「…逃げて」

「えっ?」

ホックは耳を疑った。

気づくと回りの動きが完全に止まっていた。

「大丈夫。ぼくはダンガン使い。君の味方だよ。アクイに言われてピンチになったら助けるように言われてるんだ。」

「なんだって?」

「早く逃げて。ちょっと僕の体力がもたない。」

ホックは訳も分からぬまま工場を飛び出した。
仕事が終わると工場に自警団の人が来ており、一人一人をボディチェックしている。

「…やばいな。」

ダンガンは右のポケットの中。真実を話せば良いのかも知れないが、ウワサが変な方向に広まっているが故に、捕まったら何をされるか分かったものではない。

「逃げるか…それとも…」

ダンガンの力は炎を出すこと。ダンガンの大きさは直結約5センチ程度。現在自分は列の後ろの方にいるが、考えられる時間は20分といったところ。

「飲み込んでみるか?」

直径5センチ。口には含めても飲み込めるサイズではない。
「アクイの他にこの街にダンガン使いがいるらしいぞ!」

次の日、街にはそんなウワサが流れていた。

ホックの働く工場でもそのウワサは広まっていた。

「なぁホック、ダンガン使いがこの街にいるって話、信じるか?」

友人のロブが話かけてくる。

『ダンガン使いということを隠せ!』

昨日アクイが言っていた言葉を思い出す。

「らしいな。そーいや、そのダンガン使いってどんな奴なんだ?」

「何でもアクイと手を組んでこの街を乗っ取るらしいってウワサだぞ。」
「え?」

「自警団も探し回ってるって話だ。それっぽい奴を見かけたら気をつけた方がいいぞ。」

ウワサはどうやら変な方向に流れていっている。