ホックが寝る頃に、窓に人影があった。

「よう。」

聞き覚えがある声だった。

「アクイ!?」

「そうだ。俺だ。」

「何で!?」

「人手が必要だ。それもダンガン使いっていう同朋がな。」

アクイは手元に数枚の写真を出した。

「今日やろうと思っていた計画があったんだが、相方に裏切られた。」

一枚の写真を指差す。アクイの横に映っているのが恐らく相方なのだろう。

「こいつはダンガン使いじゃなかったんだが、妙にウマが合ってな。信用してみたらそいつ、計画のこと全部警察隊にチクってやがった。」

続いて隣の写真を指差す。

「こいつはシンシア。俺の恋人なんだが、現在はダンガン使いってことで捕らえられている。」

「…えっ?ダンガンがあれば簡単に脱獄できるんじゃないの?アクイみたいに。」

「それは2つの誤解がある。まず1つはダンガン使いは専用の牢獄に入れられるんだ。ダンガンの力を使ってもびくともしねぇ。もう1つは、俺は脱獄してない。」

「えっ?」

「ウワサって怖いな。昔には嘘を信じさせる能力を持った悪魔がいたらしい。」

にわかには信じられない。目の前にいる男は確かに悪意を持った顔をしている。
ラスターの判断通りドリー達が帰る頃にはアムネスティは元気になっていた。

「やっぱアムは次から男性用のを買うべきだよ。」

「うるさいわねぇ。ほら、バルダック、もっと強く押しなさい!」

アムネスティの後ろではバルダックがせっせと指圧マッサージをしてる。

「しっかしバルダックって元フォズ事務所の人だったの?」

「そうだけど?」

フォズ魔法事務所。ハロン事務所と対を成す大手の魔法事務所である。

「なんでそんなすごい所にいたのに今はこんなぐうたらなの?」

「余計なお世話。だいたい俺の師匠はあのシアンだぞ?あの人に比べたら何だって大したこたぁ無いよ。」

「それもなんか真実味を帯びてきたなぁ…」

「え!?今まで信じてなかったのかよ!?」

「だってこの体たらく…」

「あーあー、うっせ!」
「あー、この魔法アイテムはいけないな。」

ラスターは一目見てそう言った。

「やっぱりそうか?」

「やっぱりって…」

実験台にされたアムを思い出す。

「この手の魔法アイテムってのはちょっとさじ加減を違えるだけでも体調不良になるようにできるんだ。」

「どうすりゃ治る?」

「これを使ったのが男性か女性かにもよる。体が強い男性だったら時間が経てば治る。体の弱い女性や子供だったらある程度治療が必要だが…」

「体の強い女性だったら?」

「そっか、アムネスティか。あいつなら男性と同じ方法でオッケーだろ。何かあればまた連絡くれればいいし。」