まったくもって不運な人だ…
働き盛りに脊髄の炎症で下半身不随となり車いす生活に。
不断の痛みにも悩まされるようになる。
それでも懸命なリハビリにより車いすを積んで自分で車を運転できるまでになり復職。
定年半年前になって、
今まで仕事があってできなかったあれやこれやにとりかかろうと
…思っていた矢先、信号待ちをしていたら大型トラックに追突され頚髄まで損傷。
事故後、奥さんに出会うことがあって「ご主人あれからいかがですか?」と聞くも
「ええ…」と顔を曇らせ言葉少なでこちらもそれ以上聞けなかった。
ずっと気にかかっていたが、今日になってやっと知人のTさんのお見舞いに行った。
病院に電話すると該当者は見当たらなくて「**の方じゃないですか?」とすぐ近くの別の病院の名を。
入院していたのはそちらの方だった。
急性期を過ぎた患者を受け入れるリハビリ型の病院。
コロナ禍の時期だったら親族以外の面会は難しかったかもしれないが特に制限はなし。
時間も9時~20時と結構幅広い。
「時間帯によってはリハビリの時間とか決まってるんじゃないですか?」
と訊ねたが「Tさんはリハビリはそんなには…」と入院患者の照会をしてくれた受付の人。
とするとやはりほぼ寝たきり状態なのだろうか?
見舞いの品は食べ物なら何か制限があるのかと聞くと電話を病棟に回すという。
病棟の看護師が出たがちょっと待って下さいと言われ長時間保留にされる。
「お待たせしました…タブレット見てらっしゃるときチョコレートなんか食べてらっしゃるようですよ」
「…甘いものでもゼリーはお好きでないようです」
いやいや…お見舞いの品の相談をしたのでなく制限があるか聞いただけなんだが。
だが結局チョコレートの詰め合わせを買って持参しおじさんはおじさんに贈った。(汗)
だがこれで少なくとも
終日天井を見ているわけではないこと
ある程度座位でタブレットを見たりできる状態
ということは分かった。
電話した翌日の午後訪問。
ベッド脇に行くと一瞬人違いかと思ったほどやつれた彼が居た。無理もないが。

ベッドを起こして(長時間は褥瘡ができるとか)テーブルの上に立てたiPADを見ていた。
掌から手の甲にベルトを回してそれにつけた棒で画面をタップしている模様。
私の左手と同じように指は動かないが手全体をある程度動かすくらいはできるようだ。
タッチ、あるいはスワイプは可能かもしれないがピンチは無理だろう。
実は座位も不可能で寝たきりだったらとも予想して
iPADやiPhoneでできる「視線トラッキング」の資料をプリントして持参していた。
視線の動きだけでタブレットやスマホを操作できるという機能だ。
こんなことが高価な特殊な福祉機器に頼らなくても誰もが持つスマホなどのツールでできることを私は最近になって知った。
自分で試してみようとしたが私のスマホはその機能を装備する以前の機種で、ある程度最近のものでないと無理らしい。
スマホやタブレットも決して安いものではないが、それらを自由に操れない障害のある人には大きな福音だ。
「タブレットがあればメールとかもできてるんですか?」
と聞いてみたが、まだそこまでは…とのこと。
webの閲覧くらいはできても、まだ画面の操作に手間取ったり何より文字入力がネックなのだろう。
そうそう…これを言わないと。
「音声入力がいまどきはかなり使えますよ!」
そう言って自分のスマホでメモ帳に入力して見せる。
私はパソコンはキーボードから入力するがスマホの文字入力は苦手で専ら音声で入れている。
Tさんには目新しい認識だったようで”ほう…”いう顔をした。
体調の関係もあって長時間タブレットを触っているのも難しいだろうが、もっと自由に操作できるようになったら…
「ブログを始めてみませんか?」
と言ってみた。
自分自身、介護ブログを始めてみて誰かが(たった一人でも)読んでくれているということに、苦しかった時どんなに助けられたことか。
闘病記を書いている人は多いし、参考にもなるし誰か「いいね」をくれたらどんなに励みになることか…
ということを、つい熱く語りうっかり自分も介護ブログを書いていて…と口をすべらせそうになる。
私がブログを書いていることは身近な人も縁遠い人も誰一人知らせていないし知らない。
墓場まで持っていくひみつのアッコちゃんだ。(笑)
私が彼の立場になったら多分打ちひしがれるだけだろうが、
どんなきっかけでも構わない、もう一度復活して欲しい。