「じゃ、ウチが班長をしましょうね」

 とお隣の奥さん。助かった…

 奥さんといっても、一昨年連れ合いを亡くした80代の婦人で50代の息子夫婦と同居だ。
 世話好きで町内の世話役のような人、我が家も随分お世話なっている。

 1月はあっという間に終わった。

 2月のカレンダーを見ると病院の予約日が4つも書いてある。
 他にかかりつけ医院への月一度の受診。
 4つのうちの1つ、半年に一度の眼科では気がかりなことがある。

 場合によっては手術か…と勝手に嫌な予想。
 そして今のところ落ち着いているばね指が、来月から再来月には再発する(薬が切れ始める)時期。

 これももう手術は避けられないだろう。
 順番にそれらが来るならまだしも、重なったら目もあてられないな…


 年が明けての憂鬱な気分を更に増すのが、4月からの町内(自治会内)の新役員の責務。

 住んでいる自治会は毎年持ち回りで会長とか会計とか、役職が回ってくる。
 およそ4班、50戸くらいの町だったが田畑を潰して家が建って今では5班になっている。
 ただし戸数は、空き家が出たりして余り増えていないかもしれない。

 毎年、1つの班に班長とは別に役職が1つ回ってくる。
 割り振り上、8年に1回は班長か会長、会計などの自治会の役を班の中の2戸が引き受ける。

 来年度はお隣と私の家とに、班長となにがしかの役が回ってくる。
 確かそろそろ会長が回ってくる時期じゃなかったかな…
 お隣の奥さんもそう言っていたし。


 ちなみに、日本全国の地方もそうだろうが各戸高齢者ばかりだ。
 子どもの世代が同居している家は半分もいないだろう。

 以前に高齢者は役職を免除してはどうかという案が出たが、それでは数少ない若い(といっても中高年)世帯に負担が集中するということで沙汰止みになった。

 私は今は一人身で自由に動けるし仕事をしているわけでもないので役を引き受けるにやぶさかではない。
 父が元気なころ会長職が回ってきて、その後寝こんだ時の副会長職は私が代理で務めた。

 自分の代になって副会長とか会計とか。

 書類の処理や連絡など事務的なことでは役に立てるが、役員ともなると公園の清掃とかいろいろな奉仕活動にも駆り出される。
 中でも会長ともなると、そこら辺りで障害を理由にサボるのも憚られるし、
 かといって出来ることはやろうと車いすで健常者に混じって草むしりをするのも何だか当てつけに見えはしないかと…
 (家ではいろいろやっているのだが 笑)

 このあたりが自分の中で非常にナイーブな懸念というか頭痛の種だった。
 かといって班長ともなると、これはこれで困る。

 班長の主な仕事は月に1回(昔は2回だった)の広報の各戸配布。
 年に2回のお宮への500円の寄付徴収。(住民=氏子ということに慣習でなっている)
 後は、亡くなった人が出たら班内への連絡。

 最後はともかく、各戸の玄関先にたどり着くのが車いすでは大問題なのだ。
 古い家ばかりで(いや新築でも)玄関先へのアクセスを阻む高い段差。そして砂利を敷き詰めた玄関先。

 家人が亡くなった家にお悔みに訪問するときは、失礼だが携帯で玄関先まで出てもらってお悔みを述べていた。
 広報は普通、玄関先の郵便受けに挿しこんであるのだが、いちいち電話して取りに出てもらうのも何だかなあ…

 「配りものがあれば(班長を選んだら)私が配ってあげますよ」

 お隣さんはそう言ってくれるが、配りものが班長の主な仕事だ。
 甘えたらお隣さんに2つの役をさせてしまうことになる。
 会長を選ぶしかないか…


 今年、回ってきたのは会計監査だった。
 で、班長はお隣に頼んだ。

 「会計監査は私はちょっと…」

 とお隣さんは私の選択にほっとしたようだったが、年度末に会計をチェックして判を押すだけ。
 一番楽な仕事だ。


 まてよ…
 世の中そんなに甘くない。(笑)

 確か体育振興委員とか自主防災委員とか、なにか兼務があったような気がする。
 今は無いのかな。

 まあ班長になるよりはマシ。
 配りものが支障なくできるなら悩まなくていいのだが。