日プロ大賞プログ
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とうとう、今日です!

デジカメの電池を充電しつつ、約12時間後の開演を待っています。
お客さん、来てくれるかなぁ。

ではでは、テアトル新宿で!

いよいよ、明日です!

泣いても、笑っても、あと24時間。

テアトル新宿でお待ちしています!

土曜の夜は、「日プロ大賞」!

いよいよ明後日の開催となります、「日プロ大賞」。
関係者の間にも、慌ただしい空気が流れています。

パタパタしてます! あわあわしてます! ドキドキしています!
おそらく当日の会場でも、パタパタしたりあわあわしたり、ドキドキしていることでしょう。
ひときわテンパっているスタッフがいたら、それがわたしです。温かい目で見てください。

どうぞ、よろしくお願いいたします!

「0号室の客」というテレビドラマ

現在、「0号室の客」という深夜ドラマがオンエアされています。
http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2009/090904zero.html

このシリーズの「First Story 憧れの男」を演出したのが、
「日プロ大賞」で「Lost Paradaise in Tokyo」が上映される白石和彌監督です。
「Lost Paradaise in Tokyo」が映画デビュー作であるように、
テレビドラマでは「0号室の客」が初めての作品となります。

白石監督は、これまで多くの撮影現場で、
フリーランスの助監督として仕事を続けてきた方ですが、
そんな彼を応援する人物も少なくなく、
異例なほどの早さでのテレビドラマ・デビューとなったわけです。

テレビドラマには、テレビドラマなりの厳しいフォーマットがあります。
特に「0号室の客」は、ジェイ・ストームの一社提供番組であり、
主演である嵐の大野智さんをいかに魅力的に見せるかという課題を担わされています。
ストーリーテラーである横山裕さんの演技のテイストも、この初回によって決まるものでしょう。

この「0号室の客」は、「Lost Paradaise in Tokyo」とはまた違った、
白石監督のプロフェッショナルな演出の引き出しの
多彩さを感じさせてくれる優れたドラマになっていました。
YouTubeなどで試聴することが可能です。
(いまのところオッケーなもの)
http://www.youtube.com/watch?v=ywAS1Ljb4IM&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=IxOZZXsF6ak&feature=related


「0号室の客」には、往年のNHKの「少年ドラマシリーズ」や、
黒沢清監督たちが初めてテレビドラマを撮った「ドラマドス」、
そしてフジテレビの「世にも奇妙な物語」シリーズなどにも近い匂いを感じます。
いま、テレビドラマでオリジナル・ストーリーを展開させることは、
深夜帯ながらも、かなりの実験といえるでしょう。

日プロ大賞は、「0号室の客」を応援しています!







「スイートリトルライズ」という映画

「日プロ大賞」当日まで、あと1週間!

日プロ大賞スタッフの私は、いつも新鮮な映画を求めています。
そして先日、アッと驚くような映画に出会ってしまいました。

http://www.cinemacafe.net/official/sweet-little-lies/pc.html

第16回(2006年度)の「日プロ大賞」で第5位だった「ストロベリーショートケイクス」の
矢崎仁司監督の新作です。

ある夫婦の物語です。
テディペア・アーティストの妻(中谷美紀)と会社員の夫(大森南朋)。
結婚から3年目、妻は夫を愛して、夫も妻を愛しています。
それでも、お互い違う相手に恋をしてしまう…。

この映画がすばらしいのは、まったく説明をしていないところです。
事実だけが、淡々と描かれていく。劇的なものはありません。エモーション、ゼロ。
俳優の演技と映像だけで表現していきます。

中谷美紀という女優の魅力を、とことん見せてくれます。
この役は、彼女でなければ決して演じることはできなかったでしょう。

本作は、第11回(2001年度)の「日プロ大賞」で作品賞を獲得した
「殺し屋1」の宮崎大プロデューサーの手によるものです。
実は私、この宮崎プロデューサーとは長年にわたっての親しい仲であり、
「スイートリトルライズ」の企画の立ち上がりにも、多少の相談を受けています。
そういった交流を別にしても、「スイートリトルライズ」は驚異的な映画として完成しています。

まさしく、もうひとつの「殺し屋1」。ラブストーリー版「殺し屋1」。

来年の春の公開まで、熱くお待ちください。


映画って、なんだろ?

ときどき、考えるのです。
「映画って、なんだろう?」と…。

かつて映画とは、映画会社が作って、自社の配給網によって上映されるものでした。
1秒24フレームのフィルムに焼きつけられた物語でした。
それから、どのくらいの時間が経過したのでしょうか…。

今回の「日プロ大賞」のイベントは、7年の休眠期間を経て行われます。
あらためて気がついたのは、映画興行の実態の変貌です。
そのひとつの要因として、デジタルシネマの隆盛があるでしょう。

7年前も、フィルムではなくデジタル撮影による映画はありました。
しかし、現在ではフィルム撮影されている映画の方が珍しいくらいの状況になっています。
フィルムで撮影して、それをデジタルに落としてのCG処理を経て、
フィルムレコーディングしている「空気人形」のような作品も少なくありません。

映画の歴史は、技術革新の歴史です。

そして、いわゆるインディーズ映画、
本当にまったくの自主映画が映画館で公開されるようになりました。
今回の日プロ大賞で上映される作品でも、
「あんにょん由美香」「Lost Paradise in Tokyo」がそれにあたります。

「Lost Paradise in Tokyo」は、すでに世界の映画祭でも高い評価を受けていますが、
「あんにょん由美香」は、松江哲明監督と直井プロデューサーの個人的な意欲から生まれた作品です。
それは、作品を観れば判ることでしょう。
完全なるプライベートフィルム。でも、それだけではない。
こういった作品が映画館で上映されて、かなりのヒットをする状況というのは
7年前では、なかなか想像できませんでした。

「あんにょん由美香」は、
「童貞。をプロデュース」以来のカルチャー・ヒーローといえる松江哲明監督の作品であり、
被写体となった林由美香さんという伝説的な女優さんの存在感もあるでしょう。
とはいえ、いまや映画に差異はないのです。
どんなメジャー映画も、まったくのインディーズ映画も
同一の線上にあるといえるでしょう。

面白いか、面白くないか。
ココロに激しく共鳴するか、しないか。

でも、どんな映画でも、グッとくる瞬間はありませんか?

いまの映画状況が自由なのか、かえって不自由なのかは判りませんが、
「日プロ大賞」は、グッとくる邦画をご紹介する映画祭でありたいと思っています。




上映したかった他の映画

今回、発表されている4本の映画が上映されるわけですが、
その他にも上映したい作品は、いろいろありました。

たとえば、真利子哲也監督の「イエローキッド」。
でも、この作品は来年2月にユーロスペースで公開されるそうで、安心しました。

たとえば、岩淵弘樹監督の「遭難フリーター」。
ここまで日本の現状を個人の視点で抉ったドキュメンタリー映画はありません。
この乱暴な映画が正当な評価を得るまでには、時間がかかるでしょう。

たとえば、城定秀夫監督の「18倫」。
原作コミックを、城定監督ならではのファンタジーなタッチで描き、
なんともウェルメイドな秀作となっています。
現在、絶賛レンタル中です。
ちなみに、パート2の「18倫 アイドルを捜せ!」のサンプルも拝見しましたが、
これが前作を超える秀逸さ!
来年度の「日プロ大賞」の目玉になると思われます。
審査員の方々が、目にしていただけたならば…。

いま、最も難しいのは、観客の皆さまと作家の方々の接点だと思います。
映画は大量に生産・公開されて、そのすべてを追うのも困難です。

とはいえ、あらゆる映画に監督をはじめとするスタッフやキャストの労力や叡智が
注ぎ込まれていることは間違いありません。

「日プロ大賞」は、すべて映画に敬意を表しながらも、
あえてランキングしている映画祭です。

公開される4本の映画について

今回の「日プロ大賞」で上映される作品の共通点はなんでしょうか。

4本中、3本が「死と再生」をテーマにしています。
もう1本も、大きな意味では同じテーマといえるでしょう。

4本中、2本にクマが出てきます。
これって、けっこう珍しい偶然ではないでしょうか。
クマが出て来る日本映画って、あんまり記憶にありません。
「イタズ 熊」と「地上最強のカラテ PART2」のウィリー・ウイリアムスと人喰い熊の対決は、
けっこう鮮明に憶えているのですが…。
他の1本にはネコが、もう1本にはカメが登場します。
「日本映画プロフェッショナル 動物バンザイ大賞」と名前を変えてもいいかもしれません。

インディーズ出身の監督の映画が2本、
俳優と助監督出身の監督デビュー作が2本あるということ。

ファンタジー映画(広義での)が2本、
ドキュメンタリーからある種のファンタジーに至る映画が1本、
リアルな内容から、最終的にやっぱりある種のファンタジーとして帰結する映画が1本。

こうして分析してみるのも、面白いものですね。
もちろん、これらはすべて私の解釈であり、他の意見もいろいろあることでしょう。

映画の素晴らしさは、誤解が許されることだと思います。
誰かにとって重要なシーンも、誰かは見逃してしまうかもしれない。
誰かが涙する場面だって、誰かは大笑いかもしれない。
正しい映画の見方なんて、あるのでしょうか。

ただ、自分なりの映画の楽しみ方を発見するためには、
より多くの映画を観ることが必要かもしれません。
それも、映画館のスクリーンで。

20年前、2本立て3本立ての名画座いう名の映画館がたくさんありました。
それがほとんど消滅してしまった現在、
名画座のオールナイトとして「日プロ大賞」にお越し下さい。

「ガマの油」という映画

「ガマの油」は、日本を代表する俳優のひとりである役所広司さんが
初監督した作品です。

私は、何度か役所さんのインタビューをしたことがあり、
その縁から毎年、年賀状をいただきます。
いつも一筆いれてくれるところが役所さんらしい律儀さですが、
今年は「映画、撮りました…。見てください!」と万年筆で書かれていました。

正直なことを書きましょう。
役所さんが監督デビューすると聞いたとき、
「よせばいいのに…」と私は思ったものです。
俳優で監督に手を染め、しかも主演までするのは大変なリスクです。
もちろん、クリント・イーストウッドのような監督もいますが、
私が知っている役所さんは生真面目で、素朴で、
唯一の趣味は山小屋にこもることとか。
ヤマッ気やダークさをかけらも持っていない好人物に、
優れた映画が撮れるものでしょうか?

まったくの杞憂でした。
「ガマの油」は、ハリウッドでも活躍する名カメラマン栗田豊通さんの
冴えた映像にも支えられて、これまで見たこともないファンタジーとして仕上がっていました。
とても爽やかで、みずみずしい映画でした。
遊び心もたっぷりあって、役所さんが愛してやまない森の風景も登場(笑)、
見終えたあとで、「ありがとう!」と言いたくなる秀作でした。
役所さんの優しい魂に触れた気がしました。

以下に、私が「キネマ旬報」誌で行った益岡徹さんのインタビューを引用します。


兄よりも近い、唯一無二の存在です。

 益岡徹にとって役所広司は、無名塾での2年先輩にあたる。そして入塾したその夜からの飲み仲間であり、家族ぐるみの交流は現在も濃く続いている。ひと頃は、役所の紹介によって斜向いの家に益岡が住んでいた時期さえあったそうだ。「兄貴分みたいなものですか」と問うと、首を傾げながら答えてくれた。
「兄よりも近い、唯一無二の存在ですね」
 連日、早朝まで飲み明かしていた若き頃、役所がこんなエピソードを披露したことがあった。
「お父さんが亡くなられて役所さんが帰郷したとき、役柄の関係で金髪に染めていたそうなんです。当時はプロレスラーくらいしか金髪の男性はいない時代で、ご近所の方からも奇異に思われていたところ、仲代達矢さんからの花輪が届いて見る目が変わったと。そんな役所さんのお父さんへの深い思いも、この映画に込められている気がしました」
 益岡が演じる“ガマの油売り”は、物語のなかで時空を超えて現れる。そのイメージを映画監督・役所広司は、「あの世とこの世を行き来する天使」と語っているが、役所監督の演出ぶりを益岡はどう感じたのだろうか。
「ひとことでいえば、視野が広かった。勢いのエネルギーで演出する監督もいらっしゃいますが、常に冷静で客観的な役所監督は、僕が知っている若い頃そのままの姿でした。本読みでも、DVDで見た本職のガマの油売りのように軽妙な雰囲気で演じてみたら、『もっとえぐり出すように、粘りつく芝居でやって欲しい』とダメ出しされました。役柄の造形も、くっきり固まっていたのでしょうね」
 実際の撮影でも、慎重にテイクが重ねられた。
「ずいぶん繰り返して演じたけれど、完成した作品では台詞をトチっているカットがチョイスされていたりして、そこがまた面白かった。僕の出演場面を別にしても、死者に対する優しい思いが積み重なって、とても温かい味わいじゃないですか。これまでのどんな映画にも似ていない、心優しいファンタジーだと感じました」
 物語の核を担っているガマの油売りは、もしかしたら俳優としての役所が演じたかった役柄かもしれない。それを、自身の分身ともいえる益岡に託して演出したのではないか。
「そうだとしたら、二重にも三重にも嬉しいです。役所監督の2作目も、きっとあると僕は予想しています。 撮り続けて欲しいですね、それだけの才能の持ち主だから…」


「日プロ大賞」の開催から5日後にDVDも発売されますが、
この映画のダイナミックさは、映画館のスクリーンこそ相応しい。
魂のロードムービーとして、長く愛される作品となるでしょう。



「ウルトラミラクルラブストーリー」という映画

今回の日プロ大賞で上映される、
「ウルトラミラクルラブストーリー」という映画は、
本当にウルトラミラクルなラブストーリーです。
映画でなければあり得ない、ひとつの奇跡を描いています。

そういう意味では、他の上映作品である「ガマの油」「あんにょん由美香」
「Lost Paradise in Tokyo」も同様なのですが…。

映画というメディアは、究極的には「愛」を描くものだと思います。
幸福な愛も、残酷な愛も、どうしようもない愛も、とんでもない愛も。

「ウルトラミラクルラブストーリー」は、とんでもない愛の物語です。
ありえない愛のカタチを見せてくれる映画です。

主演の松山ケンイチさんは、多くの映画に出演されていますが、
この映画の松山さんが、もっとも野蛮で素敵でした。
それは、自身の生まれ故郷で撮影された作品ということも関係あるのかもしれません。

これだけウルトラで、ミラクルなラブストーリーは、
なかなか観ることができないでしょう。

愛という奇跡のひとつを、目撃してください。