《WBA・IBF・WBO3団体統一世界ヘビー級タイトルマッチ12回戦》
◇日時:3月3日(日本時間4日)
◇会場:ドイツ・デュッセルドルフ/ESPRIT ARENA(エスプリ・アレーナ)
WBA・IBF・WBO3団体統一王者
ウラジミール・クリチコ(35=ウクライナ/ドイツ)
ーVSー
同級WBA10位/元WBA・WBC世界クルーザー級統一王者
ジャン・マルク・モルメク(39=フランス)
【両選手の体格】
〈ウラジミール・クリチコ〉
身長/リーチ:198cm/206cm
体重:111.041kg
〈ジャン・マルク・モルメク〉
身長/リーチ:181cm/188cm
体重:97.077kg
…挑戦者のモルメクは1階級下の元クルーザー級(WBC・WBA)の統一王者だった。
前回、クリチコが対戦したデビッド・ヘイ(英国)ともクルーザー級時代に対戦して4回にダウンを奪っておきながらもヘイの左右連打で7回逆転TKO負けを喫している。
その敗戦の悔しさから、WBAヘビー級王者となったヘイにリベンジする為に階級を上げてきたと云う。
しかし、その目標とするヘイは2011年7月2日にクリチコに判定負けしてしまい目標をなくしてしまっていた矢先にタイトル挑戦が巡ってきたのだ。
2010年5月6日、ヘビー級転級の初戦にヘビー級世界戦を2度経験したフレス・オケンド(米国)と対戦して10回判定勝ち。
2010年12月2日、2戦目にはWBAヘビー級インターナショナルタイトルをチムール・イブラギモフ(ウズベキスタン)と12回戦を戦い2ー1の判定勝利でヘビー級での世界ランク入りを果たした。
そして、大一番のリングへと・・・
一方、ウラジミール・クリチコは2011年7月2日、WBA王者のデビッド・ヘイ(英国)を大差判定で下して3団体目のベルトを獲得統一した。
兄のビタリ(WBC王者)と共にヘビー級のメジャー4団体を独占。
その兄ビタリは2月18日、ディレック・チソラ(英国)を大差判定で退けたばかり、もうクリチコ兄弟と云う牙城を打ち崩す選手はいないのか、それとも、兄弟の引退を待つしかないのか、そのことばかりが話題になってしまう。
果たして、モルメクはその牙城を打ち崩せるのか?
ドイツでのクリチコ人気は絶大。
デュッセルドルフのエスプリ・アリーナには五万人もの大観衆が詰めかけた。
そして、大歓声の中ついにゴングは打ち鳴らされた・・・
初回、モルメクはガードを固めて強引にクリチコの懐へ入ろうとするが、クリチコは左右を使って入れさせない。クリチコの左フック、左ジャブヒット。モルメクは手数少ない。
~クリチコ優勢。
2回、モルメクはガードして前に出るが手が出ない。
クリチコが左ジャブからワンツーで最初のダウンを奪う。
モルメクはなんとか立ち上がると更にクリチコのワンツーを打ち込まれるが、この回なんとか持ちこたえた。
~クリチコ断然有利。
3回、クリチコが左ジャブから左ダブルフックをヒット。モルメクは相変わらず両手でガードして時折左右を振り回すが空振り。
~クリチコ有利。
4回、モルメクは挽回しようと体を左右に振り左右を出しなが突進するがダメージを与える打撃はなし。
クリチコがラウンド前半左ジャブからワンツーをヒット。よろめくモルメクに止めの左フックの一撃でダウンを奪う。
モルメクはレフェリーの顔を見て何かをつぶやきながら立ち上がったが、試合を止めた。
クリチコの4回1分12秒のKO勝ち。(TKOからKOへ訂正された)
これで、WBA(1度)・IBF(11度)・WBO(7度)の防衛に成功した。
…モルメクは初回からガードを固めて突進しながら撹乱戦法に出て、何かをやってくれそうな気配だった。
しかし、2回以後クリチコの左を警戒してディフェンス一辺倒のガードばかりで守勢にまわり、打撃で打ち崩せなかった。
結局、デビッド・ヘイをダウンさせた強烈な右ストレートは不発。
時折、左右をクリチコにヒットさせたが、ダメージを与えるものではなく、もう、2回からクリチコの完全な独壇場だった。
前述のように、クリチコ兄弟の引退を待つほかないのか、ヘビー級の隆盛を誇ったアメリカはどうしたのだろう?
【両選手の戦績】
ウラジミール・クリチコ
60戦57勝(50KO)3敗
ジャン・マルク・モルメク
41戦36勝(22KO)5敗
(東北の一日も早い復興を願っています)