病院からの帰途、もう一度復唱してみる。
あと4つあったはずだが思いだせない。

この日の健診が近づくにつれ何とも言えない憂鬱さが募っていた。
理由は幾つかあるのだが1つが今回初めて受ける
あたまの健康チェック 簡易認知機能検査
「認知症チェックの検査ではありません」とチラシには書いてあったが…
怖い…受けたくない。(汗)
そのチラシによると10単語を提示され復唱後、すぐに思い出す。
3回繰り返した後、3つの動物のうち仲間外れを見つける質問を複数回。
その後最初の10単語を思い出す。
10単語…無理、無理、無理。
しかも他の考え事を挟んだ後だ。
一つも思い出せず悲惨な結果になったらどうしよう?
それでなくても近年記憶力の衰えをひしひしと感じる。
(今日は朝から27℃超えか…)
ちらりと見た室温計の値が、しばらく経つともう思い出せない。
1日さぼった簡易日記をつけようとして、はて昨日は朝からどうして過ごしたか…
まるで思い出せない! いろいろ手掛かりになるものを見つけてどうやら復元できる。
検査項目にあったこの検査、外してもらおう。
だいたい申し込んだ覚えがないのだが…
と思ったらオプションで申し込んだ脳ドックのセットになっているとのこと。
脳ドックは毎年の人間ドックに加えて2、3年ごとに受けているのだが今までは無かったのに?
検査した看護師の話では診断部門からの方針で
MRIなどの機械的検査だけでは見逃してしまう病変も見つける為組み入れることになったとのこと。
これで悪い結果が出たら、私のことだ…また悶々と悩ましい日々を送るに違いない。
そんなに嫌なら、そもそもなぜ毎年几帳面に人間ドックを受診し、しかも高い金を払って脳ドックまで追加するのか?
それは…
私にとって癌や動脈瘤、動脈硬化などの病気は「変えられる不幸」。
そして認知症は(今のところ)「変えられない不幸」。
テレビやネットや書籍では「○○の運動が認知症予防にいい」「××を食べると認知症発症リスクを防げる」という情報が溢れかえるが、
所詮齢をとるに従って誰でも認知症になる…
最高の判断力を求められる激務の米国大統領も、
鋼のように鍛え上げた筋肉を持つアスリートも、
多くのセリフを覚えては舞台で飛び回る役者も、
齢を重ねていけば、いずれ認知症になる。誰もが老いてやがて亡くなっていくように…
という考えになったのは「不幸な認知症 幸せな認知症」という本を読んだときだったろうか。
なんだかしっくりくるものがあった。
だからボケるのは仕方ないというか逃れられない運命だ。
とりあえずそれは「明日」ではないだろう。(と思いつつ日々を送る)
もちろんその時期は人によって違うだろうし、運動や健康を考えた食事などには努めるつもりだが。
「正常ですよ」
不安一杯の私の顔をみて看護師が笑顔で渡してくれた検査結果。
プリントアウトしたばかりの紙には64.9のスコアがあった。彼女によると
「ほとんどの方は60~80の範囲です」
正常といっても下限に近いじゃないか…と思う私。
64.9…いやもしかして60.49だったかな?既に記憶が曖昧だ。(汗)
まあこんなもんでしょう。
とりあえずこの件は頭から追い払うことにする。
「惑星」もあったな…
帰る途中で1つ思い出した。
残りの3つは…
何千メートルもの日本海溝の忘却の底深くに沈んだ。