「まだ(術後)1週間ですよォ…」

 今まで動かなかったところを動かすのだから痛いのは当たり前…と言う。
 曲げる方は最後の1割くらいで曲がりきらなかったのだからそうも言えるだろう。
 でも伸ばすのは今まで支障なく伸ばせていたのに痛いのは?

 術後のばね指の動きが思わしくなく不安に駆られて執刀医の病院で診察を受けた。
 もう2年以上前の発症だし、3回もステロイドを打っているから回復が遅いのは当然とは思う。

 ネットで得た情報の中にも術後1~2か月は動きが不自由だが、だんだん落ち着いてくるという情報もあった。
 だが素人考えながら、腱鞘を切開して中の太くなった腱の動きをスムーズした割にはどうも痛むところが辻褄が合わない気がする。


 実は手術した日、思わぬ出血に備えて(血液サラサラを飲んでいるので)昼下がりまで院内に留まっていた。
 頼んでいた介護タクシーがそろそろ来る時間になっても、指がいっこうに動かせない。激しい痛みもある。

 切開直後はもっと動いていたのに!?ともう一度外来窓口に訴えた。
 直接医師に診てもらうことはできなかったが看護師を介して、

 手術したばかりで腫れているから動かしにくいのは当然

 と言われた。
 なるほど、そういえばまだ小麦アレルギーに悩まされていたころ妙に手が握りにくいと思ってみるとパンパンに腫れていたことがよくあった。

 蕁麻疹がひどく出たなという認識だったが知らぬが仏、今にして思えばアナフィラキシー一歩前?だったのだ。

 痛いのは当然、曲げ伸ばししにくいのも当然。腫れが収まるまでは…
 そう納得して病院を後にしたが2日経ち、3日経ち…切った痛みは消え腫れもひいたのに指を動かすと「うっ」と呻く痛みがある。(一部の動作に限るが)


 それで、病院に電話して出て来た整形外科の看護師に切々と訴え「先生に聞いてみる」と言われた折り返しの電話で来るように言われた。
 
 思いつく限りの不安と疑問、症状を結構長く看護師に話したのだが…
 ほぼ予想通りのことだが、そのニュアンスはほとんど医者には伝わっていなかった。
 あるいは看護師は聞いた通りをほぼそのまま伝えたが医者は聞き流したのかもしれない。

 患者の訴えをうんうんと時間をかけて丁寧に聞いていれば、不安に駆られている患者の話は際限なく膨らむ。
 と立場を変えれば私にも理解できるのだが。

 「では*日の*時に来て下さい。その方が”安心”でしょう?」

 と確か看護師も最後にこう言った。


 これも予想していた通り(受診のときにアレを聞いてみよう、この点も確認しなければ)と意気込んでいた項目の半分も質問はできず終わった。
 医師は指を手に取って伸ばしてみた後は、淡々とガーゼ交換をしながら

 術日に後で痛くなり曲げ伸ばしがしにくくなったのは次第に麻酔が切れてきたから
 曲げ伸ばしがスムースにできるようになるにはもっと(2、3カ月?)かかる

 という意味のことを言った。
 後の項目は術前説明でもっと教えて欲しかったところだが、個人差が大きいのだろう。

 なんだか軽くあしらわれたという感じ。
 というか私が神経質すぎる患者と言うこともある。

 まあ難しい顔をして「これは…再手術ですね」とか言われるよりはいいのだが。

 結局、半分ほっとして、半分釈然としないまま帰る。
 ではどうだったら一番納得して意気揚々と病院を後にできたのだろうか。

 もう少し丁寧な、忍耐強い説明があったら良かった…

 でもそんなことをしていたら待合室にあふれる患者は捌けないだろう。

 新システムにも慣れてきたのか、この日の診察はスムーズに進んでいるようだった。
 飛び入りの予約だから1、2時間待たされると覚悟していたがなんと予約時間ぴったりに呼ばれたのだった。