見所は、何と言っても、狼人間に変身するシーンです。「狼男アメリカン」の変身シーンを撮影し直す事になる程、衝撃を与えた変身シーンと言われています。

エディが変身する時、体内でボコボコしているものがコンドームだったと映像特典で知り、ちょっと笑ってしまいました。CGの無い時代なので、創意工夫でやり切るしかないんですよね。

まさに、アイデアの勝利だと思います。


カレンを演じたディー・ウォレスは、共演するビル役のクリストファー・ストーンと婚約していた事を最初関係者に黙っていたと言うエピソードも面白かったです。


本作の大ヒットにより、ディーは「E.T.」の出演が決まり、ジョー・ダンテ監督も「グレムリン」の監督に抜擢される事になりました。

シリーズも後述の通り、8作目まで続編が製作される程の人気作品となりましたが、ダンテ監督は続編には全く関与していない様でした。


音楽を担当したのは、ピノ・ドナッジオ。

デ・パルマ監督作品でお馴染みのイタリアの作曲家ドナッジオがハウリングの音楽を担当したのは意外でした。本編で流れる旋律に耳を傾けると、確かにいつものドナッジオ節を感じる事ができました。

サントラ盤は、LA-LA-LANDからリリースされています。


<シリーズについて>

ジョー・ダンテ監督は関与していない様ですが、その後7作の続編が製作されています。6作目まではVHS時代にパッケージ化されています。

7作目は日本では未発表、海外でも現在DVD等の扱いは無いので、映像としては一番レアかも知れません。(自分も所有してはいません。)

8作目「新・ハウリング」(2011)は、DVD化されていますので、中古市場で入手可能です。


(2作目)ハウリングⅡ(1985)

(3作目)ハウリングⅢ(1987)

(4作目)ハウリングⅣ(1988)

(5作目)ハウリングⅤ 最後の復活(1989)

(6作目)ハウリングⅥ 突然変異体(1991)

(7作目)ハウリングVII 新月がやってくる(1995)

(8作目) 新・ハウリング(2011)


ホラービデオカタログには、5作目を除き、「ハウリングⅥ 突然変異体」までは掲載されていますので、引き続きシリーズを投稿して行く予定でいます。


最後に1作目の映像ソフトについて。

ホラマニ1期でリリースされた「ハウリング」はプレミア化しており、入手困難となってます。(ホラマニでない、DVDなら中古市場で比較的安価に入手できる可能性があります。)

キンレコさんから発売されたBlu-rayは、水曜ロードショー(日本テレビ)で放送された吹替版が収録されています。(地上波放送 1982年8月11日)

残念ながら、今年の死ぬまでにキャンペーンにはラインナップされていないので、若干プレミアが付きつつあります。急ぎでない様でしたら、次の機会を待ってみるのも良いかもしれません。