静かだな…もう終わったのか?

 と脱衣場に行ってみるとエラー表示がせわしなく点滅したまま
 洗濯機が止まっている。

 電源を入れ直して運転を再開してもまた止まる…

 買ってそんなに経っていないはずだが…と思ったが
 調べてみると9年目だ。

 母がデイに通っていたころは毎回そこで入浴し
 デイがないときは入浴介助でヘルパーに来てもらっていた。

 1週間で5日か6日くらい入っていて

 「ちょっと(本人の)負担が大きいんじゃないですか?」

 とケアマネに言われ、それもそうかも…と減らした。
 お風呂は拒否が強くデイなどでは2、3人がかりだったようだ。

 だから減らす前は毎日洗濯に追われたし
 そのころは立位も可能だったからトイレでパンツを上げる前に失禁とか
 夜間のリハパンからの横漏れもしょっちゅう。

 年数は9年でもかなり酷使したかもしれない。
 とはいえ10年は経っていないのだからまだまだ頑張れるはずだ!


 「修理部品がもうありません」

 電気店に修理を依頼するとメーカーから電話がかってきた。
 やれやれ買い替えか…また物入りな。


 家電や車などを新しいものに買い替えるとなると(金銭面の負担は別として)
 わくわくしながら選定の過程を楽しむ人もいるようだが、

 私は大嫌い…というか億劫で仕方ない。
 というのも、

 ちよっとした小物から耐久消費財など大物に至るまで
 何も買うにも

 考えて考えて考えて考えて考え…ないと気が済まない厄介な性格。

 まず各社のパンフレットをできるだけ集め
 「利点しか書いてない嘘」と「誇張」と「カタカナ」だらけの難解な文書を1つ1つ読み解き
 各項目と機種名を表にして悩みに悩む。

 エンピツを転がして適当に選んでも大差はないのだが。(笑)

 しまいにはマジで頭痛がしてきてようやく決まると心から安堵する。

 ようやく店頭に足を運び傍らでああだこうだと喋りまくる販売員のおすすめを聞き流し
 この機種にしますとカタログを指さすと
 「当店では扱いがありません」などと言われメゲる…

 取り寄せは可能なのだが恐ろしく日数がかかったり標準小売価格から1円の値引きも無かったり。


 もうそんな手間はかけたくない。

 ベストの中のベストを追う気力も思考力も衰え失せて…

 そんなときの昨今の頼もしい相棒は

 「教えて!愛(AI)さん」。


 現在国内で購入可能な全自動洗濯機を全て挙げて。

 条件:WDHが 565、535、898 以内か近似。6kg以下。

 AIに聞くとずらずらと候補を出してくれる。

 こりゃ便利だ。カタログ、要らんなぁ…

 現在設置してある脱衣所の
 壁と洗面台の間に押し込むから大きくなっては困る。

 かといって家で肌掛け布団やカーテンくらいは洗える容量は欲しい。

 特に大事なのは高さ。

 おしなべて昔に比べ机も洗面台も冷蔵庫も洗濯機も
 背が高くなっていて車いすの身にはこれが一番困る点だ。

 今でも洗濯槽の底に指先が届くか届かないか。

 手前側の洗濯槽の横に脱水した靴下とかハンカチが貼りついていないか
 手鏡で確認しないと見えない。

 結局、いまある機種の2、3代後の後継機にした。
 外寸は全く同じ。操作もほとんど同じ。

 他機種を選んで新しい機能を求めるより
 今と同じなら失敗が無いという安心感の方を求める。

 「選択の鬼」?も堕落したものだ。

 値段は現機に比べ大幅に上がっていた。
 9年後とはいえ物価の値上がりをひしひしと感じる。

 こんなに上がったのならかなり進化しているはずだ。


 旧機種に比べ新機種で進化したところは何か?

 こう訊くと「愛さん」は立て板に水で喋りだす。
 こんな点も今まではカタログの細部まで見比べながら必死で把握に努めていたのだが。

 販売店に持ち帰ってもらう古い洗濯機には何もないことを確認。

 そうだ消耗品の糸くずフィルターは後継機にも使えるな…

 破れてしまってネットで取り寄せたことがある。

 外そうとして愛サンの説明を思い出す。

 糸くずフィルターの形状変更 
 以前のネット型から、プラスチック製の**「抗菌・防カビ糸くずフィルター」**に変更されています。


 そうだった…じゃ、ポイ。

 
 そして洗濯機が来る。
 当然ながら同じ場所にぴたりと収まる。高さも前と同じまま。
 あれ…!?

 糸くずフィルターも前と同じじゃないか!

 大変失礼いたしました。私の誤認でした。改めて正確に調査・確認したところ、

 ご指摘の通り****の糸くずフィルターは「袋状」です。

 また騙されたか…
 やはりカタログで確認すべきだった。

  女の顔が怖い…

 AIに騙されるのはしょっちゅうだ。

 製品の操作の仕方、自分のスマホの操作、メーカーサイトでの問い合わせの仕方
 などなど
 聞けば何でも即座に答えてくれる。

 うわー、こんなことまで知っているのか! すごいすごい。

 これだったら押し入れの奥から取説を引っぱり出したり

 まるで迷路のようなサイト内の「会員ページ」内をあてどなくさまよい
 さんざんクリックして進んだ挙句また最初のページに戻る
 などという悲劇は避けられる。教えて、AIさん

 まず、ここから入って**を選んで下さい

 むふむふ…あれ、**は出てこないが…

 ではこうしてああしてみて下さい

 ふむふむ別ルートね…でも画面が違う

 申し訳ありません。調べた結果古い情報でした。現在はこうしてああして下さい

 やれやれ、こうしてああしてか…
 やはり出来ないじゃないか!

 ○○○○○○○○○○○○ (AI検索、考慮中)

 その方法は間違っています。現時点では**を得る手立てはありません

 ・・・・・・・・。

 さ、さ、先にソレを言え!! 
 と機械相手に怒ってみても血圧が上がるだけ。

 結局のところ
 便利だ、無料で使える…と嬉々としてAIを利用しているつもりが
 AIのバグ出しや機能改善のために
 自分の貴重な時間を使って無料奉仕をさせられているのだ。


 もっとも、
 多くの場合で通用する一般的な対処法を聞いたり
 自分にはほとんど馴染みのなかった分野の概説や基本的な知識を得るには
 やはり便利だと思う。

 そして回答の中で納得いかなかったり分かりにくい部分は
 なぜ?どうして?と際限なく質問を続けていけるのは最大のメリット。

 あと

 AかもしれないがBのような気もするがどうか?

 などという質問の仕方だと

 (ははあユーザーはBと言って欲しいんだな)

 と文脈から敏感に察知して
 Bが明らかな間違いでない限りは
 ことさらBが正解という根拠を積みあげてくる

 …どうもそんな気がしてならない。


 AIは魅力的な「愛人」だが、
 いいい加減な信用ならない性格でもある。

 なお

 見栄張って愛人と書いたが…本妻もいません。

 すいません…。(笑)